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【897】仕事を語る数字ツールの取扱説明書 [ビジネス]

 いやあ、いろいろ起きるもんだなあ。現実とは読めないものだよ。
 大阪市がこの期に及んで、大阪都特別4区の設置コストを急に上乗せしてきた。

 大阪都構想は、『法定協議会』の場で大阪維新のみならず自民・共産・公明の各党も全て参画した上で議論され、大阪維新の表現を借りれば『将来大阪の設計図』の内容が固められて、今その賛否が住民投票にかかっている。なので、今回の大阪市発・突発案件は、反対派にとっても想定外ということに一応なっているらしい。ふうん。

 そりゃあもう数年前の反対派は、まず法定協議会を開いて『将来大阪の設計図』を検討に取り掛かる段階から散々な妨害工作でむずかっていた訳だが、もちろんこれは自治体の将来政策を担う議会としての職務放棄になってしまうため、いつまでも反対派とはいえ議員の勝手都合でイヤがって通るものでもない。
 時を経て、法定協議会の結論として、今般の『将来大阪の設計図』が出来上がった。そして11月1日住民投票実施も決定したと。

 既に期日前投票も始まっていて住民投票当日まであと数日というところで、『実は大阪都構想のコストって、追加で218億円かかるんですよお』と突然のマイナス要因を、よりにもよって『役所業務にイチバン詳しい立場で、情報提供してきたはずの』役所の財務屋が表明したことになる。
 これ初期コストだっけランニングコストだっけ?急なもんでよく知らなくてすまん。

 あーこりゃ参ったな、決断揺らぐなあ、困った困った。そんなに高くつくのか~!
 …と手を抜かず愛想一杯にびっくりしておいて、結論から行こう。
 何も気にすることはない。コロッと変わる数字はコロッと元に戻るもんだし。

 数字ってさ、それそのものはただの文字だから、指先一本で変わるんだよ。
 大事なのは、その算出にあたって想定された数々の物資や手間が、精査して現実的に成立する確認が取れていたかどうかだ。裏返せば、少数の超高額アイテムをナニか特定の意図で乗っける以外に、こんな段付きの変動額が突発するパターンはあり得ない。

 これまで法定協議会でみんなして実現性・妥当性をチェックして、『これで住民投票をやりましょう』と関係者一同で納得し合意したんだよな。それだけ人数と時間をかけて、GO判断ができているのなら、何も心配することは無いよ。保証する。
 現時点で、別に『大阪市が新しく出してきた数字の方が精度が高い』という事実根拠はひとつも無いと気付いておこう。
 まあ初期コスト241億円云々も試算値っちゃあ試算値なんだし、どうせこの経済社会の、他のあらゆる仕事と同じく、実務段階での発生コストと過不足を擦り合わせながら物事が進む。

 いやさあ、20年ほど前のことなのだが、この2百数十億に比べりゃ大幅にお安い額なんだがケタは一応おんなじようなところで、ささやかな決め事を遠くからチラと眺めた経験があってさ。
 よおし行くぜ!でGOかけた途端に北京五輪決定に伴う建設ラッシュだっけかのせいで、鋼材の値段がいきなり5倍とかいきやがって仰天したものである。でも慣れてる奴等は気にしないとは言わないまでも泰然としており、私自身その瞬間は理解が付いて来ず少々不思議だったのだが、半年もせずにその理由を体得した。
 当然、商機に飢えた国際自由市場は流通価格5倍のショックを緩和する方向にすかさず反応し、発注先も自分らも、どんどん移り変わる経済状況に合わせて財務計画をアップデートしていくから、小さな額ではないにせよそれが巨額の読み外れによる計画の破綻には直結しないのだ。
 あ、『どうせ物事は移り変わるので計画なんかでマジメに悩むな』という意味ではありませんぞ。固定費契約や高額アイテムなどの費目は、ブツと支払いの交換がどうしても時間軸方向に幅を持つもんだし、常にきちんと採算を合わせてアタマとケツと途中経過を管理しておかないと、あえなく財務破綻である。
 きっちり合わせて、予測精度を上げつつ、こまめにアップデート。いいね?

 そんなワケで、この試算変動の不確定情報、まあ青くなるハナシではない。
 つか、青くなるのは、常識的に考えて大阪市の方なんだよな。これ普通の営利企業だったら、財務部署のトップは即刻クビふっとんで、部署まるごと解体してゼロから新調しないとダメなレベルの失敗だろ?
 大阪市の計画だとは言え、周辺自治体どころか日本国政にさえ影響を及ぼす重要案件だというのは日本国じゅう周知の事実であり、税金仕事でここまでやっといて、いい大人が『間違えました~』のひと言で済むハナシでないことぐらいは判っているはずだ。初期計画値にハンコ突いたヤツと、この追加218億円の算出結果にハンコ突いたヤツ、同一人物か別々か知らんが、どっちも財務が僅かでも絡む業界・業域には残れないし、この職歴ではもう二度と戻れない。
 法定協議会はじめ大阪都構想に関わる人々の意識を誤らせたまま、ここまで社会に無駄な関連工数やコストを発生させた不始末は、取り返しのつかない社会的損害としか言いようがない。多額の税金が社会の発展・幸福に活かされず、宙に消えたのである。
 普通の会社なら当該部署は速やかに解体、再発防止のため現行体制と原理的・根本的に異なる業務稼働となるよう、緊急で組織改編するのが必然となる。こじつけでも当て擦りでもなく、ごく当たり前の事業活動の社会通念的な措置としてそうなる。

 大阪都構想って、『現行の大阪市を廃止』して特別4区を新たに設置だよな。
 なるほど、だからこの機会に…で判断としては間違っていない気がするけど。

 万が一、本当に上乗せ218億で首が回らなくなっちゃったら、世間に向かってSOSでも叫んでくれれば、何なら新ネタとしてこの私がここで完全公開のもと、コスト削減をお手伝いして差し上げるのもやぶさかではないですぞ。

 以上、白が黒に逆転するハナシはどこにもないので、落ち着いて御判断を。
 こんなオイシイ案件いつもなら全国一斉に、声を揃えてやんやと囃し立てる烏合マスコミが妙に横目に見ながらスルーしてる感じだし、大阪府市民も日本国民も、本件どこ由来の攪乱情報なのか当てっこでもやりながら静観しておくのがよろしかろう。
 ともあれ油断せず3日後の現実を待ちながら、大阪の皆さま御幸運を!

 最後にちょっとだけオマケの国政ネタ。関係ない無駄話ばかりする古電球に野党のヤジがカブりまくって、『議長~』と古電球が他人の袖を引張る。
 会議の進行を預かる議長は、会場に向かって『静粛に!』ではなく、古電球に向かって『質問に回答する日本語を発言しなさい』なんじゃないの?
 野党たち、もっともっと厳しくシメてやれ、応援してるぞ。ではグッドラック!
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