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【602】ポケモン考 [ビジネス]

 平成ひと桁時代、まだパソコンがオフィスに導入され始めた頃のこと。
  『オレ、社内の業務は全て情報の形で定義できるんじゃないかと思うんだ』
 会話していた上司の一言だが、これ以降いつも私の心の中でこの一文が確認し直されることとなる。
 ふむ、なるほど。いったん全てを情報の姿で語ってみて、その内容に管理をかけるのか。
 設計部署なら図面、実験部署ならデータと判定結果、工場なら生産数や不具合率…
 全ての日常作業は、そのための手段だと。

 確かに開発部門と生産部門を独立した会社にして、『開発が工場に図面を売る』という方式にしている実例もあるんだよな。設計と試作と実験を繰り返し、『これに従って生産ラインで流せば良い製品ができあがる』という情報を完成させるワケだ。その業務フェーズで労務や採算の管理を閉じさせる。
 不具合発生の折には、図面を間違えたのか、図面は正しいのにちゃんと作らなかったのか、情報処理の正誤判定に始まり、責任の所在を明確に特定しながら対策が進むことになる。完結した会社機能を丸ひとつ持つ負荷を上回るメリットが見込めたなら、これが効率解だ。

 記者会見のフラッシュやSFアニメの閃光描写など、テレビで『光の点滅に御注意ください』のテロップが出るのをよく見かけるだろう。あれは20世紀の終わりに、テレビで放映されたアニメ番組『ポケットモンスター』において画面が割と派手に明滅するシーンがあり、これを見ていた視聴者がひきつけのような症状で救急搬送される事態が、各地で同時多発した事件を受けてのことである。『極端な明暗を速い周期で繰り返す視覚刺激が、ふと脳神経の誤作動を呼び起こすことがある』と結論付けられ、上記の注意喚起テロップが普及した。
 当時、偶然この放映回を家庭でビデオ録画していた同僚がおり、もちろん私は大喜びで借りて実際に視聴したのだが、やたらチカチカするとはいえ正直なんてことないシーンだったという印象である。ま、だからこその事故発生だったし、注意しないといけないってことなのだが。
 私が『ポケットモンスター』を視聴したのはこれが初めてで、後にも先にもこの一回きりなのだが、なかなか技術的にも道徳的にも好感度が高かったため、よく憶えている。

 悪玉の二人組だか三人組だかが、自分たちをウィルスプログラム化してインターネット空間に侵入し、通信回線を伝ってユビキタス社会=表現をアップデートしてIoT社会のあちこちで悪さをするという、今になって改めてドキリとするストーリー設定で始まる。
 人間の意識をプログラム化すれば不老不死が実現するという説を思い出そう。これが叶えば世界中のどこへだって瞬間移動できるワケだ【559】
 いや人間ごとインターネットに飛び込む日を待たずとも、家族用の室内ライブカメラが家電ハッキングされ、見知らぬ誰かの目になっていたという話も既に現実である。

 さてこの悪玉クンたちを退治するため、ピカチュウの力を借りて善玉少年たちもプログラムとなりインターネット空間に飛込んで、悪玉たちと追いかけっこを始める。
 だが現実空間では、何にも知らず機器の誤作動に困った人々がワクチンプログラムを組んでインターネット空間に投入してしまうのだ。これが確か敵を見つけて撃ち落とす宇宙船のように描かれており、悪玉・善玉の両方をバグ扱いで追い回して駆除にかかるという緊迫の展開となる。ワクチンプログラムにつかまれば消去されてしまい、現実空間に永久に戻れなくなるから、大ピンチだ。
 ここでヘマって逃げ遅れる悪玉クンたちなのだが、善玉少年たちは見捨てることなく危険を冒して彼等を救い出し、再びピカチュウの力で滑り込みの倒れ込み、命からがら現実世界に帰還する。
 確かこの電脳時空フルパワー脱出過程で、口を結んで頑張るピカチュウの背景が目まぐるしく明滅してたんじゃなかったっけかなあ。まあいいや、めでたしめでたし。

 悪玉クンたちは起き上がって慌てて善玉少年たちから距離を置き、助けられてなお『お前たちになんか負けないからな!』みたいな憎まれ口で意地を張って見せるのだが、最後の最後にきちんと『でも今回は、ありがとー!』と声を揃えてぺこりと頭を下げ、大急ぎで逃げ去って行く。
 ハイ30分番組、終了。ピカチュウが『チュウ』でなく『ピカ!』と鳴くのが衝撃であった。

 約20年を経てAIが人の精神や意識と横並び概念になりつつある今日、その先見性に思わず唸らされるストーリーであり、また悪玉たちがコミカルに他の諸事情ときっちり区別する意思表示まで挟んだ上ででも、受けた恩義には確かな様式で応える礼儀をわきまえているところが微笑ましくも正しい。
 情報化社会の自由な発想力マル、立場相応の確実な情報伝達マル、人間にとって『情報』とは何か、コミュニケーションの中どう健全に保たれるべきかを解りやすく子供に見せていて、いい漫画だなと思ったものだ。

 ここは『情報』として、どのくらいうまくやれているのだろう? いかがでしょ?
 一応ホントの事を、この世の何者にも揺さぶられることなく正直に書いているつもりなので、とりあえずお得意様からそのセンで信用いただけているようなのが何よりである。
 来年も良質な情報発信を心掛けながら、ささやかな独り言を静かに放ち続けて参ります。

 よし、大晦日ぐらいは暗い見解や厳しい批判はナシ、ほのぼの系の内容で終われたぞ。
 今年も御愛顧ありがとうございました。皆さま、よいお年を~!
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【601】インチキ偽造ブランドの年末大セール [ビジネス]

 取り急ぎ、前回ちょっと載せきれなかった部分の補足から、忘れないうちに。

 カンの悪いヤツにプレゼを教えるのに苦労するハナシである。
 この『カン』は、良くも悪くも本人が持つ自我の明確度に相関があると思う。実は『自分』をしっかり持っているヤツほど最初はカンが悪い。
 これは『プレゼソフトにやらす』『自分が身を預け操られる』『誰にでもどうにでも見られてしまう』あたりの、ある意味だらしない自我放棄の割り切りに、本人の人格階層での禁止プログラムが発動するためだ。
 自分世界で組み立てた筋道を自分発・聴衆向きの一本道で発信し、その結果として聴衆の頭の中に自分世界が投射され理解される。本人なりにはこのつもりで大真面目の一生懸命にやるのだが、本人以外の視点からは、個人的かつ特殊な思考展開の一例を、こちらの追従を待たず一方的に放ちながら走り続けるだけの構図になってしまう。
 よくある失敗事例として、トレーナー役につけられたヤツが、ただ単に『それじゃ解らない』としか返せないケースが圧倒的に多い。これでは育たず育てられずで能力開発は失敗に終わるしかない。

 正誤はともかく、自覚する自画像が完成しているヤツほど最初は教えづらいのだ。だから本人の初志貫徹的・自立正義感みたいな部分を不真面目に崩させて、遊びやイタズラ心で自分の思考枠を外させるようなアドバイスから入る方が成功しやすい。
 これがゲーム作成の世界で、改めて話題にもならない当たり前っぽかったのが印象深い。
 最近の若い子のプレゼ習得が早い兆候は、『自我の完成度』という尺度からして一概に喜びもできないのだけれど、自我の概念が人間以外の作用を得て変わりつつあるので、その行方には油断しない心掛けが要りそうだ。そんなことを考えましたのです。

 さて今年は特に後半、経済の集中講座みたいになってしまった。
 ただでさえ全くの落第点だった財政健全化方針だが、まさかの自爆投げ出しガラガラポン解散で将棋盤ひっくり返して破滅への道筋つけちゃったようなもんだから、それを指摘してこうなるのは仕方ない。
 そりゃ健全な経済空間で納得と安心の生活を送りたい人は逃げ出すさ。今の時代ゆえインターネット経済空間が真ん前にあったという訳だ。
 …で、Jコインねえ。仮想通貨が元気そうだから、大手コンサバ連もあやかりたいのかなあ。
 主要大手銀行がやるとなると国と無関係じゃないはずだが、なんとも不可解な『仮想通貨もどき』である。日本円と等価可換の電子マネー、そんな奇妙なものを立ち上げる目的って何なのだろう?

