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【597】袋小路の落第答案レビュー [ビジネス]

 税制大綱が発表された。
 増税の線引きが年収800万だの850万だの、まあ大事なことではあるんだが、それにしても『所得税』という1アイテムの話ばかり強調しても仕方なかろうによ。
 何より軽減税率は富裕層・中間層どころか、全国民に四六時中、無駄な負担を強いる税制なのだから、どうするのか最も頻繁に語られていて然るべきなんだがね。
 この様子だと『必要に応じて消費税の軽減制度などを設ける』あたりの表現に落ち着くかな。

 …と言ってたら、NHKが軽減税率を直言しおった。
 これでマスコミ各社も箝口令を解かれ、今度は手の平を返したように軽減税率の対象品目やあの非現実的な作業プロセスを、『導入前提の周知』として競って話題にするはずである。役人相手のゴマスリ合戦だ。
 若い人たち、バカな大人どもが解禁されて喜ぶ瞬間の顔をよく見てやれよ。ちょいと脅されたり小銭つかまされたりして日本社会運営の自己分担ぶんを売り渡し、あなたがたが将来どんな酷い目に遭おうが自分さえ良ければ後は知らぬ存ぜぬで、せっせと悪政の片棒かつぐ卑怯者の顔だ。
 ここでは引き続きその悪辣性・破滅性を解説し、導入中止に追い込む手段を考えていく。

 この前の選挙を経て先週までの特別国会、どうにか形だけは与党長期政権の残像があったものの、国民を使い捨てるかのような裏切りで我欲を押し通そうとする役人組織の姿や、そのパシリ言いなりで右往左往するばかりの無能政治家どもの姿が、従来になくハッキリ解りやすく明るみに出たと思う。
 次の選挙で現状の勢力図は大きく変わるだろう。総崩れになっても不思議は無い。
 もういらんだろ?こんなヤツら。

 現時点で、結局『企業の賃上げ3%』という非現実的な指標値だけが勝手に言い放たれ浮遊している状態なのだが、まずありもしない内需ループ前提の経済操作がアタマ悪過ぎるという話はした【337】【351】
 実はこの財政検討においては、更にその前段階で経済の理屈がぶっ壊れている。
 やれ賃金が上がって、消費が伸びて、企業の収益が上がって…という内需ループの絵をバカのひとつ覚えで出すのだけれど、本当はこれだけでは足りていない。
 賃金から消費に向かう矢印ともうひとつ、二股に分かれて紙面垂直方向で机に突き刺さる『役人のエサ』という絵に見えない矢印が伸びているのだ。
 内需ループの矢印の回流が、好況では太く速くなり不況では細く遅くなる訳だが、この紙面から漏れ出る『役人のエサ』分岐流がある限り、ループで起こるとされる因果関係は絶対現実にならない。循環水槽に大穴が開いていて、流量調節も水位変化も語るに値しないのはすぐ解る。
 内需ループを基本概念レベルから不成立にするような『役人のエサ』を主目的にしながら、その内需ループを根拠に持ち出して経済市場を操作しようとする矛盾に、考えが及んでいるヤツがいるとは見受けない。『あほの巣窟』は人知を超えて底深いのである。

 さて北米経済はじわりと政策金利を上げて来ており、つまり中央銀行FRBが一般経済市場の銀行に貸し付けているカネの金利が高くなるので、経済市場からは高い金利を召し上げカネを刈り取る方向となり、よって『好景気が行き過ぎないよう抑制する』操作がなされていることになる。
 あら羨ましい、北米はビジネスマン・トランプ君のお陰で好況に沸いているのだろうか?

 答はNOである。
 ずっと低い政策金利でカネを垂れ流し方向にあったため、日本みたく【594】のような紙切れの山を作らないよう緊縮財政に動いたのである。

 年を追うごとに明快な好況状態が確認できなくなっているのは世界的な傾向なのだ。
 ひとつに高度情報化・高速大物流化による内需ループの消滅がどの国にも等しく起こっているためだが、これに先立って、直接の物品・サービス以外の価値流通がどんどん肥大化し【588】、資本主義経済の仕組みが原理的に破綻してきている長期慢性の背景が、かなり以前から指摘されていた。

 これをもって間もなくガラガラポンの経済大原野時代が到来する訳では、もちろんない。だが結構な『人生の大番狂わせ』の可能性には腹を括っておいた方が良いかも知れない。
 ちょっと株式会社の資本集めを思い出していただきたい【589】
 ぶっちゃけアレと同じような原理で、国家が他の誰かからカネを用立ててもらう手段がある。
 国債というやつだ。国債を買うと、株券の替わりに債権証書が手元に残り、一定期間後に利子がついてカネが戻ってくることになっている。

 で、ウチの直系は大丈夫だったらしいが、ちょびっと外れた親戚内に、大東亜戦争で持っていた国債が全部ただの紙切れになった者がいる。具体的な額は知らない。
 空襲で焼け出され、国債どころか家財道具の殆どを失うほどの状況だったし、文句を言っても本当にどうしようもなかったはずなのだが、そんな時だからこそ貸したカネぐらい、しかも個人でなく日本国に貸したカネぐらい、返してもらわないとやってられなかったろう。
 でも結末は国債の全てが紙切れになってそれっきり。現実って、そうなる時にはそうなる。
 唖然も憮然もない。今のバカな大人どもは、その現実感に怯える知識が足りていないのだ。

 まあそこから積み直して、私が話を聞く頃には普通の生活にまで戻していた。これも現実だ。
 大事なのは、いつでも最新の社会で、まず自分が『価値あるヤツ、いると役立つヤツ』でいることだと思う。どんな経済媒体を、必要最小限どう持つかの議論がその次だ。
 自分が自然に取り組めて得意になれるネタ、見つけておけよ。見つからないうちは、焦ったり腐ったりせず、とにかく見境なく勉強しておくのがよろしい。良いコトあるぞ、保証する。

 バカな大人のバカな社会を大逆転する力を蓄えながら、次回も慌てずついて来いよ!
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