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【599】夕食革命の経済学 [ビジネス]

 あら、こりゃ日曜日のクリスマス・イブに600回目になるのか。
 人気トピックのステロイド離脱のハナシも早く手を付けたいのだが、経済がどうしても捨て置けないのでもう少し続ける。
 いや今月で満5年、痒い痛いの苦痛はすっかり解消されたが、断続的にこのふた月、首から上だけ温度制御が狂乱走馬灯になり困り果てていた。体がもう傷にせず発汗で代謝するためなのだが、まさに異次元。頭の中の文章をタイピングするだけだからとはいえ、よくここの更新ペースが守れたものだ。
 首のリンパのむくみが消えて来たので、このへん交えて近々総まとめがやれると思う。

 さて多額の資本をあっちへこっちへ動かして利益を上げる投資家たちは、事態を見誤って投資先を間違えたら大損害を被り食えなくなってしまう。よって、限界までシビアに現実を見抜いて先を読む競争に明け暮れ、ライバルに先んじてカネを操作しないと生きていけない。
 手持ちの資本はガチのガチで運用の負担が最も軽く成長率の高い社会に投じたいから、規制が寛容かつ煩雑な雑務がなく生産活動に専念できて、税負担の軽い国に資本が流れやすい。
 今回の税改変はこのコンセプトに逆行するものだが、だからといって日本から一気に資本流出してオワリ…とはならない。

 日本円や日本株の価値が落ち目になると、もちろん市場の大勢が値崩れする前に売りにかかる。すると値が落ちる。
 値が落ちると今度は『安い時に買っておく』志向の買いが集まるので、値崩れはすぐに減速し、時に反発して上昇するのだ。この価格変動の検知と売買操作の判断は、機械化・自動化が簡単であることがすぐイメージできると思う。
 同時に幾つもの操作対象が相手となると人間が太刀打ちできる余地は無く、よって偶然から必然から、閾値を越えた変動は片っ端から機械が拾って反応することになる。最近は前回紹介したような世情と数字の相関は、機械反応の嵐の中ダイレクトには見えにくくなってしまっているはずだ【589】
 だがだからこそ、基本原則に戻って市場の地盤体質を見抜き、大きなタイムスケールで捉えた『損しない投資先』が選ばれることになる。

 いま日本市場にとって本当に大事なことは、『日本社会が生産力の底力を持っており、それが健全ハツラツに、生産しやすい環境になっている』という判りやすい事実だ。
 それが国内外で文句なく認知されれば、自然と株価は上がるし景気も上向くだろう。

 いま日本社会の生産力の底力は、どうなっているだろう?どう見えているだろう?
 事故でも人為でも、生産力低下と見受けられれば資本は冷徹に引き揚げられてしまうのだが、近年に目立つのは人為的ミスの方ではないだろうか。
 正しく生産力を発揮できる理屈があるのに、それを『意図的にしない』日本社会なのだ。

 財務粉飾は、最もわかりやすくは株式会社の経営難が露見して自社株が値崩れし、会社が資本喪失に陥るのを防ぐためなどの理由で、まあそういう財務状況になったら普通にやってしまいがちなものである。もっとも有名大手がそんなことになるのは十分マズいのだが。

 それよりも『割高だが高品質』を認められていたはずの日本製工業力そのものが、その初期品質も運用管理もイメージ通りの優位性を持たないと見えるような、しかも過去に遡って、実は昔から大したことなかったとさえ見えるような事件が連続したのが心配である。いま偶々お疲れなのではなく、元来の底力が偽りの幻影だったかのように取られてしまいそうな…
 何故こんなことになったのかの議論はあるんだけれど、もし『経済第一』のコトバが本当であれば、とにかく問答無用での無条件で、一刻も早く国内企業の経営負担を軽くする政策が必要ではないのか。

 税金資本でカネをだらだら流し込むのではない。
 それで経営の一面がラクになるのは確かだが、数字を書いた紙が効くのは、それで処理する領域のみでしかないのである。
 そうじゃなくて、納得の社会生活を送る安定した優秀な労働力、もちろん単純計算で若いほどパワフルな訳だが、これを日本中に目いっぱい増やさなければならない。違うか?

 ただでさえのこの少子化社会で、子供の6人にひとりが貧困なのだ。
 シングルマザーが親子あわせて一食100円強で頑張ったとすると、一日300円強で1ヵ月の食費は1万円、1年で12万円。ざっくり食料品11万円弱を買って約1万円の消費税を払う計算となる。
 このお母さんに無駄なレシート処理の日課を強要し、隷従したら年間わずか2千円返してやるというのか、還暦公務員が。
 その2千円がどうしても必要なお母さんって、優しく楽しく子供と食事できるのだろうか?
 直近20年以内に社会で始動する次世代生産力の1/6に対し、こんな負担を上乗せする国政動向が現実に顕れたとして、投資家が日本国の将来をどう見通すか解説は不要だろう。
 その20年の開始時点で、どうせ税収20年分の債務が積み上がってるワケだよ【578】

 せめて10歳までの子供はお母さんの手作りで夕飯を一緒に食べられるような社会の仕組みを構築し、次世代の生産力を支える豊かな情操を少子化社会で洩れなく育む。
 『人づくり革命』『生産性革命』なんて仰々しい表現を使いたいなら、こんな目的事象を直接実現する政策でなくてはならないと思うのだが。

 ふう、さすがに次回はちょっと柔らかい内容にしますかね。
 政治経済に興味薄い方にはお疲れ様のゴメンナサイだが、私と違ってこっちはほかっても治らんですぞ。
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