 仮想もリアルも通貨の成立要件は、イチにもニにも『信用』である。
 少なくとも現時点で『信用』を維持するためには人の目で監視する必要があり、だからブロックチェーンでは人間にとって現実的な処理分量の取引記録が、随時ひとまとめにされる仕組みになっている。
 ビットコイン市場は拡大していった結果、この処理分量が現実的の限界に達してしまい、その解決策として『信用成立の市場サイズに合わせて分裂した』と言えるだろう【587】
 ちゃんとやれてると人の確認が取れる流通世界が完結していてこその仮想通貨なのだ。

 通貨としての信用はともかく、過去習慣の形式に則ってリアル市場で無数の取引が行われてしまっている日本円と等価可換にしてしまうと原理の階層で話がおかしくならないか?
 いくらブロックチェーンが機能しても、魑魅魍魎の未確認運用で信用を失くし尽しているアンフェア納税ツールの紙屑と引き換えた記録が相互閲覧できるだけなワケで、そんなものを監視する意味などどこにもあるまい。
 まず常識のある経済人は薦められても泣きすがられても寄りつかず、強制的に参画させられた経済人は誰ひとり興味を持てずに1円出資で永久放置、このふた通りの展開しか私には思いつけない。
 日本円と等価可換の仮想通貨を起こしたいなら、当然ながらまず日本円の信用回復が前提条件となるはずだから、確実に期待できるそっちの実効解をセットにした解説が聞きたい。

 『電子処理移行による従来日本円経済の簡略化および利便性向上』
 『AI導入による人員とコストの削減まで視野に入れた発展的合理化方策』
あたりの文言を隠れ蓑にして、仮想通貨としての実作動の不成立なんか承知の上で、また何年後かに『日本財務電子マネー化プロジェクト』みたいな超巨大無駄公務の起案を悪だくみしているんじゃないか…なんてつい疑ってしまうのだが、どうか取り越し苦労に終わりますことを。
 作動不良のグダグダ劇にでも持ち込んでおいてリアル日本円と綯い交ぜにし、これである日、前代未聞の国家規模でデータ管理事故が起きたりしたら嫌だなあ…なんて、可能性だけなら思い付けてしまうんだがね。
 気を付けないと、流行りモノとして仮想通貨に飛びつく程度の投資家の興味は多少惹けるかも知れないが、時代の千里眼で社会情勢を鋭く見抜き、的確な資本操作で競争を勝ち抜く一流投資家の気にはさっぱりかけてもらえないかもよ。むしろ一流スジから日本円の信用をますます遠ざけるだけの逆効果が怖い気がする。

 言ってしまえば日本円と等価可換の仮想通貨なんぞ混乱にしかなり得ないと思われ、そんなことやってるヒマに、いま急ぐべきは軽減税率の廃止に始まる破滅財政の全面修正であり、とにかく日本円の信用を立て直すことだ。消費税を5%に下げたりもすると、景気が持ち直してガツンと効く。
 1千兆円といわれる莫大すぎる負債額は、もちろん常識的な債務処理に沿って安心できるレベルにまで解決が進むかどうか確信が持てない。だがまかり間違っても、わざと混乱させナイナイのパーを仕込むようなことだけは、絶対にあってはならない。

 何時いかなる時も、常に全身全霊の精一杯を尽した結果を若者たち子供たちに引き継ぐよう心掛けないと、彼等は日本人に生まれ日本人であることを喜びながら、大好きな日本国を引き受けられないのだ。
 今の大人たちが、次世代に対してどこまできちんと日本国を定義できるかこそ、将来を担う人づくりを賭けた大勝負であり、未来につながる生産性を維持するための一大チャレンジだと思う。
 これが相応に叶った時、世界中の投資家たちから『日本は生産力の底力を残した国であり、落ち目にも見える今こそ投資のチャンス』と判断されるのである。今を大逆転でひっくり返す文字通りのイメージ革命、異論あるかよ?

 このカレンダー巡りだと、たぶん大晦日の年内最終回があるかな。
 バカな大人ども、態度を改めるにゃ良い節目じゃねえのか?若い子たち、よく見ててやれ!
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【600】聖夜のプレゼントは近未来絵図テクノロジー [ビジネス]

 クリスマス・イブに600回記念の巡り合わせというのは、めでたいのかなあ。まだ100点満点の絶好調を謳歌できないのが悔しいが、思えば5年前のクリスマスは大腸癌の可能性に腹を括って過ごしたのだ。
 何にも知らず謎の消化器失調と泥のような倦怠感に苦しみ、とにかく憶測しても外すだけなのでまず現実を確かめようと、下部内視鏡の予約を入れて検査の日を待っていた。姉を見送った翌年でもあったので、つい余計な心の準備をしそうになっては『事態の見定めが先』と自分を戒めたものである。

 悔しい現状は認めるとして、あの日に比べりゃあ、いろいろあるが夢のような今日の日だ。
 もしもさっさと完全絶好調の自由全開に駆け回れていたなら、ここの更新ペースも内容も、もう少し違っていたかも知れない。神さまのお告げは『おヌシ、いま暫くこっちにチカラかけろ』ってことなのかね。

 さて申し訳ないが忘れないうち、ちょっと経済の話に戻させていただこう。
 日銀の素人クロちゃんが、先日ビットコインの近況を指して『異常な高騰』とムダ愚痴った。
 おいおい異常じゃなくて、これは先日の税改変を含む政策方針のボロさが大いに嫌われ、『日本円以外の経済活動ツールに向かって大移動が起きつつある』という自然な現象と見るべきだろうよ。
 異常なのは、オマエんちがデタラメなイジリばかり入れる日本円の方じゃねえのか?

