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【1132】緊張感スケールに引かれた赤ラインの安全率 [ビジネス]

 NHK朝ドラで長井さんとこの作業場にあった二軸の転造機、興味あるなあ。
 ちゃんと取り上げ方を体系整理してからでないと機械工作に深入りはしないということで決めたワケだけれど、機械工作の本題でないところでちょびっとだけ。

 加熱した試作品のネジをやっとこで摘まんで、ブジュッ!と水に浸しているが、ちょうど粘土で作った概形素材に螺旋状のローラーで型押しして作るようなネジ転造の工程において、実物の粘土みたく一発押しただけで大人しくその形で落ち着いてはくれないため、チカラずくで押さえ込まれて金属組織に溜まったストレス=『応力』を、あの熱処理で取り除くのである。
 『焼き入れ』『焼き戻し』『焼きならし』『焼きなまし』といろいろあるが、深入りするとヤバいな、そのへん詳細はまたいつか。いま気にするのは、加工品を金網のバスケットみたいなのに入れてディップしたり、試作品を素手で持っていたりするところだ。まああのシーンは素手で何の問題も無いんだけど。

 工作機械も加工素材も製品も、ちょっと置いておくとすぐ表面から酸化してしまう…つまり早い話が錆びが来てしまうため、ああいう製造現場ではいろんなブツが機械油に覆われている。
 だが、とある機械システムの作動実験では、そんな機械油が『どこにどれだけくっついているものなのか』が調査対象になっていたりするのだ。ある条件設定で既定の運転を行って、そのままそお~っと分解し、部品のひとつひとつから機械油を洗い落として付着量を測定するのである。

 そんな測定において、20世紀の頃は『洗浄フロン』なるものが使われていた。
 フロンは御存知オゾンホールの原因と言われて取り沙汰された物質だが、『フロン』と言ってこの世でただひとつコレ!と特定できる訳ではなく、実はいくつも種類がある。よく話題に上がったものに、半導体など電子部品の製造工程で洗浄剤として使われるフロンがあり、私はあんまり詳しくないのだが、後にこれは水洗浄主体のシステムに置き換わったと認識している。
 今や最盛期の見る影もなく衰退してしまった日本の電子部品産業だが、その主産地は東北地方や北陸地方など綺麗な湧き水の潤沢な地域が中心だ。飲料水や農業用水としてだけではなく、電子部品産業にとっても日本列島の擁する淡水は類まれなる自然の恵みなのである。いずれの時に備えて覚えておこう。

 おっとっと、そういうことで『フロンガス』という聞き慣れたコトバもあるがそっちは別にして、常温常圧で水のようにさらさらの液体になっている『洗浄フロン』なるものがあり、部品から機械油を徹底洗浄するため、その強力な脱脂力を利用するという現場作業があった。いつでもささっと部品洗浄できるよう、使いやすいフロン洗浄槽と作業台が整えられていたものだ。
 一般家庭で『このテレビCMで到底あり得ない、しつこい油汚れをどうしよう?』みたいな状況に悩まされている人たちは、感動しまくるんじゃないすかね。そりゃあもう、アレもコレもすっかり落ちて、さらっさらすべっすべ清潔な表面を取り戻す。

 この洗浄フロン、腐食性もなければ浸透性もなく、素手でじゃぶじゃぶ触っても別に何てことはない。もっとも脱脂力は最強なので手指の表面も工業清浄的にすべすべさらさらになり、粉は吹かないが、コンクリに手をついた時のように、指紋に沿って表面が真っ白になる。まあこれもすぐ元に戻るので、気にすることは無いんだけど。
 …って、工業用の脱脂洗浄剤に素手を突っ込んで、普通に人間が遭遇する自然環境と一緒のはずないんだよな。だから航空機用ネジの試作品をディップしていた、ああいう金網バスケットを使うべきなのだ。だが私はバカなので、ついつい機械油のちょっとした洗浄作業を素手でやっていた。

 そんなことをしていたから手指がバリバリに乾いて傷んできて、それでも懲りないバカだったので、その対処にステロイド外用薬を使ってしまったのである。
 当時すでに依存症になるという知識はあって注意していたつもりだが、結局のところ長期的の慢性的な使用ペースになっていたのは間違いなく、今こうしてその安直な健康管理意識の失敗を償っているところだ。知らぬが仏で大損害の原因を仕込んでいた。

