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【598】瞬発世界旅行で見る明日の日本国交換レート [ビジネス]

 かれこれ15年くらい前になるだろうか、ウィークデー毎日の昼休み、日経の電子英字ニュースを読んで記録につけていた時期がある。
 昼食後すぐにネットを開いて、USD/JPY、EUR/JPY、EUR/USDなどの数値と、数行で書かれたその日の外為市場速報の英文記事を表計算ソフトのセルに手早く書き写す。そこから『せーの、ドン!』で午後1時まで半時間強、ネット検索を交え内容を理解しながら全速力で日本語訳を付けていくのである。最後まで到達できない時もあったはあったが、まずまず大方は読めていた。
 あのファイル、どっかにあるのは間違いないんだが見つからない。やれ私としたことが。

 確か中東の紛争だかで英軍が動くと、やはり投資家はポンド立ての資本を即刻で引き揚げにかかった。生産活動に注がれる国力の一部を戦力に振り向けざるを得ないから、国家としての全体像は生産性低下傾向となるからだ。ケンカ中でお仕事が疎かになっているヤツに出資して、良い刈り取りは見込めない。解るね?
 アフガン侵攻でも日々の戦況のニュースにUSドル相場が敏感に反応していた。日本で一般庶民相手に報じられるニュースよりも遥かに本気の状況判断を反映した数字が顕れるため、面白くて毎日楽しみに読んだのを憶えている。

 もちろん戦争だけではなく、BOJ Tankan=日本銀行(Bank of Japan)の短観(全国企業短期経済観測調査)などの声明、北米の失業率や住宅販売数など市場経済指標値の発表、各国の国政選挙は当然のこと、あらゆる世情を得て通貨や株価は激しく変動する。
 因みに、かつて土曜昼頃にやっていた『マネーの羅針盤』中の1コーナー『ブルベア羅針盤』(ブルベアコンパスと読みます)のブルとベアだが、『bull=上昇見込み、強気の攻め』『bear=下落見込み、弱気の退き』を意味する経済用語だ。
 え?クマさんが弱いの?と驚いた直後、強い雄牛の対語と知って妙に納得したものである。

 当時から既に日本の財務はグズグズと赤字を積み足しては立て直せない体質に陥っており、数兆円の市場介入を言い訳がましくちょびちょび…の無意味な経済操作ばかりが目立っていた【475】
 反面、北米では連邦準備制度理事会FRB(Federal Reserve Board)グリーンスパン議長の発言が興味深く、最初は『何でこんな裏含みっぽく煙に巻くようなモノの言い方するんだろう?ホントに米人かよコイツ?』なんて不思議だったりもしたのである。

 だってそりゃ投資家たちは八方手を尽して情報を掻き集め、電光石火の反応で資本操作を返して来るのだ。例えばFRBの政策金利の引き上げ姿勢がもうバレバレに見えちゃってたら、市場がそれに合わせてどっと反応してしまい、そもそもの政策金利引き上げの根拠となったはずの現状が当初と乖離してしまう。
 これでは世界最大の資本主義経済市場で財務政策を操れない。

 つまり、経済現況の事実に基づきながらも掴み所のない、嘘ではないが結論を確信できるほど明確でもない、ビミョーかつ絶妙な不透明さの意思表示が必要なのである。
 個人的には、謎かけ妖怪グリーンスパン爺の後任に続いたバーナンキおじさんもイエレンおばさんも、行き詰りが見え始めた資本主義経済のバケモノ市場と組み合うには、人間でありすぎたように思う。

 さて、そこで。今の日本国の財政動向も、もちろん世界中の投資家から注視されている。
 遥か以前から、見る人が見たら日本円はもう通貨としての経済媒体機能を疑われ、日本国内の消費現場限定の万能物品交換券としか見えていないはずだ。どうせ自国内で勝手に将来債務を積み上げているだけだから、見限り時だけ誤らないよう注意して賞味期限内に利用しましょうと。
 くだんの英文記事には、適宜JPモルガンやスタンダード&プアーズの国債評価ランクなども、例えば『景気見通しの発表が弱気につきA-からB++に格落ち』みたく載せられていて、民間会社の主観とはいえ経済動向の見方を学ぶには良い目安だった。
 そういや最近テレビで日本国債のランクの話しないねえ。箝口令か?忖度か?