 単純なハナシ、軽減税率や法人税に絡めた賃上げ強要なんかを今すぐやめれば、多少はこのビットコイン高騰が緩慢になるはずである。ただ完全に収束することはないと思う。
 これまで負債が嵩むだけ嵩んだ超・粗悪財務を前に、もうプライマリーバランスの黒字化なんか投げ出して更なるアンフェア税制を強行すると発表したため、うずたかく鬱積した市場の不安が、別系統の経済空間になだれを打って脱出する実行動に走り始めてのことだからだ。
 せめて誰の目にも『本気で日本円負債の解決に向け心を入れ換えた実効解』と映る大転換政策が始動しない限り、ビットコイン高騰に始まる日本円信用のほころびは拡がっていくことだろう。こんなもの、ほんのきっかけのひとつに過ぎない。
 手を打つべきは仮想通貨ではなく、見捨てられつつある日本円と日本国政だろうが。

 ところで、日本経済市場に大きな影響を及ぼすとされる大企業は、実は国費で経営を守ってもらえる場合があるのだ。
 どんな原因がどこまで特定されているかにもよるが、安定しているはずの大企業が経営難に陥った事実をもって、投資家たちは『日本経済の低迷』と読み取って資本を引き揚げてしまう。稼動環境の悪い日本企業の株を売り払って、他国企業の株に買い替える動きになり、日本企業は総じて資本力を失うことになる。これは国内市場の不況につながるので、国費で資本注入となるワケだ。今はここまでで結構、お解りかな?
 だがくだんの大企業のそもそもの経営体質が粗悪なケースでは、でかいだけのダメ企業を国が食わせる構図になり、これがしばしば『ゾンビ企業』と揶揄される国家経済のお荷物となる。助けたり助けられたり、その判断をする役人との関係も普通でなかったりするんだろう。

 こういった事情を下地にして、バブル崩壊以降の日本経済が想定外に長期かつ深刻な不況続きとなっているため、いま東証1部上場企業の実に4社に1社の割合で、『公的マネー』が筆頭株主になっているという【474】
 筆頭株主は、もちろん企業の経営に対して発言力が大きい。ま、そういうことだ。

 日本国の生産力を立て直す操作をさぼったまま、力を失くした生産現場に国費だけ押し込み、出資と引換えに経営を牛耳り言論を封殺して、今度は押し込んだ国費を無理に吐き出させて、市場の好景気を演じたい。
 そのココロは、好景気なんだから増税する理屈が立つ、還暦公務員の新設もできる。
 こういうことを思い付くヤツらが未だに『日本円をいっぱい持ってるヤツが偉くて強くて、日本円さえいっぱい持っていれば生活が充実して満足感と優越感に浸れる』という情けない動機から抜け出せないでいるから、日本円の国家財務が今みたいなことになった。
 遥か以前から、このどうしようもない時代遅れの我欲が国内外のプロ投資家に見抜かれているのであり、場当たりの経済指標操作や煽動目的の景況感デマ流布なんぞ効くと思う方がどうかしている。
 くっだらない一方的な愚痴で何か起こるとでも思うのか、だからドシロートだっつーの!

 ちょっと前、最新のコンピューター・ゲーム作成手法について話を聞く機会があった。
 仮想空間内で人物たち生物たちが衝突もせず歩き回っているのは、人工知能プログラムを仕込まれて作成者の手を離れ、衝突せずに歩く自己練習をさせられたり、間違えた動作にダメージを与えられ躾られたりしての、各自の習得結果なのだという。仮想空間はもう早々にそこまで達している。
 また自分たちゲーマーキャラクター以外のエキストラさんたちだが、彼等は自発的な判断で机を囲んで会話していたりドアを開けて中を覗き込んだりしているのではなく、実は机やドアに『アンビエントAI』が仕掛けられており、設定半径内に近寄って来たエキストラさんは机やドアの意志に捉えられ操られて、会話や覗き込みの動作を『させられている』らしい。

 へえ~なるほど、まあ面白そうな広告や雑誌の表紙におびき寄せられて、しげしげと読んでいる私もそんな感じだからなあ。自分で広報チラシや発表スライドなんか作る時も、そこに自分の分身を仕掛けておいてトリガーアイテムで他人や自分の目を引いて読ませ、人間の行動を従わせるスタンスだよなあ。
 カンの悪いヤツには教えるのに苦労したもんだが、AIゲーム世代はこれが得意どころか、我々オッサンが想像もつかない新時代の働きかけのコミュニケーション感覚を持ってるんだろうな。最近の子って意外とプレゼのスキル習得がスムーズで早いイメージがあるけれど、もしかしてこのへんが効いてるのかも知れない。
 エージェント・アーキテクチャーと呼ばれる知的制御システムの設計概念や、仮想オブジェクトの進化を計算で自由展開させるプロシージャル技術など、人格相当の自律性の理解が『自我の芽生えに始まる、暮らしの中の人付き合いオン・ザ・ジョブ』でない人工舞台で構築されているのだ。
 だとすると幾多のゲームユーザーたちは、これらの産物にネイティブ育成されてるワケで…

 何というか、別次元レベルで意識世界の中の『俺さま』感覚が存在しないのである。
 ちっぽけな『俺さま』を全てに優先させ、見透かして迷惑がりながらも世渡りで調子を合わす周囲一同を道連れに、集団自殺に陥ってでも『俺さま』の横車プッシュに粘着する目的でしか動けない昭和ダメオヤジ文化は程なく居場所がなくなる…いや、是非の判断の外側に消える日が近い。
 そんなもの最初から蚊帳の外の世界観が、すぐそこで最先端の社会フェーズとして急速に組み上がりつつあり、時が来れば出来上がった新しい方へ一斉乗り換えで社会風潮が進展する可能性を感じた。

 そうそう余談だが、私はあのファミコンのH型みたいなコントローラーさえ、過去に手にした回数は恐らく5回以内で、総操作時間は3分いかないと思う。こ、これはもしかすると発言権なかったりして…
 まあ抗えない事実だし言い訳はしません。どうか御勘弁を。

 やれやれ結局、色気も飾り気もない内容でオワリ、しかも詰め込み過ぎたか。
 皆さまは5年後に思い出して、ああ良かったと思えるクリスマスを♪
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【599】夕食革命の経済学 [ビジネス]

 あら、こりゃ日曜日のクリスマス・イブに600回目になるのか。
 人気トピックのステロイド離脱のハナシも早く手を付けたいのだが、経済がどうしても捨て置けないのでもう少し続ける。
 いや今月で満5年、痒い痛いの苦痛はすっかり解消されたが、断続的にこのふた月、首から上だけ温度制御が狂乱走馬灯になり困り果てていた。体がもう傷にせず発汗で代謝するためなのだが、まさに異次元。頭の中の文章をタイピングするだけだからとはいえ、よくここの更新ペースが守れたものだ。
 首のリンパのむくみが消えて来たので、このへん交えて近々総まとめがやれると思う。

 さて多額の資本をあっちへこっちへ動かして利益を上げる投資家たちは、事態を見誤って投資先を間違えたら大損害を被り食えなくなってしまう。よって、限界までシビアに現実を見抜いて先を読む競争に明け暮れ、ライバルに先んじてカネを操作しないと生きていけない。
 手持ちの資本はガチのガチで運用の負担が最も軽く成長率の高い社会に投じたいから、規制が寛容かつ煩雑な雑務がなく生産活動に専念できて、税負担の軽い国に資本が流れやすい。
 今回の税改変はこのコンセプトに逆行するものだが、だからといって日本から一気に資本流出してオワリ…とはならない。

 日本円や日本株の価値が落ち目になると、もちろん市場の大勢が値崩れする前に売りにかかる。すると値が落ちる。
 値が落ちると今度は『安い時に買っておく』志向の買いが集まるので、値崩れはすぐに減速し、時に反発して上昇するのだ。この価格変動の検知と売買操作の判断は、機械化・自動化が簡単であることがすぐイメージできると思う。
 同時に幾つもの操作対象が相手となると人間が太刀打ちできる余地は無く、よって偶然から必然から、閾値を越えた変動は片っ端から機械が拾って反応することになる。最近は前回紹介したような世情と数字の相関は、機械反応の嵐の中ダイレクトには見えにくくなってしまっているはずだ【589】
 だがだからこそ、基本原則に戻って市場の地盤体質を見抜き、大きなタイムスケールで捉えた『損しない投資先』が選ばれることになる。

