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【824】役立つリスクと役立たない掛け声と [ビジネス]

 我ながら感心しないコトバの選択だが、予想した通りの展開になっている。
 幸運にも、とにかく組織生命体・日本社会の自我が賢く落ち着いて事態に向き合っているので、この機会に病原体感染症と社会組織について話を進めておこうと思う。まずは前回のフリから片付けよう。

 プリオンなる謎の蛋白質性生体素材が感染原因とされる海綿状脳症、もともとは羊や山羊の病気だったのだそうだ。この病気にやられると全身に痒みを感じるらしく、体じゅうをそこらにこすり付けて、羊なんかは大事な商品になるウールが擦り切れてボロボロになるのだそうで、畜産業者の間では『スクレイピー』と呼ばれ嫌われていた。
 ふむ、病変部位は脳、せいぜい脊髄までというから、だとすると『痒み』なるものはそのあたりで意識に乗っかってくることになるんだよな。『痒みは脳で感じる』ってことなのかな。

 長らく『痒み』と戦い続けてきた我が身を顧みるに、少なくともステロイド離脱過程における『痒み』は、体内でもう不要品とされた体組織を、いち早く搔き出して捨て去るためのニーズ信号であると感じる。
 その発信源は不要な体組織を含有した当該ローカル部位であり、それを受信検知して、それに応える形で、恐らくは脳が制御信号を発動し手が引掻き動作にかかる。何度も何度も狂おしいほど辛い思いをしながら、これってゼッタイ痒い現場の訴えと人格意識の対話だよな…と確かめ直したものだ。
 う~ん、脳が病変して、果たして全身に『幻の痒み』を感じるものなのかなあ。

 もちろん私は海綿状脳症ではないワケだが、それにしても脳だけで引掻き衝動を起こさせる『痒み』感覚が完成するのなら、途中の伝達経路に適切な操作を加えれば『痒みには苦しまず、ただ患部をほかっておく』という理想が実現するはずだ。
 まあこの知識があったゆえに、掴みどころのない苦悶の暗闇の期間、思考で意識を繋ぎ留めながら戦えたのは良かったと思う。いまタイヘンになってる方、この先の一歩を考えながら頑張ってください。
 いま離脱初期の果てしなく激烈な痒み感覚は、苦しい時間を過ごした事実の記憶としてしか残っておらず、どんなに集中して記憶を辿ってもあの引掻き衝動の気持ちを再現することができない。

 冒頭に戻って、こんな不可解な『スクレイピー』のなきがらなのだが、恐らくウールの品質さえ落ちなければ、羊さん飼料の蛋白&カルシウム源にするのに抵抗はあまりなかったのではないだろうか。これが誤って、普通の感覚なら避ける食用家畜の飼料に混入されてしまったのだろう。
 この一連の経緯をよく理解し、決して油断してはならないが、食用肉加工でのリスク除去方策が確立しており、実際人間への経口感染例も確認されていないのだから、発症した牛の映像をマスメディアで流しては『狂牛病』と呼び合ってむやみに恐れた当時の社会風潮は、決して賢明なものではなかった。
 ポイントは、安全の信頼度は高いに越したことはないけれど実用の限度があり、いっぽう感染症流行の危険を回避するに十分な理屈と実績が揃うなら、それで実用の目的に足るということだ。

 これと逆なのが、今般の新型肺炎の事例である。
 まだ感染も発症もメカニズムが見切れていないのに、この全国での感染者急増の現状をして『国内での流行を認めない』というのだから呆れる。認めるといろいろ面倒があるってことなんだろうが、無知無能の古電球が不見識で初動を誤ったまんま、あほの巣窟は学習することを知らない【818】
 例のクルーズ船を見るに、確証は無いものの、やはり香港からの少数の乗船客がウィルスを持ち込んだ可能性が高いと考えるのが順当な推察だろう。だとすると、その後の陽性確認数の推移からして、単なる飛沫感染や接触感染よりも相当強い感染力の現象モードで拡がっている可能性を疑わねばならない。

 何しろ相手は生存競争バトル真剣勝負の実力派だ。脅しもなだめすかしも一切通じない。
 感染も発症もそのメカニズムが解明されてこそ、その因果を辿って原理的・根源的な対策を講じることができる。そして都合よくその普及策の現実解まで見つかって、ようやく社会が胸を撫でおろすのだ。
 つまり『現時点では、どうしようもない』のである。まずこれを肝に銘じて観念するのが『病原体感染症に向き合う、イロハのイ』となる。
 こんな時どう戦うかに、組織マネジメント能力の在り処とその力量が露わに見えるものだ。

 現時点で『専門家』の看板を背負わせて医者や学者に対抗措置をしゃべらせたところで、一般論を超えるものは出て来ようがない。予防のための生活規範にせよ、感染の自己診断チェック基準にせよ、感染・発症メカニズムの解明も叶わないまま目新しさを取り繕った情報だけでっち上げても意味は無いのだ。いま1億2千万人日本国組織は、そのくらいちゃんと理解しているから冷静なのである。
 既に緊急体制でメカニズム究明を進める現場の存在を知って、おのれの寝言が何の実効力を持たないことも承知して、『感染経路が見えなくなってきた』だの『感染を疑う受診の目安の設定を指示した』だの、あほの巣窟は職責を繕ったつもりの幼稚なテイで、無駄なカラッポ発信ばかり繰り返している。
 いつも横車を押し切って威張り散らしている箱庭ママゴトのお父さんは、実力者相手にマジに怖いことになった途端、自分は追及を受けない安全地帯にそろりそろりと後ずさりし、当たり障りなくそれっぽい風を装った態度でもって、誰かが決着付けてくれるのを待つばかりだ。
 こんな奴等、これをもって国家組織の運営議論に絡むに値しないと見限っておいて良かろう。

 ともかく当面、我々日本国民は自身の健康に注意しながら冷静に待つしかない。冷静な判断力の維持・整備は、更なる危機の来襲にも好転の兆しにも、協力し合い日本社会の組織力で現実を動かす実効解となる。
 どうしようもない時には、どうしようもない時にこそ見える物事を見る。
 『熟慮して知見を蓄える時間』と捉えて、逆転の瞬間を待つのが吉だ。
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