【44】燃えゆく地球の輝き [ビジネス]
今年もあっという間に年の瀬が近づき、ホームセンターを散歩すればイルミネーションの特設コーナーが光り輝いている。
まあきれいはきれいだし、それを生き甲斐にまでしている人もいるようなので、あながち悪いことだとも言えないが、やっぱりもったいないのは間違いない。
あれだけ見映えに気合を入れるのなら、太陽電池パネルでも設置して日中充電するなど、多少でも省エネルギーに気合を分けてはいただけないものだろうか。
数年前に軽く計算してみて驚いた。
二酸化炭素の世界総排出量が年間240億トンだったから、
世界人口60億人で割ってもひとりあたり4トンということになる。
1年は365日しかないから、1日でひとり10kg以上を排出しているのだ。
毎日、2㍑入りペットボトル5本分以上の重さのドライアイスを空中に放っているのである。
さすがにいけないことが起こりそうな実感が湧いた。
京都議定書は、来年以降の5年間で1990年時点の排出量に対して6%減を謳うものだが、この目標は現在の排出量に対して20%減に相当するといわれる。
つまり5日に1日は、電気もガスも原子力も、人工エネルギーの使用を完全に停止せねばならないことを意味する。治安さえ維持できれば意外と楽しくて良いことがありそうな気もするが、現実はそうはいかない。
もちろん排出量を少々減らしたところで、排出はしているのだから二酸化炭素は増え続け、地球温暖化は加速度的に進行する。その速度ではなく加速度の方を、ちょこっと鈍らせる程度の効果しか期待できないのだ。
最近の家電は、時計の内蔵はもちろん様々な設定を記憶して作動するものも多いから、これらのスタンバイ電流を止めるのはかなり不便であろう。また防犯上、ずっと電灯などをつけておきたいこともある。
これらもゆくゆくは何とかしたいところだが、まず当面は、切羽詰った必要とは縁遠い贅沢品に手を打つべきではなかろうか。
到底個人住宅とは思えないほどに配電盤を強化し、満足気にエネルギーを浪費している時代ではない。
現代生活は、燃料も環境もみんなのものを食い潰して成り立っているのだ。光り輝く御自慢のお宅を前に、自分は何が欲しかったのか、それが本当に必要なのかを、オーナーが環境や経済の識者とともに振り返る冷静な報道はひとつぐらいないものか。
テレビや雑誌などのマスコミが、きらびやかな見映えの競争を煽り立てる姿も定着してきた感がある。市政広報にまでコンテスト企画が載っていた。
わずかながらでも、太陽電池や風力発電を工夫するもよし、暖房や風呂の熱エネルギーを回収するもよし、あるいは図面を引張りだしてミニチュアの自宅建造から始めるもよし、
もの作り日本の復活をかけて、地球を思いやる心も煽り立ててはくれないものだろうか。
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