 いま日本市場にとって本当に大事なことは、『日本社会が生産力の底力を持っており、それが健全ハツラツに、生産しやすい環境になっている』という判りやすい事実だ。
 それが国内外で文句なく認知されれば、自然と株価は上がるし景気も上向くだろう。

 いま日本社会の生産力の底力は、どうなっているだろう?どう見えているだろう?
 事故でも人為でも、生産力低下と見受けられれば資本は冷徹に引き揚げられてしまうのだが、近年に目立つのは人為的ミスの方ではないだろうか。
 正しく生産力を発揮できる理屈があるのに、それを『意図的にしない』日本社会なのだ。

 財務粉飾は、最もわかりやすくは株式会社の経営難が露見して自社株が値崩れし、会社が資本喪失に陥るのを防ぐためなどの理由で、まあそういう財務状況になったら普通にやってしまいがちなものである。もっとも有名大手がそんなことになるのは十分マズいのだが。

 それよりも『割高だが高品質』を認められていたはずの日本製工業力そのものが、その初期品質も運用管理もイメージ通りの優位性を持たないと見えるような、しかも過去に遡って、実は昔から大したことなかったとさえ見えるような事件が連続したのが心配である。いま偶々お疲れなのではなく、元来の底力が偽りの幻影だったかのように取られてしまいそうな…
 何故こんなことになったのかの議論はあるんだけれど、もし『経済第一』のコトバが本当であれば、とにかく問答無用での無条件で、一刻も早く国内企業の経営負担を軽くする政策が必要ではないのか。

 税金資本でカネをだらだら流し込むのではない。
 それで経営の一面がラクになるのは確かだが、数字を書いた紙が効くのは、それで処理する領域のみでしかないのである。
 そうじゃなくて、納得の社会生活を送る安定した優秀な労働力、もちろん単純計算で若いほどパワフルな訳だが、これを日本中に目いっぱい増やさなければならない。違うか?

 ただでさえのこの少子化社会で、子供の6人にひとりが貧困なのだ。
 シングルマザーが親子あわせて一食100円強で頑張ったとすると、一日300円強で1ヵ月の食費は1万円、1年で12万円。ざっくり食料品11万円弱を買って約1万円の消費税を払う計算となる。
 このお母さんに無駄なレシート処理の日課を強要し、隷従したら年間わずか2千円返してやるというのか、還暦公務員が。
 その2千円がどうしても必要なお母さんって、優しく楽しく子供と食事できるのだろうか?
 直近20年以内に社会で始動する次世代生産力の1/6に対し、こんな負担を上乗せする国政動向が現実に顕れたとして、投資家が日本国の将来をどう見通すか解説は不要だろう。
 その20年の開始時点で、どうせ税収20年分の債務が積み上がってるワケだよ【578】

 せめて10歳までの子供はお母さんの手作りで夕飯を一緒に食べられるような社会の仕組みを構築し、次世代の生産力を支える豊かな情操を少子化社会で洩れなく育む。
 『人づくり革命』『生産性革命』なんて仰々しい表現を使いたいなら、こんな目的事象を直接実現する政策でなくてはならないと思うのだが。

 ふう、さすがに次回はちょっと柔らかい内容にしますかね。
 政治経済に興味薄い方にはお疲れ様のゴメンナサイだが、私と違ってこっちはほかっても治らんですぞ。
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【598】瞬発世界旅行で見る明日の日本国交換レート [ビジネス]

 かれこれ15年くらい前になるだろうか、ウィークデー毎日の昼休み、日経の電子英字ニュースを読んで記録につけていた時期がある。
 昼食後すぐにネットを開いて、USD/JPY、EUR/JPY、EUR/USDなどの数値と、数行で書かれたその日の外為市場速報の英文記事を表計算ソフトのセルに手早く書き写す。そこから『せーの、ドン!』で午後1時まで半時間強、ネット検索を交え内容を理解しながら全速力で日本語訳を付けていくのである。最後まで到達できない時もあったはあったが、まずまず大方は読めていた。
 あのファイル、どっかにあるのは間違いないんだが見つからない。やれ私としたことが。

 確か中東の紛争だかで英軍が動くと、やはり投資家はポンド立ての資本を即刻で引き揚げにかかった。生産活動に注がれる国力の一部を戦力に振り向けざるを得ないから、国家としての全体像は生産性低下傾向となるからだ。ケンカ中でお仕事が疎かになっているヤツに出資して、良い刈り取りは見込めない。解るね?
 アフガン侵攻でも日々の戦況のニュースにUSドル相場が敏感に反応していた。日本で一般庶民相手に報じられるニュースよりも遥かに本気の状況判断を反映した数字が顕れるため、面白くて毎日楽しみに読んだのを憶えている。

 もちろん戦争だけではなく、BOJ Tankan=日本銀行(Bank of Japan)の短観(全国企業短期経済観測調査)などの声明、北米の失業率や住宅販売数など市場経済指標値の発表、各国の国政選挙は当然のこと、あらゆる世情を得て通貨や株価は激しく変動する。
 因みに、かつて土曜昼頃にやっていた『マネーの羅針盤』中の1コーナー『ブルベア羅針盤』(ブルベアコンパスと読みます)のブルとベアだが、『bull=上昇見込み、強気の攻め』『bear=下落見込み、弱気の退き』を意味する経済用語だ。
 え?クマさんが弱いの?と驚いた直後、強い雄牛の対語と知って妙に納得したものである。

 当時から既に日本の財務はグズグズと赤字を積み足しては立て直せない体質に陥っており、数兆円の市場介入を言い訳がましくちょびちょび…の無意味な経済操作ばかりが目立っていた【475】
 反面、北米では連邦準備制度理事会FRB(Federal Reserve Board)グリーンスパン議長の発言が興味深く、最初は『何でこんな裏含みっぽく煙に巻くようなモノの言い方するんだろう?ホントに米人かよコイツ?』なんて不思議だったりもしたのである。

 だってそりゃ投資家たちは八方手を尽して情報を掻き集め、電光石火の反応で資本操作を返して来るのだ。例えばFRBの政策金利の引き上げ姿勢がもうバレバレに見えちゃってたら、市場がそれに合わせてどっと反応してしまい、そもそもの政策金利引き上げの根拠となったはずの現状が当初と乖離してしまう。
 これでは世界最大の資本主義経済市場で財務政策を操れない。

 つまり、経済現況の事実に基づきながらも掴み所のない、嘘ではないが結論を確信できるほど明確でもない、ビミョーかつ絶妙な不透明さの意思表示が必要なのである。
 個人的には、謎かけ妖怪グリーンスパン爺の後任に続いたバーナンキおじさんもイエレンおばさんも、行き詰りが見え始めた資本主義経済のバケモノ市場と組み合うには、人間でありすぎたように思う。

 さて、そこで。今の日本国の財政動向も、もちろん世界中の投資家から注視されている。
 遥か以前から、見る人が見たら日本円はもう通貨としての経済媒体機能を疑われ、日本国内の消費現場限定の万能物品交換券としか見えていないはずだ。どうせ自国内で勝手に将来債務を積み上げているだけだから、見限り時だけ誤らないよう注意して賞味期限内に利用しましょうと。
 くだんの英文記事には、適宜JPモルガンやスタンダード&プアーズの国債評価ランクなども、例えば『景気見通しの発表が弱気につきA-からB++に格落ち』みたく載せられていて、民間会社の主観とはいえ経済動向の見方を学ぶには良い目安だった。
 そういや最近テレビで日本国債のランクの話しないねえ。箝口令か?忖度か?

