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【1245】遠く彼方の単純明快と揺らぐ足元の深層崩壊 [ビジネス]

 そうか、今年はうるう年なので今日は2月29日なのだよ。

 地球の公転一周にかかる天文学的1年の長さは365.2422日なので、太陽暦のカレンダー通りの一年365日だと、ホントいうと公転一周し切らず0.2422日ぶん足りないところまでしか行かないのだ…と子供のころ勉強した。
 これが4年たてば未達ぶんの蓄積が0.9688日つまりほぼ1日となるので、4年に一回うるう年を設けてカレンダーに2月29日を加えましょうと。
 すると今度は4年毎に0.0312日ぶんカレンダーが進み過ぎる計算になる。従って100年に一度はうるう年の巡りになっても2月29日の設定は見送ることにしましょう…で間違ってないはずだ。24回蓄積した過剰ぶん0.7488日を1日さっぴく処置で解消する。
 これまた0.2512日がさっぴき過ぎになるので、400年に一度は100年巡りであっても見送らずちゃんとうるう年にするってことで、今のところ天文学的サイクルに対する太陽暦カレンダーの端数処理が計算式として決まっているのはここまでだと思う。

 改めてよく考えると意外なのは最初に出てきた365.2422日であり、端数はほぼ四半日なのだから6時間近くもカレンダーの刻みと齟齬が発生しているという事実である。
 元旦の日の出にでも、夜明け直前の他の星々の位置を記録しておき、その年の大晦日の同時刻に、おんなじ日の出ではあるが、星座の位置がなるほど6時間ほど遅れているなあ…みたいな確認をわざわざにしないから気にならないだけのことだ。
 一年365日のうちに約6時間つまり360分ほどずれるということは、毎日1分近く星空の進みが遅れていっているのだけれど、日常生活には特段の不都合もないので皆あんまり気にしていない。

 ここまで書いて『もしかして』と思ってちょっと検索したら、やはり今どき六分儀の作り方があちこちネットで紹介され、いくらでも見放題になっている。電気も食わないし場所も取らないし、好きな人は自作して、御自身の日常生活で公転周期の端数を実感するトリビア方策など探してみてはいかがだろうか。
 私は無学にして四分儀や八分儀との違いを解説することができないのだが、どれでも構わないので工作が簡単そうなやつからでも試してみると良い勉強になると思う。

 計測装置を自作しようとすると、関心の対象について科学的ロジカルな現象モデルがまず確定している必要があって、そこに確信のある計測原理を適用して目盛の読み値を得るのだから、欲しいと思う対象現象と測定行為の世界モデルが共に破綻なく頭の中に構築され、組み合わさっていなければ叶わない。
 とりあえず工作を頑張ってそこそこ計測器っぽいモノができたとして、その自作測定器の指し示す値を頼りに、あなたは決めた方角にぴったり10キロあるいは20キロと移動することが可能だろうか。スマホのGPS機能で簡単に答え合わせができるのだから便利な時代になったものである。

 大航海時代に外洋に乗り出した帆船は、その程度の航路保証に信頼を置いて命を預けざるを得ず、読み誤りがなくとも周囲に何ひとつ見えない海原ばかり何日も何週間も続いたろうし、水も食料も決して潤沢ではない航海だったはずだから、かなりの高確率で乗員組織の統率崩壊による遭難事故が起きていたものと察せられる。
 首尾よく海を渡って帰って来れれば船いっぱいの積荷ぶんの商取引が可能だが、その儲け話は死と背中合わせの大勝負だったに違いない。
 こんなシビアな条件下でとにかく生存確率を上げたくて、悪天候に強く食料備蓄にも余裕のある大型船が望まれ、逆境にも勘が鋭く冷静で適切な操船を誤らない腕利き水夫集団が求められたのだが、当時の経済社会の限界として、ただのカネ持ちに集まる程度の経済力では資本調達が間に合わない。

