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【821】死闘で勝ち取った強迫観念のトロフィー群 [ビジネス]

 中国当局が肺炎感染に対する初動の遅れを認め、謝罪の声明を発表。確かに発症者の医療対処といい、生物学的原理に基づく発症および感染防止策の開発といい、現状自国の国力だけでは戦えないと見切ったのだろう。正しい判断である。

 人間の生体作動に対してどこがどう『新型』なのか明らかになり、感染を未然に防止あるいは罹患した際の治療方策の実効解が確立するまで、この社会不安は続く。それより先に新規感染者数が自然に減衰しゼロになってしまったら、今般に限っては幸運とも言えるが、いつか対策未確立のまま次の流行を迎えることになる訳だ。
 改めて、致死率・重症率と感染力を慎重に見極めながら、いま少なくとも日本国内では日常的な社会生活を根こそぎ犠牲にしてまでの対処行動は必要なさそうに見えるので、できる範囲の感染防御を心掛け自分の健康状態を注意深く観察するのが賢明である。
 ウィルス性疾病は我々の体内で感染部位を拡大して重篤化するから、早期発見で解熱その他の対症療法を施し、栄養付けて安静にして勝てるうちに自前の体力で駆逐してしまった方が、むしろ抜本的を期待できる自己防衛策になると言えよう。まさにそのコンセプトでわざと軽微な天然痘に感染しておくのが種痘だ。

 ペスト菌・コレラ菌や天然痘ウィルスなどは古くから人類を脅かしてきた経緯があり、民族まるごと絶滅した事例もあれば、大帝国の勢力が頓挫して世界史の流れが変わったとされる事例もある。史実が激しく交錯し今日に到る人種分布の世界地図も、感染症の流行が無ければ現在とすっかり違うものになっていたのは確実だろう。
 病原体感染症が流行したら、人間には見えない・聞こえない・触れないでどこからどう来るのか知る由もない。だから細菌やウィルスといった概念が無かった時代には、彗星に代表される特異な天文現象がその原因として因果づけられたりもしたと言われる。みんな天を仰いで祈祷の儀式に精出しているうちはまだいいが、悪名高き人類の黒歴史『魔女狩り』も、その一定数は伝染病流行の原因を個人の仕業に帰着させて『未知の恐怖』の不安から逃れようとしたものだったとする説がある。

 もっとも、情報に恵まれたこの現代社会においては、
  『まだ敵の分析も進んでいないし、科学力の出す結論を待とう』
  『完全撲滅とまでは行かなくとも、科学力以上の対処方策は無い』
 これらの認識が普及しているので、とりあえずは各自が我が身への感染の確率を下げようとして起こる混乱までで済んでいる訳だ。感染の危険から遠ざかろうとするのは良いも悪いもなく人間として自然な本能であり、故に社会組織のハンドリングもこれに準ずる方針で行わないと無意味に発散して失敗する。法律でどうたらこうたら理屈を捏ねたところで、誰にも響かないし誰も従わないのだ。
 圧倒的多数で『社会組織の自我』を成す大衆意識を相手に勝てる者など、この世にはいない。『組織の正義』こそ【787】、組織生命体の原理的本能が目指す現実の行方なのである。

 まず何よりマスクを装着したくなる心情はよく解る。
 だがここで今さら繰り返すまでもなく、微小すぎるウィルスを濾過する機能は殆ど期待できないし、飛沫感染の危険性を恐れるのは正しいとして、ならば他にも気の付け所はいろいろあるだろう。マスクだけして日常踏襲で暮らすくらいなら、どのくらい感染予防になっているのかよく考えていただきたい。
 そこが疎かになってしまっては逆効果でしかなく、いわんや悪徳ビジネスにつけこまれて被害にでも遭ったなら、感染症と関係ないところで一体ナニをやってるんだか目も当てられない。
 大衆社会の現場の最前線中の最前線=一般庶民は、どうせ個人の留意レベルでやれるところまでやるだけなんだから、効果を刈り取れるようちゃんと考えましょう。現実解はそこまでだと思う。

 当面のところ日本国内では集団パニックが起こる気配もなく、こんな時こそ日本人であることの幸運を確かめておきたいところだが、日本列島はたまたまお隣の大陸と日本海を隔てることになっただけで【404】、今般の肺炎流行源とされる武漢とはキホン同じ空気を吸っているようなものだ。今なお感染者の確認数は増加中というのが現実だし、今後の展開次第では日本国内でも不安が強まる可能性について油断はできない。
 非常事態につき緊急性のない問題提起は控えておくけれど、中国政府が対処の初動遅れを認めた事実をこれ見よがしに取り上げる反面、地理的にも時間的にも間近に位置する五輪開催国としての自覚も無いままに放置しようとした我が国の自己見識については、申し合わせのお約束で知らん顔を決め込む烏合マスコミが気色悪い。
 日本国内に流れる時間とはまるで無関係な横浜クルーズ船のことばかり勝手に劇場化して、一挙手一投足を逐一つまみ上げては、執拗におもらい雛壇のシロート漫談で遊ぶものばかり多過ぎるだろう。こんな無益でしょうもないもの誰も興味もないし、だいたい苦境の乗員乗客の方々に失礼だろうがよ。
 一般社会の現場空間を暮らす上での情報は、みんなスマホで連絡取り合い知恵を交換してオシマイだ。気心の知れた個人放送局の方が、よっぽど正確で役立つ報道メディアになっている【809】

 ところで『生物のウィルス感染』という現象、こんな人命沙汰になってようやく大騒ぎされるのだが、案外と普段はユルく受け流されているものなのかも知れない【815】
 例えば農作物を食害する幾種類かの虫には、その発生数に数年単位の山谷があることが知られていたりするのだが、他種の害虫の増減がシンクロする訳でもないし、それは当該種に特定で流行するウィルス性疾病が原因ではないかとする仮説があったりする。ああ、そうやって悠久の歴史を適切個体数で乗り切ってきたのかな…なんて。ならば人間の適切個体数っていくつなんでしょうね。

 病原体感染症と生き残りをかけて戦っているのは人類だけではない。そして科学力を持たず、おのれ身ひとつ生まれたまんまの生命力だけで勝負する彼等には、医療保険の不採算問題も、人口構成の高齢化問題も無い。
 2025大阪・関西万博で『いのち輝く未来社会のデザイン』を考えるなら、人間の勝手都合な情報的解釈から離れた、地球上の生体活動に関わる『種が現実を過ごすいのちの時間』について、直感的に湧き上がる感情を確かめる場があっていいのではないだろうか。
 それが地球上生命たちの『組織の正義』だ。久々に、大阪の成長を止めるな。
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