 800万だ850万だ国際市場的には死ぬ程どうでもいい所得税のダラダラ論議、必要性も語られず実に唐突に転がり出た森林環境税に出国税、ただでさえ効率が低いとされる日本人の生産性に無駄な作業を上乗せし、莫大な新規導入費用と重いランニングコスト負担の発生が見え見えの軽減税率。
 一方なお累積し続ける絶望的な債務の完済を担う将来世代へのケアは、『人づくり革命』と題しておいてカネ出すと決めただけ、しかもその財源は未定ではなく『ありません』だから実現性は感じられない。
 『生産性革命』とやらは、海外企業に避けられ嫌われ続けるヘビー級の法人税を、無理な賃上げ要求に応えたら割引いてやるとチラつかせるだけの粗悪イジメ税制といったところか。
 世も末だ、まったく。

 『むかし、わるいおうさまがいて、わがままのためにひとびとをくるしめてばかりいました』
あたりの切り出しで幼児向けの絵本にでも出て来そうな未熟放言の数々、政治とは程遠いボロ愚策の断片群もいいところである。これでは必然的に日本国の生産体力はガタガタに低下するだろうから、既に日本円や日本株その他の日本国内資産は値崩れのリスクが漂っているはずだ。
 今はまだ『税制大綱が決まった』段階だが、軽減税率名目の予算計上を始め、この財務計画が実際に数値で顕在化するにつれ、段階的に日本市場への投資マインドが後退し現存のアセットは海外に引き揚げられていくことになると予想する。
 本格的に『世界の中で日本国の価値が落ち目に映る』と言えば解りやすいだろうか。
 こんなものが隠蔽され箝口令を布かれ、国民の目に触れないところで勝手に決まったことになっている日本社会の異常事態に気付いておこう。近所の大陸や半島とどっこいじゃねえか、もしかして?

 ここまで解って、来年度予算の行方を国民全員で監視しよう。
 近年とても現実とは思えないくらい役所も政治家も質が落ちており、国際的視点で海外と相対的に日本経済の成立性を維持管理するようなコンセプトは、丸ごとすっかり抜け落ちていると見受ける。
 箸にも棒にもかからない破滅的な決め事をするのも愚かなら、結局それを実行もできずに発散してオシマイになるような幼稚さまで年々顕著になって来ており、自発的な撤回による改善までは望めないにしても、日本社会の周囲が協力して自滅を食い止めるぐらいの余地には賭けた方が賢明だろう。

 世界経済を日々眺めていると、ある日アルゼンチンが経済破綻したり、どこの国だったっけか堪え切れずデノミに踏み切ったり、大震災に見舞われ今日も普通に動くはずだった経済市場が突然停止したり…といった一文が、実にあっけなく飛び込んでくる。
 この日本国だってその世界経済の一角に過ぎず、言ってしまえば元々日本円の信用ランクなんぞ十二分に相応に見透かされていて、それをここでまた判りやすく貶めた今があるのだ。

 カネは人の信用で機能するがゆえ、物理的なイナーシャはなく起こる時には一瞬でどんな大ゴトでも起こってしまう。限られた人生の時間の中で、いま取り組みたい課題と必要なモノ欲しいモノが先、経済媒体はその次という意味が解ると思う。
 カネは無いと困るが、よく解って持って、きちんと考えて効くように使いなさい。

 真先にカネばかり欲しがるバカな大人にカネつかましても、良いコトなんかありゃしないさ。
 何がしたい? 何が欲しい? どこに行きたい?
 自分の課題を探しながら、ついて来いよ!
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【597】袋小路の落第答案レビュー [ビジネス]

 税制大綱が発表された。
 増税の線引きが年収800万だの850万だの、まあ大事なことではあるんだが、それにしても『所得税』という1アイテムの話ばかり強調しても仕方なかろうによ。
 何より軽減税率は富裕層・中間層どころか、全国民に四六時中、無駄な負担を強いる税制なのだから、どうするのか最も頻繁に語られていて然るべきなんだがね。
 この様子だと『必要に応じて消費税の軽減制度などを設ける』あたりの表現に落ち着くかな。

 …と言ってたら、NHKが軽減税率を直言しおった。
 これでマスコミ各社も箝口令を解かれ、今度は手の平を返したように軽減税率の対象品目やあの非現実的な作業プロセスを、『導入前提の周知』として競って話題にするはずである。役人相手のゴマスリ合戦だ。
 若い人たち、バカな大人どもが解禁されて喜ぶ瞬間の顔をよく見てやれよ。ちょいと脅されたり小銭つかまされたりして日本社会運営の自己分担ぶんを売り渡し、あなたがたが将来どんな酷い目に遭おうが自分さえ良ければ後は知らぬ存ぜぬで、せっせと悪政の片棒かつぐ卑怯者の顔だ。
 ここでは引き続きその悪辣性・破滅性を解説し、導入中止に追い込む手段を考えていく。

 この前の選挙を経て先週までの特別国会、どうにか形だけは与党長期政権の残像があったものの、国民を使い捨てるかのような裏切りで我欲を押し通そうとする役人組織の姿や、そのパシリ言いなりで右往左往するばかりの無能政治家どもの姿が、従来になくハッキリ解りやすく明るみに出たと思う。
 次の選挙で現状の勢力図は大きく変わるだろう。総崩れになっても不思議は無い。
 もういらんだろ?こんなヤツら。

 現時点で、結局『企業の賃上げ3%』という非現実的な指標値だけが勝手に言い放たれ浮遊している状態なのだが、まずありもしない内需ループ前提の経済操作がアタマ悪過ぎるという話はした【337】【351】
 実はこの財政検討においては、更にその前段階で経済の理屈がぶっ壊れている。
 やれ賃金が上がって、消費が伸びて、企業の収益が上がって…という内需ループの絵をバカのひとつ覚えで出すのだけれど、本当はこれだけでは足りていない。
 賃金から消費に向かう矢印ともうひとつ、二股に分かれて紙面垂直方向で机に突き刺さる『役人のエサ』という絵に見えない矢印が伸びているのだ。
 内需ループの矢印の回流が、好況では太く速くなり不況では細く遅くなる訳だが、この紙面から漏れ出る『役人のエサ』分岐流がある限り、ループで起こるとされる因果関係は絶対現実にならない。循環水槽に大穴が開いていて、流量調節も水位変化も語るに値しないのはすぐ解る。
 内需ループを基本概念レベルから不成立にするような『役人のエサ』を主目的にしながら、その内需ループを根拠に持ち出して経済市場を操作しようとする矛盾に、考えが及んでいるヤツがいるとは見受けない。『あほの巣窟』は人知を超えて底深いのである。

 さて北米経済はじわりと政策金利を上げて来ており、つまり中央銀行FRBが一般経済市場の銀行に貸し付けているカネの金利が高くなるので、経済市場からは高い金利を召し上げカネを刈り取る方向となり、よって『好景気が行き過ぎないよう抑制する』操作がなされていることになる。
 あら羨ましい、北米はビジネスマン・トランプ君のお陰で好況に沸いているのだろうか?