 プチ横道だが、実はこの程度たいした失敗でもないっちゃなくて、昔の工場職人には指先を失ったり手足に盛大な傷跡を残している人は少なくなかった。そういう『名誉の負傷』の証をひとつでも持ってようやく一人前、みたいなことを言う風潮さえあったから、戦後から高度経済成長期の現場の素朴さ厳しさが窺い知れる。

 さて改めて洗浄フロンそれそのものには何の罪も無く、そんな安全で便利なツールにだらしない油断を習慣化させた私の問題を考察しようというハナシだ。
 家事で食器用・台所用・衣類用などさまざまな洗剤に手をさらす皆さま、どの製品も健康被害のリスク配慮は十分されているはずだが、何より『自己管理として、減らせるケミカル負荷をできるだけ減らしておく』という心掛けはしておいて損はないですぞ。

 家事を工夫するにしても、お肌ケアに慎重さを研ぎ澄ますにしても『何をどこまで』の判断基準なんか無いし、生活の必要に駆られたらそんなことも言っていられない、というのが実情になるのは普通だろう。だが『しょうがない』で結局一線を越えてしまったら、結果として普通でない重たい処置から逃げられなくなる。
 では『しょうがない』が行き過ぎない現実解として、どうすればいいのか?

 普段から意識して『一応の精一杯』を頑張っておいて、一番のポイントは『健康トラブルが発生した時、身ひとつ細工ナシの静養で改善するかどうか』の事実確認を、結構な期間横暴キャラを決め込んででもきっちり見切ること。これだと思う。
 クスリに頼らず、自分の身体の自然な対処がどう解決するのか確かめる。特に湿疹や肌荒れは、損傷した体組織の廃棄過程の出口側である場合が多いと思われ、真因が深いところだと数週間から数ヶ月かけて解決するケースが案外と珍しくない。
 見かけに影響してしまうと何かにつけ辛くなるが、そこは必要に応じて、非難轟々を聞きながら天の岩戸を閉ざして引きこもるしかない。そう、この判断に『つい躊躇する』ことこそ『ついつい油断してクスリを濫用してしまう』という過失の一線なのだ。

 ステロイド完全断薬から10年強を経て私は『うう~調子悪い、戻るまで寝るっ!』で、痛み痒みや不快感にも悩まされず平和に眠って済むようになった。内容を正確に思い出せないが、凝った長編ストーリーの夢を見た読後感ならぬ観後感が毎回残る。
 頭の中では何かが起こっているらしく、断続的に頭蓋骨の中に突張り棒が入っているかのような内圧感があって、なんとモノを注視していて視野のあっちこっちが次々と瞬間的に盲点同様の空白映像になる。視神経が一本ずつヤク離脱しているのだろうか。
 ストレージ機能も何がどうなっているのか、さすがにもう丸一晩ではないが『脳が眠ろうとしない』状態に陥ることがあり【377】【643】【747】、そんなとき覚醒を自覚しながらも、明らかに頭の別の端っこで夢のストーリーが進行していたりもする。

 こんな体験を積んでいると、どこかの事務所で外国人ふたりが英語で会話している場面を、積み上げられた書類整理箱の間から傍観している夢を、その内容を吟味しながら見ていたりもするのだ。自分は完全に観客なのである。
 うむう、夢とはやはり記憶のデフラグ中に閲覧した記録ファイルの内容認知であって、『夢の世界』に自分が飛び込んで覚醒時と同じように振舞う、そんな体験型の仮想空間劇場ばかりではないんだろうな。
 現状のこんな離脱フェーズのお陰でというか、かつてのように赤鬼のように腫れて顔面傷だらけってことはないのだが、顔じゅう薄っすら紅潮斑の地図がパターンを変えながら常在しており、目から上は久し振りに粉を吹いている。早くよくなってくれないと、見かけはともかく皮膚片が目に入るからコンタクトレンズが使えないんだよな~

 …と、このくらいにまでは到達できた。
 発覚してから足の速い疾病もあるのは事実で、必要な処置を手遅れにしない注意力は必要だ。だがクスリは健康の自律に対して外乱であり、外乱なら乱れが自然に収まる過程の消化も必須である。そして『ほかっときゃ治る!の手放しで健康』、これが本来は維持操作の手間が不要なゼロ標準だと肝に銘じておこう。

 儲かる投資先を探すに先んじて、これからの時代『ただの健康』に固定コストを発生させるのは賢明ではない。明日の元気に、グッドラック!
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