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【1199】クルマとアタマの右回り危険予知 [ビジネス]

 今日から10日間、秋の交通安全運動の期間なのだそうだ。それで思い出した。
 最近、いつの間にか交通規則が変わってるんじゃないのか?と思わず記憶を確かめたくなりそうな場面にしょっちゅう遭遇する。今回は交差点の右折信号のハナシだ。

 先に問題点を明かしておくと、右折信号がある交差点で、とにかく右折の矢印が出るまで進まないヤツが増えていると感じている。
 改めて詳細を説明するのも恥ずかしいが、右折の矢印が出る前はただの青信号なワケで、もちろん右折で進んでも何の問題も無い。
 交通量の多い交差点で対面の直進車が途切れるタイミングがなかなか巡ってこない場合など、他を止めて右折待ちの車だけが進めるように右折矢印がある。逆に、だから右折レーンが掃ける程度の点灯時間しかなくて、進める時にどんどん進んでいかないと右折レーンの最後尾にとっては迷惑だ。

 なのに、進行方向別でもないまん丸の青信号を眺めながら、右折の矢印が出るまで動かないのである。最初は急な車輌故障かと思ってしまった。
 まあ全部の交差点でそうなっている訳ではなく、いくつか特定の、右折した先の二車線がすぐ絞られて合流するような、目くばせと片手挨拶なんかでコミュニケーションしながらミラー見て方向指示器出して…と確かに難度高めのところではある。でもフツーに免許持ってていい車乗ってるんだからさあ。

 青信号は『進め』ではなく『進んでも良い』だから、なるほど右折レーンの先頭車が進みたくなければ進まないという選択肢はある。だが特段の理由も無く、進めるのにそれをしないというのは、円滑な交通の妨げというものだろう。
 まあ私から見てどうであろうが、右折レーン先頭車の本人が、交通規則の勘違いでもなく本当に進むタイミングを捕まえられないのなら、無理をして事故を起こすよりはよっぽど良いのか。

 『最近、運転ヘタクソなヤツ多いよな』で車好きの若者が友人と頷き合う会話は、二十世紀のうちに絶滅したように思う。ヘタクソの事例に遭遇する頻度が目立ってきたという段階を過ぎて、世間の運転技量の平均値が底上げならぬ底下げになり、それが一時的なものでもなくなってきてたんだろうな。
 いま思えば、自動車運転免許証が『成人社会人なら誰でも持っている身分証明書』でなくなる社会潮流が、こんなところに顕れ始めていたのかも知れない。

 昭和の時代、運転免許証更新の全体講話で聞いた話をよく憶えている。
 交差点の右折待ちで対面の直進車が途切れるのを待つ間の心得として、青信号で交差点の中央までまっすぐ進み、そのまま操舵せずに直進状態で止まること。止まったらパーキングブレーキをしっかり引くこと。
 もちろん後続車に追突された場合に、対面してくる直進車に向かって飛び出さないためである。特に都会では数多くの車がひしめき合っていた時代だから、追突で右折待ち車が対向に弾き出されて二次災害になるパターンが多かったのだろう。

 今日でも私はずっとこの『舵角ゼロで右折待ち』を守っているが、ここに対向からも右折待ちが現れてしまうと、今の時代ミニバンにしてもSUVにしても背の高い車体の車ばかりで、こういうのに立ちはだかられて目隠しされるとタイヘンに困る。
 対向車が来るかどうか見ようとすると、わざわざ右に操舵して鼻先を突き出さねばならず、それは対向車の側から見ると、自分の前方に見えている右折待ち車の陰から私が飛び出してくる位置関係になってしまう。それはあまりに恐ろしいので無理には動かず、先に上背ゆえ私の愛車のルーフ越しに視界が効くはずの、あとから来た対向右折に先に掃けてもらうしかない。ビミョーに納得いかんけど。
 急がば待とうホトトギス、お陰さまで今のところ怖い目を見た経験は無い。

 ところでこの手の交通安全講話で『対向で接近してくる二輪車の速度は読みづらい』とよく言われるが、聞く方は他の注意事項とごっちゃに混ぜて、それほど特別な重大意識もなく聞き流して終わっていることが多いと思う。
 実は個人的にはコレ、二輪も四輪もちょっとマジメに気にしておいて欲しいのだ。

 かつて小田急沿線某所に住んでいた三十路そこそこの頃、私の余暇時間は常に単車と共にあった。関東一円、本当にどこへでも走ったものだ。生きている時間全てを単車に乗っていたかった。
 夏も近づく好天のある週末ひとり富士山麓を走っていた私は、一面の花畑の中を突っ切る片側二車線の、中央分離帯のある直線道路に出くわした。見通しは抜群だし交通量は少ないし、ついつい速度が上がる。まあ高速じゃないんだし追越車線ベタの3ケタ速度は念のためやめといた方が良いのかな。

 …と、その時!
 その開けた視界の中で、中央分離帯から長尺のトレーラーがいきなり顔をのぞかせ右折してきた。対向から右折で交差する横道に出ようとしたのである。

 走行中の単車に制動をかけるのは、キホン前輪の接地点ひとつだけだ【875】
 ディスクブレーキの摩擦力でロック寸前の限界まで車輪の回転を押さえ込んだら、それ以上できることは無い。四輪と違って制動中に操舵すると転倒する宿命があるので、眼前を大きく横切るトレーラーまでの距離で止まれるor止まれないの二択となる。

 いや~、そりゃもう心臓が縮みあがって全身の血が逆流しましたわい。
 どうにか間に合って止まってくれたので、私は今もこうして生きている。

 明らかに速度超過していた私が悪いのだけれど、それにしてもあれだけ飛ばしていた私を対向直進に見ておいて、果たして右折を開始しようと思うものなのか。この時はちょっと不思議な感じがした。
 だが後日に単車仲間にこの話をしたところ『あるある』もいいところで、中には私と同じ行き合わせで、強烈な減速Gでつんのめって後輪が浮き上がる『ジャックナイフ』までいった体験談も出てきた。やっぱり軒並ちびりそうになっている。

 ド派手でぺったんこのスーパーカーが官能の排気音ミュージックでも奏でているんなら遠方からでも判りやすいが、一目瞭然のアピールポイントも無いただの単車だと、大型トラックのみならず対向車に正しく接近速度を読んでもらえないのだ。
 どんなに見通しが効いて飛ばせる環境でも、他からの目に誤解されて映ると危険が転がり出てきそうな道なら、常識的=相手の頭の中にある速度に合わせておいた方が身のためである。
 私は事故になるより先にこの勢いで実地体験できて助かったのだが、のちに路上でこの自覚が無い二輪車を見かけると横からでも割と見破れるようになった。お~い二輪は楽しいけど、ぶつかったら肉弾戦だよ~人目映り気にしてお大事にね~

 今日ちょっと愛車で出掛けた時に右折待ちで気になったので書いてみました。
 速やか安全に交通を流して、これからも御無事の車輌運行でグッドラック!
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