 答はNOである。
 ずっと低い政策金利でカネを垂れ流し方向にあったため、日本みたく【594】のような紙切れの山を作らないよう緊縮財政に動いたのである。

 年を追うごとに明快な好況状態が確認できなくなっているのは世界的な傾向なのだ。
 ひとつに高度情報化・高速大物流化による内需ループの消滅がどの国にも等しく起こっているためだが、これに先立って、直接の物品・サービス以外の価値流通がどんどん肥大化し【588】、資本主義経済の仕組みが原理的に破綻してきている長期慢性の背景が、かなり以前から指摘されていた。

 これをもって間もなくガラガラポンの経済大原野時代が到来する訳では、もちろんない。だが結構な『人生の大番狂わせ』の可能性には腹を括っておいた方が良いかも知れない。
 ちょっと株式会社の資本集めを思い出していただきたい【589】
 ぶっちゃけアレと同じような原理で、国家が他の誰かからカネを用立ててもらう手段がある。
 国債というやつだ。国債を買うと、株券の替わりに債権証書が手元に残り、一定期間後に利子がついてカネが戻ってくることになっている。

 で、ウチの直系は大丈夫だったらしいが、ちょびっと外れた親戚内に、大東亜戦争で持っていた国債が全部ただの紙切れになった者がいる。具体的な額は知らない。
 空襲で焼け出され、国債どころか家財道具の殆どを失うほどの状況だったし、文句を言っても本当にどうしようもなかったはずなのだが、そんな時だからこそ貸したカネぐらい、しかも個人でなく日本国に貸したカネぐらい、返してもらわないとやってられなかったろう。
 でも結末は国債の全てが紙切れになってそれっきり。現実って、そうなる時にはそうなる。
 唖然も憮然もない。今のバカな大人どもは、その現実感に怯える知識が足りていないのだ。

 まあそこから積み直して、私が話を聞く頃には普通の生活にまで戻していた。これも現実だ。
 大事なのは、いつでも最新の社会で、まず自分が『価値あるヤツ、いると役立つヤツ』でいることだと思う。どんな経済媒体を、必要最小限どう持つかの議論がその次だ。
 自分が自然に取り組めて得意になれるネタ、見つけておけよ。見つからないうちは、焦ったり腐ったりせず、とにかく見境なく勉強しておくのがよろしい。良いコトあるぞ、保証する。

 バカな大人のバカな社会を大逆転する力を蓄えながら、次回も慌てずついて来いよ!
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【596】神の見えざるVRマニピュレーター [ビジネス]

 ビットコインの価格が急騰している。まあ自然な流れだろうと思う。
 『日本銀行はあの世です』説を教えてくれた中学社会科の先生の話をしたが【474】、確かこの授業の切り出しが、こんな黒板の一行だった。
  『お金がお金であるためには(   )が必要です』

 今でも憶えているが、え~っとぉ…程度に考えて私は正解できた。『信用』がその答だ。
 何しろ万札も五十円玉も、学習の初期段階にあるAIにでも見せたら、古新聞紙片や錆びたワッシャーと区別できない。ちゃんと価値あるモノやコトとその場の完結型で、社会常識で納得される交換が成立しなければ、通貨としての機能は持ち得ないのだ。
 南の島のでっかい穴開き石の方が、漬物の重しに使えるだけ偉いかも知れない。

 以前、既にどうしようもなく嵩んでいる国家債務の節目数値として1千兆円の額が取り沙汰されるのは、『1千兆円が全国民の保有財産総価値と釣り合う』とする考え方があるからだと述べた【540】
 だが売る気も無ければ買いたい物好きもいないような個々人の生活物品を、いたずらに資産計上して日銀の痴呆失敗代と比較したところで何の意味も無く、ただの時間の無駄遣いである。世界中を見渡した現代先進諸国において、これほど文字通り桁外れのダントツに愚かな中央銀行は他例を見ない。
 こんなになるまで、いやこんなになってなお、事態の悪化が止まらない理由は『日本社会で経済生活を送るための通貨は日本円に限る』という法律があるからだ。
 どんなに納得いかなくとも、日本国民は日本円の使用ルールに従わざるを得ない。役人や政治家が日本円ルールを我欲の自己都合で好きなように決めてしまえば、みんなの苦労で嫌々でも日本円がその通りに動き、自分らだけまんまとトクできる支配則だったのである。

 ここに『日本円が納得いかないなら仮想通貨を選べる』という別解が現われたワケだ。
 それを可能にしたのが、回線さえつなげば地球の裏側とでも瞬時に意思疎通できるインターネットと、そこで分別と自律を約束し管理し合うブロックチェーンの技術である。資本主義経済の原理に任せた市場空間でマジメに生産活動を楽しむなら、断然こっちが適している。
 もっとも、いまビットコインが急成長しているが、ついこの間その流通管理があやふやになる事件があったのは御存知の通りで、また法的管理の外側ゆえ反社会的な取引の手段にも使われてしまっていたりする。
 こうなると仮想通貨の次期フェーズは、経済市場プレイヤーとして信用に値する参画者の質を保つ、つまり知る人ぞ知る少数会員制の経済社交界のようなシステムが台頭してくると予想するが、いかがだろうか。
 超速で激変する経済社会においては価値変動も目まぐるしく変遷していくため、『短期的に一時性の有志会を募って仮想通貨で取引し、決算期限をもって解散し完結』を繰り返す形態が現実的となろう。
 ついこないだ主要大手銀行が万単位の人員整理を発表したが、単に業務の機械化・自動化が進む以外に、国内でまさかの日本円流通市場の急縮小がそれを要求してくることになる。

 公務員の給料は今後も日本円なんだろうし、ベーシック・インカムの支給も日本円だよな。
 当然の帰結として、公務員がせっせと日本円を稼ぎ出してベーシック・インカムの財源を捻出することになるワケだ。
 課税対象となる民間の経済活動は縮小する一方となり、現場の公務員の負担は苛烈化の一途を辿るだろう。相場知らずの優遇で労ったところで手にするのは所詮が日本円、賢くやっている民間市場に持ち込んでも、そんな『無益で精神衛生を害するだけの納税ツール』なんぞ誰も相手にしてくれない。
 せいぜい百万円の札束にでも仕立てて、汚職の袖の下に使うのが関の山ってとこか。いざ汚職がバレたとして、『ケンキョにシンシでテーネーな御説明をお約束します』で言い逃れてばっくれれば、誰からも本気で追及されたりはしないだろう。日本円がそこまでどうでもいい程度の価値にまで落ちているからだ。
 ベーシック・インカム受給者にとってはどうせタダで落ちてくるモンだから文句は無いし、そうすると公務員つまり役人組織の、従順だったはずの現場側からいずれ突き上げが来るのかも知れない。

 うん、道理に適ってるじゃないか♪

 でもバカな大人でないアナタは考えよう。へっへっへ~ざまあみろ、ではない。
 公務の就労賃金と、それにまつわる消費市場が衰えるとなれば、警察や消防など身近な安全保障を始め、道路など利便性を支える社会インフラの運用も、次々と破綻するのですぞ。
 だから、こんなことにならないために昔は堅実で質素な公務員業態があり【476】、日本円の安心を約束するプライマリーバランス黒字の目的意識が、普通にあった。
 『1千兆の負債をどうにかして解決できる』と信じられなくなった経済単位から順に、次々と仮想通貨に逃げ出していく。そしてその数が増えるほど仮想通貨の文化はみるみるうちに整備が進み、人々の納得が落ち着くシステムがあっという間に組み上がっていく。
 この潮流は現時点でもう止められないから、なりゆき任せにしていると程なく公共社会が荒れ、犯罪や事故が増えて暮らしにくくなるのは確実と思われる。

 だから私は、プライマリーバランス黒字化を投げ出さず象徴的に日本円の価値整備に努めるべきだ、公務員組織偏重の不満が庶民生活の目前に常在するような軽減税率は絶対に避けるべきだと言っている。

