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【1264】不思議の国の一糸まとわぬダメオヤジ [ビジネス]

 そうそう前回書き忘れたが、とにかく体の芯から廃棄物がまとまって湧き上がってくると、そこが欠損する形で深い濡れ傷になる。中身が見えちゃうしメチャクチャ痛いし、断続的に滴下するほど流血もするしででタイヘンなのだが、とりあえず最終的には痕も残さず治る。
 特に女性なら見かけ商売でなくとも気が気でなくなるんだろうが、うろたえていろんなクスリを塗り込んだり余計な細工を持ち出したりせず、欠損しちゃった部位は大気開放で、出るモノ出しては乾かして崩れ落ちるに任せるのが基本だと思う。お互い慎重に冷静に、大事に行きましょう。

 さてNHK朝ドラ『虎に翼』は来週大きくストーリー環境が変動しそうだ。
 先週いっぱいで、トラちゃんパパが検察による『自白の強要』を証言し、被疑者の自白こそを金科玉条の証拠にして立件しようとする検察に勝訴した。

 このシーンの判決文『水中に月影をすくうが如し』とは、
 『水面に映る月の姿を実体あるブツ扱いして、水に手を突込むばかり』
 つまり画像という『情報』だけ手に入れて、それを根拠に『あるはずのない架空の現実』を収穫しようとして、静穏な置き水を掻きまわして汚すだけのことにしかなっていないぞ、という意味だ。

 コレ実際の史実がどうだったのかは知らないけれど、新進気鋭の若い裁判官が長いものにも巻かれず余計な情状にもよろめかず、この判決文で断じたとするストーリー設定は実に清々しく痛快である。

 『予審』という用語は、私はこのたび初めて知ったのだが、ありていに言えば裁判の仕組みにコトを乗せる前に、被疑者を拘束し検察が事情聴取するプロセスだと理解してよかろう。
 劇中では『もちろん今は廃止されていますが…』と解説されていたが、なんのことはない、今もなお日本の検察の初期稼働は『国家機関が一方的に個人を捕えて、一般社会から隔絶する形で閉じ込め自白を強要する行為』と指摘されており、かねてからこの現代ニッポン『人質司法』は国際的に批判を浴びている【905】

 もっとも悪意を動機とする『犯罪』のケースにおいては、証拠隠滅にしても偽証にしても狙って悪知恵の手も込んでいるだろうから、被疑者を精神的に追い詰めて本人の口から語らせないと、真相解明が面倒かつ困難であろうことは想像がつく。故に私は一概に『人質司法』の実効力を否定しない。
 ただ劇中のように、よりにもよって検察の側に『真実の在処を偽りたい意図があり、それを被疑者に証言させる』というよこしまな目的があった場合は、なおさら面倒なことになる。
 本来なら、念には念を入れた人材採用とその後の組織内教育により、司法機関に関わる人員は三権分立の一角を担う立場を自覚して、私的な感情や思考を完全に封じて職務に徹する自律行動規範を保証せねばならない。これが叶ってこそ『人質司法』の有効性議論もできるというものだ。

 だが司法機関に帰属したからといって所詮はただの人間でしかなくて、この自律行動規範なる『情報』を記憶ストレージに教え込まれたところで、現実の行動選択は結局どうにでも違えてしまえる。
 むしろ採用選定をパスして規定の教育課程を通過した時点で、人間という出来の悪い情報体は、それを根拠に『個人の我を通す』方向で動いてしまいがちだ。これはそいつが人間の素材として人格が粗悪でボロいとかいうハナシだけではなく、情報体・人間に等しく宿る不安定性のようなものだと思っている。

