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【974】『美しい国』の聖なる国際平和祭典 [ビジネス]

 もともと他の時に話題にしようと思っていたのだが計画変更、何しろ状況がぴたりとハマるので今やっておくことにする。ついこないだに続いて『銀河鉄道999』の一話を巡る考察、今回は『ざんげの国』だ。
 メーテルによれば『イヤになるくらい清らかな星』とのこと。

 あの星から清らかな鐘の音が聞こえてくるよ。どういう訳だい?
 重力波にして宇宙空間にまで送り届けて来るのよ。そういう人たちなの。
 宇宙を旅する人たちにまで鐘の音を聞かせないと気の済まないところ…

 お花だらけで清らかな街を徒歩でホテルに向かう道すがら、メーテルの解説にはこの御時世、少々ぎくりとさせられる。

 排気ガスを出す自動車なんてものも無いから歩いて行かなきゃいけないの。

 この星では車掌さんが銀河鉄道株式会社に休暇を許されて珍しく下車するのだが、下車してすぐ車掌さんは行きずりの強盗に遭ってしまうのだ。持ち物を全て奪われ仕方なく999号に戻ろうとする車掌さんだが、メーテルの計らいにより一緒のホテルで休暇を過ごせることになる。

 殺されなかっただけ良かったよ、警察へ届けなきゃ。何が清く正しい星だ!
 警察なんてここには無いわ。みんな清らかだから…

 『花の都』の時とは正反対【970】、社会規律もそれを維持するための治安システムも『ここでは全て清く正しいので不要です』と言い切ってしまえば、強盗という犯罪事件も存在しないことになる。どんな不道徳も迷惑行為も犯罪も、そもそも法やルールの網に掛けず、よって違法の判定が下されなければ全ては清く正しいというワケだ。だが鉄郎、メーテル、車掌さんの3人は『強盗』という現実を見てしまった。
 車掌さんには刺客が差し向けられる一方、鉄郎とメーテルは拉致されて記憶消去装置にかけられてしまう。二人が事前に対策を講じていてその記憶消去処理も通じないと見るや、999号に戻る手前で銃撃して抹殺しようとするのだから徹底している。
 まあ全員が無事999号に戻って、こんな会話をしながら発車時刻を待つのだ。

 とにかくここは清潔で清らかで正しくて美しい人の星だと印象付けようとしてる。
 もし聖人ばかりの世界があるとしたら、そこはさぞ住みにくいところでしょうね。

 そこへホームに駆け付けた『ざんげの国』の役人たちが窓越しに説得してくるのだ。

 お話したいことがあります。是非降りてください。
 第一級の御食事に第一級のホテルで、夢のような時をお過ごしください。
 …もし聞いていただけなければ、非常手段に訴えてでも降りていただきます。

 だが、もちろん列車に戻った乗客に手は出せない。汽笛一声、動き出す999号。

 さようなら、清く正しく美しい人たち。生涯その「地獄」で暮らしなさい。
 お願いです!どうか強盗に遭ったなんてしゃべらないでください!
 我が星のイメージを傷つけるようなことはおっしゃらないで…

 知らねえよバ~カ!とばかりに、窓越しに『あかんべえ』の顔で応える鉄郎少年。
 順番が前後するが、この『ざんげの国』の回のプロローグがなんとも印象深い。

 かつて大宇宙を股にかけ暴れまわった大盗賊が、
 「清く正しく美しい」心の持ち主だからといって、
  清く正しく美しく生きられないところがこの宇宙だ
 と言って吊るし首になった。
 自分が清く正しく美しいと思っている人々は、拍手して盗賊の死を祝ったという…

 今般一連の東京事情は、イチからジュウまで興味も無いし細かいハナシをよく知らないのだけれど、それにしても『この日の行きがかりを知る由もなかった大昔の誰かの軽はずみな不徳を、よってたかって暴き出して大ゴトに蒸し返して遡上断罪し、この世にあるはずもない永劫無欠な清廉潔白の自己イメージを、組織的に取り繕い仲間ウチウチで愛で合おうとする』その殺気だった執着心には唖然とするばかりだ。
 その非・現実的なまでに清く正しく美しいココロの、姿の、ナニが良いのだろう?
 人々が、物事が、森羅万象交錯するこの世界で、どんな価値があるというのだろう?

 もう向こう何十年、五輪と言わず目立った国際大会を日本国が新たに誘致することはほぼ不可能であろう。国内外にわたりみんなで協力して、みんなで運営して、みんなにとって楽しいコトとして良心的に開催すべき国際大会を、これほどまでに醜く薄汚く惨めに失敗させた国は今までになかった。
 人々が、物事が、思い思いに暮らす・過ごすこの世界で、率先して人々や物事を本当に良くしよう楽しくしようとしなかったのだから、良くもならなかったし楽しくもなっていない。世界中が、幼稚で未熟で強欲で恥知らずな日本国の『おもてなし』とやらには、すっかり懲りてもう二度と関わりたくない。そういうことだ。

 もちろん主犯格の自爆テロ非国民犯罪者政権は悪い。だがそんな政権の存在を許し、そんな政権の体たらくを何年も眺めつつこんなになるまで直さなかったのは、我等が日本国だ。我々1億2千万人日本国民だ。言い訳は立たない。
 この取り返しのつかないグローバル信用失墜の引責を要求する日本国組織の自我の怒りが、タイムマシンで国民ひとりひとりの過去をシラミ潰しに漁り、洩れなく全員にありとあらゆる罪状を取りつけて袋叩きにしていく社会システムという、二十世紀のSF漫画の想像力も及ばなかった『地獄』を生み出したのだろう。

 ざんげの国の公開処刑は、その組織内ローカルの内圧発散処理でしかない。標的を決めては地雷案件をほじくり返し、いくつ罪人どもの死骸を並べて見せても、もう信用に値しない『失敗の本質』を既に見抜いてしまった『外の人々』の前には、何の挽回効果にもならないのである。観念するしかない。
 いつか無駄に気付いて見せしめの刑死者じゅず繋ぎが打ち止めになるのかどうかは知らない。今は、ひたすら責任の巻き添え希釈となすりあいを淡々と眺める以外に、この失敗を消化する時間を過ごす方策は思いつかない。

 だから前回、今のうちに先のことをゆっくり考えて、もう金輪際こんなことにならないよう日本国民全員で気をしっかり持とうと述べた。『忙しい』『そんな時間は無い』『誰かやっといて』は、本当に充実した組織の時間を謳歌する人間の言葉ではない。
 いま学習して、二度と繰り返さないように、では今週もグッドラック!
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