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【1220】EXPO回転翼機運行の安全衛生認証 [ビジネス]

 屋久島沖で米軍のVTOL輸送機『オスプレイ』が墜落したそうだ【306】
 乗員1名の死亡が確認されているが、全8名の搭乗だったそうだから残り7名がまだ行方不明のままということになる。

 この事故を受けて、日本政府から米軍に対して『オスプレイの運用を停止するよう要請した』というのだが、見受ける限りすっかり無視されており、オスプレイの運用は今も公然と継続されているようだ。
 やれ運用停止の申し入れが正式だの非正式だの、事実確認としての『墜落』ではなく米軍第一報の『不時着水』が素通しで日本国内に発表されただの、墜落した型式と運用継続中の型式は異なるだの、無駄なゴミクズ口論が次々放たれているがそんなもの全部まとめてどうでもいい。
 今般オスプレイが落ちたのが11月29日だというからまだ一週間も経っておらず、事故実情を語れる生存者もいないのに『北米の説明が十分でない』などと虚勢を張ったところで、無視されて当然だろう。

 それよりも我が日本が4月に自分ちで落としたUH-60ヘリコプターの件は、どんな解決を経て安全が確認され運用再開になったのか、そっちの説明が先だろうが。
 あれさあ、北米で開発され就役している機体の国内ライセンス生産だろ?『機体構造や整備作業には原因が無い』と結論付けられて公表されなければ、国内外で就役中のあらゆる同型機の運用に支障が出る。
 穏やかな晴天の低空運行で突然消息を絶ち、10人も乗っていて誰ひとり助かっていないなんて、昭和時代の子供向け読み物に載っていた『魔のトライアングル海域』を地で行く謎の遭難もいいところだ。事故当日の運行計画もフライトレコーダー記録も隠蔽されて内容は不明だが、せいぜい数十メートルまでの低空ながら空中で遭難し、着水してからも10名全員が生存できない程の悪条件に見舞われたことになる。
 つまり宮古島近辺は『空と海の両方にまたがる魔の危険区域』ということになるのだが、それがどのくらいの面積でそこに拡がっているのかが判らない。せめて着水モードと沈没モードの推測だけでもできれば、それらが起こり得る空海域は特定できるのだが、それが叶っていない。

 原因究明がどこまで進んだのか知らないが、どうせ『閣議決定』の決行要件を都合よく独裁政権の密室GO判断に読み換えて、こそこそ基地工事の下調べをやっていてウソみたいな凡ミスかましたのがバレるのを避けるために、日本国内に向けての調査報告をとぼけて放置したのだろう。世論の事故事実への関心が風化するとか、責任追及の動機が減衰するとか、ありもしない結末に執着して国民を根負けさせようとするやり口は、何事につけずっと以前から枚挙に暇がない。

 まあとにかく、当該機種UH-60ヘリの運用を再開したんだろ?
 機体と運行作業に事故原因を認めないということは、日本国のオオヤケ判断として『宮古島周辺は自然条件に起因する事故の可能性がある危険区域であり、詳細不明だけど別にいいじゃん』と認めたことになる。これを『未必の故意』と呼ぶ。
 事故の処置を確実にやらないと、必ず次の犠牲者が出ると言ったよな?【1154】

 ある意味『予想通り、ちゃんと』屋久島沖でオスプレイが落ちたんだよ。
 酷すぎる言い草が自分でも心苦しいが、現時点で乗員8名誰も助かっていないのも必然であり、こうなるのは4月の宮古島ヘリ事故で判っていた。
 北米にしてみれば、この行きがかりで日本政府から屋久島オスプレイ事故の件に説明を求められても、取り合う理由なんかどこにも無い。

 もっとも今の日本は北米を頼らないと自前産業でマトモな軍事力を維持できないから、北米サイドにはむしろ這いつくばって御機嫌をとりながら、国内世論の鎮静化を約束しつつお詫びの軍需品追加購入リストでも差し出してるんじゃないのかね。
 日本国内には居丈高の要求を突きつけるかの取り繕い芝居だけ流しているつもりなのだろう。何からナニまで卑屈で惨めなハナシである。こんなことだから人が死ぬのだ。

 さて回転翼機の重大遭難事故が続いていて縁起でもないのだけれど、前々回および前回から続く流れで2025大阪万博の話題に移ろう。

 『空飛ぶクルマ』はもう万博に間に合わない。
 あと500日を切る日程が本当なら即刻に断念しないと『また』墜落死亡事故になる。

 実用化して営業運行まで持ち込むのなら、既に営業航路で試験飛行が何度も行われていなければならない。風が比較的穏やかで静穏な瀬戸内気候の大阪湾だが、もちろんパーソナルサイズの航空機にとって毎日手放しで飛べるほどラクチンなはずもなく、実地実験は100点満点の成功続きでもあと1年では到底足りない。
 航空機は踏ん張る先が空気なんだから、どんなに正確・緻密を頑張ったところで自動運転の制御の限界も宿命的に風任せだ。苦し紛れに熟練操縦士を乗せた途端、少ない客席がまず1減である。いやそもそも誰がいつ熟練するのだ?

 以前からここで解説している通り、だいたいがパーソナルVTOLなんぞ運送効率の悪い子供向けの夢物語に大人が本気になるべきではなく、主にモーターとバッテリーの小型軽量化技術競争に遅れをとらないために、デバイス開発領域で流行り病のお祭りごとにキャッチアップしておくあたりがせいぜいなのだ。
 乗客が軽装で済む夏季に手ぶらで搭乗させたところで、飛行機乗りでもないシロウトが通常の小型機以上にあっちこっち振り回され揺すられるんだから、そりゃ降りる頃には全員ゲロ袋をたっぷんたっぷん大事そうに抱いてるんだろうな。やめとくのが吉だ。

 だから『空飛ぶクルマ』のカラ騒ぎ技術域にも一応アピールする実用アイテムとして、数名~十数名規模のホバークラフトにしておけと推奨している。ホバークラフト開発にしても実用化日程のリードタイムが相当にきついが、それでもまだ可能なセンには収まっていると思う。
 長期的には大阪や神戸の港に停泊した豪華客船から、ごちゃごちゃした街ナカと無縁にカジノまで直通する海上リムジンとして就航させれば良いし、水深を気にせずそのまま陸上にも這い上がれるから、河川を遡上したり瀬戸内海の港町を巡ったりする定期観光航路にも使えるだろう。
 万博での期間限定トライアル就航をうまく採算ラインに乗せられれば、内海を持つ海外諸国から思わぬ儲け話が舞い込むかも知れない。

 とにかく2025大阪万博は『できない』の結論を日本社会で共有するのが先決だ。
 まず『できない』を決断しないから、ダメがイミフに『できるかも知れない』逡巡になってるテイで、判り切っている破滅を前に立ち止まれないんだよ。
 ダメなものはダメ、できないものはできない。だから次にどうするか考えるのだ。
 プチ余談だがこの一連の光景も『だらしない日本国、だらしない日本円経済』の生きた証拠として、世界から見限られた底無し円安の一因として効いている。

 自衛隊のヘリ落として、米軍のオスプレイ落として、今度は富裕層の有名人を未完成VTOLで落として、全方位の国際的信用を落とすのか?
 長らく離陸する揚力を失っている技術退国ニッポンは、今よりも落ちないための対策が何よりの急務である。航空工学の規律体系を現実のものとして守り、どん底から飛び上がるためには、まず理知的人間として・文明国家社会として、守るべきこの世の因果規律を守れるようになることが先決なのだろう。

 何より屋久島オスプレイ墜落調査隊に事故の無きことを。御安全に、グッドラック!
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