 800万だ850万だ国際市場的には死ぬ程どうでもいい所得税のダラダラ論議、必要性も語られず実に唐突に転がり出た森林環境税に出国税、ただでさえ効率が低いとされる日本人の生産性に無駄な作業を上乗せし、莫大な新規導入費用と重いランニングコスト負担の発生が見え見えの軽減税率。
 一方なお累積し続ける絶望的な債務の完済を担う将来世代へのケアは、『人づくり革命』と題しておいてカネ出すと決めただけ、しかもその財源は未定ではなく『ありません』だから実現性は感じられない。
 『生産性革命』とやらは、海外企業に避けられ嫌われ続けるヘビー級の法人税を、無理な賃上げ要求に応えたら割引いてやるとチラつかせるだけの粗悪イジメ税制といったところか。
 世も末だ、まったく。

 『むかし、わるいおうさまがいて、わがままのためにひとびとをくるしめてばかりいました』
あたりの切り出しで幼児向けの絵本にでも出て来そうな未熟放言の数々、政治とは程遠いボロ愚策の断片群もいいところである。これでは必然的に日本国の生産体力はガタガタに低下するだろうから、既に日本円や日本株その他の日本国内資産は値崩れのリスクが漂っているはずだ。
 今はまだ『税制大綱が決まった』段階だが、軽減税率名目の予算計上を始め、この財務計画が実際に数値で顕在化するにつれ、段階的に日本市場への投資マインドが後退し現存のアセットは海外に引き揚げられていくことになると予想する。
 本格的に『世界の中で日本国の価値が落ち目に映る』と言えば解りやすいだろうか。
 こんなものが隠蔽され箝口令を布かれ、国民の目に触れないところで勝手に決まったことになっている日本社会の異常事態に気付いておこう。近所の大陸や半島とどっこいじゃねえか、もしかして?

 ここまで解って、来年度予算の行方を国民全員で監視しよう。
 近年とても現実とは思えないくらい役所も政治家も質が落ちており、国際的視点で海外と相対的に日本経済の成立性を維持管理するようなコンセプトは、丸ごとすっかり抜け落ちていると見受ける。
 箸にも棒にもかからない破滅的な決め事をするのも愚かなら、結局それを実行もできずに発散してオシマイになるような幼稚さまで年々顕著になって来ており、自発的な撤回による改善までは望めないにしても、日本社会の周囲が協力して自滅を食い止めるぐらいの余地には賭けた方が賢明だろう。

 世界経済を日々眺めていると、ある日アルゼンチンが経済破綻したり、どこの国だったっけか堪え切れずデノミに踏み切ったり、大震災に見舞われ今日も普通に動くはずだった経済市場が突然停止したり…といった一文が、実にあっけなく飛び込んでくる。
 この日本国だってその世界経済の一角に過ぎず、言ってしまえば元々日本円の信用ランクなんぞ十二分に相応に見透かされていて、それをここでまた判りやすく貶めた今があるのだ。

 カネは人の信用で機能するがゆえ、物理的なイナーシャはなく起こる時には一瞬でどんな大ゴトでも起こってしまう。限られた人生の時間の中で、いま取り組みたい課題と必要なモノ欲しいモノが先、経済媒体はその次という意味が解ると思う。
 カネは無いと困るが、よく解って持って、きちんと考えて効くように使いなさい。

 真先にカネばかり欲しがるバカな大人にカネつかましても、良いコトなんかありゃしないさ。
 何がしたい? 何が欲しい? どこに行きたい?
 自分の課題を探しながら、ついて来いよ!
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