 そうそう、前々回『人づくり改革』と書いてしまったが、お気付きの通り『人づくり革命』の間違いである。あんまりトンチンカンに大袈裟な表現を使うもんだから間違えちゃったよ。その実態は未就学児の教育無償化その他なのだが、財源を引張る元はこの期に及んで未決定。
 もいっちょ『生産性革命』というのがあって、こちらは『いうこと聞いて賃上げをやった企業だけ優遇』=『いうことを聞かないヤツは苛める』というだけ、もう目も当てられない【591】
 いずれも現実とかけ離れた横車財政方針の場当たり放言である。

 元々が必要に追われ立ち上げた議論ではなく、『何がナンでも消費税を10%にして軽減税率を強行する』という役人組織のヒステリーが原因で解散して今があるため、ただでさえ無能な政治家どもが何をしていいか思いつけずに国会閉幕を迎えてしまい、悪いアタマで無理にひり出した意味不明の日本語だけを、苦し紛れで吐き出してみました…といったところか。
 で、当の役人組織は、今頃になってベーシック・インカム導入が軽減税率で目論んだ自分らのラクやトクにモロ逆行する事実に気付いてしまい、これまで隠してきたのも隠してきたのだが、今はどう公表するべきか判らなくなってしまったのだ。まさに『あほの巣窟』である。
 言いなりと忖度のマスコミ各社も、迂闊に口を滑らせると地雷を踏むのでダンマリかな。
 観念しな、経済原理にもとってのコトゆえ、抜け道なんか無えよ。

 辻褄の合わない悪いこと隠しごと後ろめたいことを企むと、いつか必ず行き詰まる。神さまは見ているのである。
 若いあなたがたは、この哀れさ惨めさを学習して、素直と正直で明日の社会を作り直そう。
 理不尽に腹だけ立てても良いコトない。鉄壁不動のゴキゲンで、ついて来いよ!
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【595】怒髪逆行テクノロジーの共済費 [ビジネス]

 いよいよ師走も中盤に差し掛かろうとしている。
 遂にというか実にここまで、公共言論の場で軽減税率が話題にされることは無かった。

 ソーリ世襲のチロくんも怖い怖い年長さんに口止めされたのだろう、あっけなく手懐けられて従順なことには、見ていて脱力するしかない。まだ若いのに大したイケメンのホープくんだよ。
 もっとも軽減税率をやったらやったで、公務員ことさら還暦公務員はベーシック・インカム受給の真反対側に立つことになる、この原理的事実は動きようがないんだが。

 繰り返すがカネというのは、関係者の世界観で限られた流通空間において、そこでの交換レートが正確に共有されていなければ機能しない。交換経路の途中で、何の役にも立たない嫌なヤツが割り込んで来てネコババするようなことであれば、関係者たちはそのカネを放棄して仮想通貨などの代替案に移行するのが当然のなりゆきだ【587】

 ビットコインは、言ってしまえばそこらの勝手な自由参加の同好会の中でのみ通用する仮想通貨であり、日本円の銀行預金のような法的保護の対象ではない。ある日サイバー攻撃の対象にされ、その数値をぐちゃぐちゃに操作されて価値喪失したらそれっきりである。そのリスクは確かにある。
 だが法的保護された日本円は、それで何か経済活動を行うたび、いつ何時にか納得の行かない用途に垂れ流されることを『合法だから』と泣く泣く承知せねばならないかも知れない。これはこれで更なる大きなリスクという考え方があって、何らおかしくない。

 インターネットを介して何でも起こってしまうこの時代だからこそ、むしろアナログ管理の価値交換もどんどん増えてくるように思う。
 魚と野菜の交換を例にしてカネの発生起源の話をしたが【246】、お互いが裏切らない仲良し同士なら『こないだアレもらったよね』『いついつにはコレが欲しいな』みたいな覚え書き共有メモがあればカネなんかなくても事足りる。双方で暗号を決めれば守秘も完璧である。
 アナログメモは経時劣化で故障することもなければ、バッテリー切れで内容が確認できないというトラブルも無い。そもそもスマホやPCなど通信機器を購入する必要も、回線業者と使用契約を結ぶ必要も、毎月の使用料を支払う必要も無くなる。
 全ては無いなら無いでその生活が始まるだけ、慣れてしまえばそれきりだ。

 一気に完全な脱デジタルまで行かなくとも、例えば単身世帯が集まったシェアハウスの進化型として、キッチンやトイレにリビングのみならず家電製品や自家用車まで皆で器用に共有しながら暮らす、ネオ長屋みたいな共同住宅形式が出現するかも知れない。
 自家用車なんかは、稼動管理のスケジューラーアプリを入居者全員で共有し、車に自分ちのUSBメモリーを差し込めば自動的に運転席の自分用セッティングが決まり、各入居者の使用履歴がブロックチェーンでクラウド上に残っていくとか、また一人が使用中に別の誰かが緊急要請となった折には、AIが稼動中の車の使用現況を鑑みて適宜近所の別長屋の待機車輌を当たりにかかるとか、利便性を工夫する余地はいくらでもありそうだ。
 あ!スマホ持ってりゃUSBメモリーも要らないのか。まあいいや。
 コインランドリーなんか既にユーザー認識でお任せ運転モードや施錠・解錠までやってしまう機種が実用化されており、大量の洗濯物を短時間に乾燥まで一気に片付けるなら、巧みなシェアリングでこっちの方が自宅自前より優位になる可能性は十分にある。

 デジタル全盛…というか、これ以上のデジタル進化もまだまだありそうに見える今日の日本社会だが、だからといって無条件で薄らぼんやりこの延長傾向が続くと考えるのもアタマ悪過ぎである。
  『こんな馬鹿馬鹿しい税金だけは、何としても払いたくない』
 あからさまな税制のアンフェアに対する険悪な抵抗感は、これまでに無かった新次元の動機で経済生活の平均像を動かすだろう。
 今どちらかというと『払いたくない』というより『払えない』の方が実情なのだが、そしてデジタル文化生活の先進的で華やかな印象により判りにくくはなっているのだが、もうかなり以前から、人々は人生を過ごす時間の中で、実質的にカネ絡みの生活を縮小し続けている。
 もう一段階これが進展するだけのハナシだ。『不便だろ、あり得ない』と思うのは勝手だが…

 その初期投資額やランニングコストを、恐らく『連綿と続く税務システム総収支の中の1アイテム』扱いにし、過去から将来に伸びる税務年表の全景に溶かし込んだことにして黙っているのだろうが、軽減税率にかかる新規発生費用はどう考えても莫大だけでは済まない規模のものだ【349】【431】
 にも関わらず初期投資いくら、ランニングコストいくらの話題なんぞ、数年前の過去にまで遡って一度たりとも耳にしたことがない。
 …っちゅうか以前はメッチャクチャな政策でも強行前提で偉そうにふんぞり返って豪語しまくっていた政治家どもが、ここ最近は軽減税率に限らずすっかり出不精の口数少なになりおって、これじゃ国民の理解を得た政策の遂行も何もあったもんじゃないと思うぞ。
 『知る権利』はどうしてくれる?シンシでテーネー、一回とぼけて御破算じゃないんだがよ。

 若者たち、軽減税率の論議がいつどんな形で開示されるのか、よく見ておけよ。
 録画ファイルは内容を忘れてしまうとオシマイで、開かないままお蔵入りになる結末が見えてるから、ちょっとしたレポート用紙や雑記帳なんかにでも書き留めて、そこらの見やすいところにでも置いときな。その方が『生きた情報』になる確率が高い。