 個人では『信条』として記憶された『情報』の意味する通りに真直ぐやれるはず、むしろ人さま世間さま視点から反目と映るような横暴など怖くてできないのが普通だ。
 ところが規律枠にジブンをぴたり押し込む時の僅かな内圧が『逸脱の行動選択』の潜在的な原動力になって封じ込められており、これが群れを成すと似た者同士の間で共有され、共同戦線を張って組織力として鎌首をもたげてくる。『権力は腐敗する』とよく言われるが、その原因のひとつがこれであろう。
 だから三権分立で相互監視する知恵も捻りだされた訳だが、そうなると今度はみっつに割ったはずの分立を跨いで逸脱の動機が組織化してくることになる。
 三権分立の概念も所詮は『情報』に過ぎず、これに対して『逸脱の内圧』は人間に等しく備わる精神的な反応の現実だから、放っておくとキホン逸脱の方が拡大・横行して社会構造が崩壊するのだ。
 成人社会人は国家組織として国民意識の風土整備を怠らないよう目的をもって努め、日本社会のあらゆる運営現場で、せっかくの国家財産の『情報』を正しい行動選択に反映させる『国家社会の空気』を維持せねばならない。

 司法領域に限らず、何だかんだで日本の役人は国際標準に照らしてキホン潔癖で、袖の下を握らせれば何でも素通しがまかり通る国々も多いなか優秀な方だとは思うけれど、逆にそんなものを比較対象にして優位性を確かめなければならないまでの事態に陥っている悲惨な現実を認識しておきたい。

 さてトラちゃんパパに冤罪を着せようとした政治勢力には判りやすく黒幕ジジイがいて、そいつに人事権を握られているフヌケ腰巾着の無能パシリもいて、ちょうど朝ドラ的に観やすくて解りやすい構図になっているので考えていただきたいのだが、コイツら果たして、強いのか?賢いのか?偉いのか?【1114】

 劇中では『法律とは弱者を擁護するもの』『法律とは弱者が戦えるための武器』などの見解が紹介されている。ベタには腕力や財力を持ち合わせない弱者が、それらを手にしている強者の横暴の捌け口にされ、人権を侵される構図をよしとしない管理意識の具体的表現だと言えよう。
 だがちょっと待て。杖ついて歩かにゃならんようなポンコツ老人が生意気なクチきいて、そんなのにびくびく仕えるのは筋骨隆々でもない平凡なザコ事務屋だ。あと扇子で無駄な雑音を立てる攻撃しかできないでくの棒もいる。歳相応にじっとしてらんないなら裁判官が扇子もぎとって鼻の穴にでも突き刺してやれっての。
 このへん全部、到底『強者』ではなかろうに…というか見事なまでに『弱者』ばかりなのに、なんで厚かましく確信的にマウントとれるテイで人さまに絡んでこれるのか、それで通用してしまっているのか再検証しておきたい。

 要は『情報』に擁護された弱者が『情報』を武器に強気の対人関係を仕掛けると、あたかも周囲が催眠術にかかったようにそれに同調してしまい、やったもん勝ちで根拠のないチカラ関係の虚構が成功してしまっている、そういう事例なのだ。この読解パターンは、特に若い人は肝に銘じて身に付けておいて欲しい。
 正式に明文化された法律だけではなく、ヒトとヒトとのコミュニケーション空間において、自然発生してきた不文律まで含めて、全てはヒトの行動選択を左右する作用を持ち得る『情報』である。
 『情報』に応じて一定の行動パターンで対処することが流行すると、そこに実体のない架空のパワーバランス世界が出現する。『裸の王さま』というやつだ。

 トラちゃんも仲間たちも、実は自らが定義する法律の概念を原理に『権力者』になった連中を相手に、そいつらがでっち上げた架空の筋書きの牙城を崩そうと戦っていた…というパラドックス的な位置関係になっているところに気付いておこう。
 イケメン優等生くんにそそのかされた穂高御大は、人徳を積み重ねた年の功で後輩弁護士たちの能力を集結し、最終的にトラちゃんママ曰く『若造』の判断力が社会の行方に決断を下すという展開はよく造り込まれている。凝ったドラマになっていると思う。

 『情報』の架空世界に迷うバカなオトナどもみたいになるのがイヤなら、スマホ画面を見るにもそこに映す『情報』の選別には気を遣った方が良いと思うね。
 この世に生まれて一度きりの大事な時間、悔いなき行動の選択にグッドラック!
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