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【1233】呉越同舟最強セッションの御機嫌伺い [ビジネス]

 阪神大震災から29年かあ。東日本大震災2011年が12年ほど前で、今年がこの北陸の震災。他にもちょくちょく震災はあったから、やはり日本列島は『地面が動き回る変動帯』の島なのだ。

 私が小学生の頃、子供向けの科学雑誌に『日本は地震が多いので高層ビルは建てられない』と解説されており、それでも当時の技術の粋を集めて常識を破ったのが霞が関ビル147メートルとされていたのを憶えている。
 昔も今も変わらない特性の地盤に、軽量骨格タワー構造とはいえ600メートル超の東京スカイツリーが建ち、今や300メートルのビルも珍しくなくなっているのだから、大した建築技術の進歩である。

 平地を求めて低所に都市構造が発達しがちな日本列島において、地震発生時の液状化現象による地上構造物の沈下が起こりやすい事実が、今般の北陸の被災状況から改めて見て取れる。
 地面強度に対して重たいものを上から載せて暮らす限り、ああなるのはキホン避けようがなく、だとするとやはり電柱に送電線は日本の街並みの生命線維持ラインならではの景観と考えて、埋設など無駄な土建工事をせず現行踏襲で構造・機能を進化させていくべきなのではないかと思う【545】

 新千歳空港では旅客機同士の接触事故が起きており、ビミョーに『航空事故連鎖のジンクス』だとか形態共鳴だとか非サイエンス的ながら気になるんだが、今しばらく静観してみよう。

 NHK朝ドラでまだもう少し続けてみるか。
 GHQ駐在員のサムが元・鈴子付き人のサヨに求婚し、一緒に渡米することになりそうな流れになっている。そう言や『カムカムエブリバディ』の安子ちゃんもGHQのロバートに連れられ渡米したんだっけ。これ、ドラマ筋書き都合だけのただの作り話でもなかったようだ。
 現代の目で見れば随分と大人しくさせられてはいたのだろうが、それでも当時にして欧米文化圏の女性は自己主張が強かった…と、これについては私の親世代でさえ洋式女権主張の実態は直接知らないはずだから、当時語られていた国際社会事情の一般論なのだと思うけれど、とにかくそういうことだったらしい。
 そんな押しの強い欧米の女性に比べて、慎ましやかで献身的な振る舞いが『躾』の領域で行き渡っていた大和撫子の精神文化は、進駐軍のオトコ連中にとってそれはそれは魅力的に映ったのだそうな。戦勝国だからといって家族が平穏無事に過ごせていた者ばかりだったはずもなく、進駐軍と日本女性とのマッチングが成立した事例は散見されたと聞く。全てが微笑ましくめでたい組み合わせだったかどうかは知る由も無いのだが…

 さてパフォーマンス現場の環境設定が歌から演劇に拡がり始めているので、今のうちに当時の音楽事情のハナシを駆けこんでおこうか。
 鈴子とリツ子にしても、彼女ら率いる楽団員たちにしても、業界仲間として仕事仲間として、キホン仲良く好意的で礼儀正しい人間関係の世界が展開している。なるほど生き馬の目を抜く勢いの潰し合い奪い合い無限バトルでは朝ドラにならんだろうしなあ。

 鈴子楽団員のメンバーたちは黙てんバックレもせず、ちゃんと引き抜きの手が伸びてきていることを公然と白状するし、その場でギャラの釣り上げ交渉をふっかけたりもしない。何と義理堅い。
 本作のモデルケース御本人が実際どうだったのかはつゆも聞いたことがない…とまず断って、やはり劇中のああいう『伴奏を従えた歌唱』という形態のパフォーマンスの場合、当然オーディエンスの人気と関心は歌手が圧倒的に背負っている。要は、大半の客が歌手個人を目当てに来場する。
 興業の商品性の在処として、歌手個人に値が付くのは当然である。それこそ客さえ気にしなければ、興行元にとってバックバンドなんぞ要らないくらいだったんだろうな。
 看板歌手がいて伴奏サポートを調達するにしても、有名楽団のバンマスと後援パートの間柄にしても、少なくとも私が聞いた話としては、すべからく稼ぎ頭たった一人がギャラ総額の半分以上をガメていた例ばかりである。ということは、残り半分あるいはそれ以下を結構な人数で取り合う構図になるしかない。

 もちろんバックパート職層には怨恨さえ含んだ根深い不満が蔓延することになるのだが、自分ひとり楽器を持って稼げるようなポジションにそう簡単にありつけるはずもないため、そこに居られるだけでまずはラッキーとして収まるが、しかし待遇の改善がチラつけば信頼関係や忠誠心をやすやすと上回る。
 終戦直後のGHQキャンプの仕事においては、それでも総じて破格の収入だったのが救いだとも思えるのだが、そんな荒んだ業界風土の賃金体系だったからか、当時のミュージシャンが実直で真面目な倹約家だったエピソードはとんと聞いたことがない【676】

 何しろタフな精神文化の競争世界ゆえ売れた方は売れた方で、どこまでが勝者の特権意識なのか、どこからがネームバリュー維持の駆け引きなのか知らないが、リハーサルで『アタシこんなバンドじゃ歌えないッ!』みたいな突然のクレーム発動なんてこともあったのだという。

 ただでさえ不平不満が板についちゃっているバンドメンバーとしては、控室で
 『ド下手糞のくせに、本来ならまずこっちに菓子折り持って挨拶に来いってんだ』
 『あのアマいっぺん…(集団婦女暴行を指す表現なので自粛)…してやろうか』
などと、お行儀のいい吐き捨て陰口発散トークも飛び交っていたらしい。
 当時のことなので、歌手が誰だとか声の調子がどうだとかでキーの高さに注文を付けられ、カラオケ操作パネルのシャープ印やフラット印のボタンを何回か叩く…ではもちろん済むはずがない。スタンダードジャズなんかは曲を自在にバンバン移調させて演奏し、リハーサルで次々と試しつつ、こんな会話を交わしていたのだから凄い。

 その頃マネージャーは関係者一同の平和な合意のため遁走し、華やかなステージの興業成立のため、あちこちに平身低頭で悪戦苦闘していたと思われる。
 観客が現実を忘れて夢中になるステージ上のチームワークは、あながち和気あいあいココロはひとつの信頼関係で、複数の才能が美しく組み上がって達成されるものでもないってことなんだろうな。

 社会組織の最適化にあたり『みんな平和にニコニコ仲良しである必要は無い』と私は考えているのだが、上記のような世知辛くも生命力強く逞しいエピソード群が、かなり根拠として効いている。
 わざわざに暗い闇や汚れた泥の部分を想像しながら朝ドラ観てもしょうがないんだけど、まあこんなウラ話もあるんだなあと興味を湧かせて面白がっていただければ幸いである。
 よし、楽団ウラ事情のネタをクリアできたし、タナケン編の新展開にグッドラック!
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