 10年を待たずにあなたがたが、間違いなく現状に処置を下す側の立場になっている。
 その時の準備を抜からないよう意識しながら、ついて来いよ!
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【594】平和な箝口令ファミリーの愛情醸造期間 [ビジネス]

 前回のビール・ゲームの話題を続ける。
 今はメモ用紙で受注数を受け取り、発注数を決めて次に渡すだけだが、もちろん現実の経済は違う。自分が小売なり卸売なり工場なり、その立場の商売で暮らしていたとして成立性を考えてみよう。

 小売も卸売も自前で持てる倉庫の大きさには限度があるし、冷暗所保存など保管条件の維持だってタダではない。もちろんビールの長期在庫品をわざわざ欲しいと思う購入客なんかいないから、在庫は最小限が原則である。
 もうちょっと突込んだハナシをするなら、一時的なピーク在庫量めがけて大規模高経費の保管設備を持ってしまうと閑散期に無駄な税金や光熱費が出て行ってしまうため、保管設備はミニマム設定として商品のやりくりで何とかするのが割と一般的である。こういった恒常的に発生する財務負担のことを『固定費』と呼ぶ。
 その反面、街の酒屋となると地元のお得意さんが売上の大部分を支える上客となるから、自分ちの都合で発注数に足りない納品ばかりを繰り返す訳にもいかない。

 もちろん生産工場にも同じ制約はある訳で、例えばどこか工場見学に行った時の記憶を呼び起こして欲しい。『ほい、来週から2割増で生産たのむよ』と言われてふたつ返事で応え、その通りラインスピードがプラス2割にひょいと上がって、品質そのままにすんなり増産できると思うかね?
 逆にピーク生産量に合わせた想定で大量生産ラインを組んだとして、通常時は稼働率を落として運転したりすると、全てが秒単位で赤字を積んでいくことだろう。

 これが理解できたら、小売、卸売、工場の役に付き、思い付ける範囲で構わないから現実のお商売の切り盛りを想定し経営方針を立て、もう一度ゲームをやってみて欲しい。学校なんかだと、小売店や卸売業者、生産工場を各々チーム体制の配役にし、受注からの数量検討に制限時間を決めてゲームを進めるのも面白いだろう。
 各チーム途中経過の記録を残しておき、ゲームのあと全員で
  『5ケース刻みで増えてきた25ケース発注に、20ケースで応えてどうするんじゃ?』
  『うるへい!ウチは30ケース以上の在庫は持たん主義で商売やってんだい!』
みたいなユル系レビュー討論をやって遊ぼう。
 ともあれ最初は3人で深く考えずカンタンお手軽にやって、まずは余裕綽々でスムーズにゲームの結果まで得てしまうのがコツである。いきなり凝り過ぎると、何だかよくわからないまま面倒臭くなり、興味が萎えてきて発散したりする。
 うまく自分を、自分たちをコントロールしよう。これも勉強だ。

 さて前回の後半で触れた私のオリジナル案、プライマリーバランスと通貨流通量の制限を緩めた場合の再現ももちろん試してみていただきたいが、当然ながらビール出荷数つまり市場に出る通貨量はメチャクチャに膨れ上がる。
 日本社会にある有価物件のブツ総量はそのままに通貨量だけ激増するから、価値交換の現場において有価物件1件あたりの対価に釣り合わされる通貨も激増する計算となる。そう、『物価が上がる』操作となる訳だ。
 実際は失敗に終わったが、これをもって『ほーら、物価が上がったということは景気が良くなったということだ。みんな商売が繁盛して余裕がある証拠なんだから、消費税率を上げて良いんだよな』、これがちょっと前までのダメノミクスが主張する理屈だった。お解りかな?
 ここで『バーイ、マーイ、ダメノミクス!』と叫べば、その愚かさとカラッポ加減が体感できる。

 大人の読者さんの御家庭では、このゲームに続けて試していただきたい遊びがある。
 だらだらの巨額に溢れ返った市場通貨額メモをごっそり掻き集めて、一番下のお子さんでもお孫さんでも結構だ、『ハイ、これ全部オマエの借金ね』とまとめてドサッと押し付け一旦はゲーム終了。家族一同は逃げるように思い思いの自分の居場所に散って行くのだ。
 その借金請負人が児童以下の年齢だった場合、かなりの確率で泣き出すと思うが、こんなところで手を緩めるようなヌルいことではいけない。

  『お母さん、こんなの嫌だよ』 『いや、お母さんのせいじゃないから。知~らない♪』
  『お父さん、お願い助けて』 『ああ、まあ大きくなって子供に同じことをすればいい♪』

 この調子でのらりくらり返事をはぐらかしながら全員が知らん顔を決め込み、その子がどんなに困って泣いても最後の最後まで向き合わず放置する。
 その後は何も無かったことにして、永久に家族の会話でも触れないタブーにしてしまおう。遠まわしにでも口にしようものなら、老い先短い、怖い怖いお爺ちゃんが執拗な嫌がらせと嫌味いっぱいの指摘を、向こう一週間にわたり蒸し返すルールだからだ。
 あとは事ある毎、どうでもいい場面で御両親は『子供たちが元気に暮らせる明るい未来のため』とか、『シンシでテーネーに、家族の皆さまにゴセツメー致します』とか繰り返して、現実には実効策を何ひとつやらずにとぼけて暮らす。
 これでゲームの進行としてはOK、特にゲーム終了の節目は設けない。

 子供を傷つける、子供の心に深い傷を残すという表現は、こういう仕打ちをもって言う。
 お子さんもお孫さんも、家族思いの暖かく優しい情操を育みながら、学習意欲は満々で成績優秀の学生時代を経て、世のため人のために尽くす立派な社会人に成長すること請け合いである。これが『人づくり改革』だ。

 嘘でも冗談でも、ものの例えでもない。現在進行中、日本社会のガチの姿だ。
 使ったのは数字を書いた紙切れだけ、これで親子の信頼関係さえいとも簡単に崩壊する。これは是非『怖い』と意識して御記憶いただきたい。

 おっと、唐突だが忘れないうちの余談を。
 前回のアップの時から突然のことなのだが、某ファイルにコピーしておくため自分の文章をざっと拾おうとしても、数行いったところでカーソルがスタックしてしまい拾えない現象が発生している。勝手についてくるポップアップ広告が異常に重い訳でもないし、ただの文字フォントなので592回を重ねていても、過去のデータ総量なんか微々たるものでしかないのにな。
 他んちのサイトの文章なんかは問題も無く拾えるんだが、何かのバグだろうかね。
 まあいいや、そのうち元に戻るかも知れないし、しばらく様子を見るか。

 話を戻して、今回後半の借金請負人ゲーム、バカな大人がどれだけバカかを自覚させる目的の皮肉であることは解るね。
 若いあなたがたはこの知識を、誰か友達にいたずらででも負担をかける目的や、殊に自分より小さい子や弱い子を苛めるような目的では、天地がひっくり返っても使うなよ。遊び半分で済まないその辛さ、御存知だろう。頼むぞ。

 心得て着々と学びながら、今は大人たちの所業をよく見てやれ。形勢の変化は、意外な時期に意外な展開で訪れるものだ。予測なんかできないし、しなくていい。
 その時めがけて、もっともっと詰め込むぞ。ついて来いよ!
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