 そこで通貨を介して誰でも売買できる『株』と、その取引の場となる『株式市場』が発明され、不特定多数の経済力を集中させられるようになり、その基本原理は現代にまで受け継がれている。株式会社をはじめ経済組織なるものが、人間個人では到底不可能な社会力を実現したのと同時に、その人間個人の誰からも離れて浮いた『組織の自我』なる意思決定系の情報処理が発現した、人類文明の象徴的な変化点である【589】

 つい先日、日経平均株価がバブル期以来の最高値を更新したそうな。
 もっとも現状市場動向の長期的な平衡点としてすっかり定着している円安によるところが大きく、要は、実はそこまで大したことない平均株価なのに、それを価値の低い円で買おうとするんだから大枚はたかないと買えません、その大枚の額が過去に例を見ないレベルにまで行っちゃった…と、そういう種明かしだ。
 どこも『最高値』だけで終わらせず『円安の影響』までセットで論じていたのは、当然の事実報道とはいえ一応ほっとしている。いま国政の前時代式ままごとチカラ関係がこれだけ同時多発的に崩れてきて、もうどん底景気をとぼけてニッポン絶好調の大合唱で御機嫌を取る相手もいなくなっているということなら正しい展開なのだが。

 株価が素直に上がらないのにそれなりの理由があるのはもちろんで、これだけ劣化して何が主力産業なのかもはっきりしない日本経済において、まだその切迫性に真面目に向き合えない円経済の運営層の実力を見抜かれているのである。この現状になお体質改善の兆しが見えないのだから、確かに総じて明け透けのハズレ株ということになる。
 今まともな成人社会人なら日本国ごときに改善努力なんぞ期待しないのが自然な判断だろうが、一方で米大統領選の影響は少なからず効くだろうから、近々の番狂わせを当て込んで格安の日本株をがめておくという購買動機は十分活発にあって不思議は無い。
 すると格安日本株のがめ合いになり、株価が上がり、その株価を紙屑のような日本円で値付けしたら『バブル越えの過去最高値』になっちゃいましたという顛末なんだよな。情けないハナシである。

 …で、私自身は結構トランプ君の返り咲きがあり得るというか、むしろ期待しているのだ。史上もっとも存在感のない=大統領ポストの機能に穴を空けたバイデン爺には、かつての反トランプ派も含めて全米が不満を感じていることだろう。バイデン政権で北米がどうなったのかを訊かれても、答える文章を咄嗟に思い付けないもんな。
 御存知の通りトランプ君はとにかく『我がまま、北米のまま』が彼なりの理屈で明確であり、モメようが先に言うことを言ってしまって結果としての現実が対応してドタバタする順番のため、ジョブ単位でわかりやすいのだ。
 そして北米も近代経済システムの原理に由来する本質的な問題を抱えていて、しかもそれがじわじわ進行中だから、程度の差こそあれ、決して『日本を重要な経済パートナーとして特別視して優遇する』ようなおめでたい方向性の政策は採ってこない。
 トランプ君なら高らかに自国擁護を明言しつつ仕掛けてくるだろうから、国際経済は大きな振幅で反応する。日本国内のシケて腐ったぐずんぐずんよりよっぽどコミュニケーション係数が高くて、見ていて理解して学習しやすい。

 前半の毎日1分ズレのハナシなんかもそうだが、毎日自分なり=情報源や受信経緯が確信的に把握できている観測記録を残していくと、測定精度はしょぼくても観測にまつわる事実認識が強力なため、最初気付けなかった対象物の特性や作動原理が見えてくる。

 逆説的で申し訳ないが、今の日本国内は何もかも支離滅裂で空中分解が進行中なので、これから興味を向けようとする試みの対象としては、あんまりオススメできない。
 わざと意思疎通を避けようとするコミュニケーション不全の空間では、受発信される情報は意味を持たないし、その後の現実にもロクな効果を及ぼさない。時間の無駄だ。

 測定に値するマトモな通信を観測しよう。その未来の学習効果にグッドラック!
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