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【1158】過ぎた現実を語る事前計画書の未来フィードバック [ビジネス]

 ゴールデンウィークが始まったが、雨天の割り込み方がイマイチ良くないかなあ。
 降られたら降られたで、カネも使わないし好きな時に飲んで寝れるってことで在宅の予定が組める人はそれでよし、とりあえず出掛ける皆さまは、事故はもちろんのこと、事故には到らないにしても残念な思いにはならないよう、十分に御注意されたい。

 家族にしても友達ウチにしても、車に乗り合わせて出掛けるパターンは多いと思うが、まあ日本国内で常識的な場面展開として、好きな時に好きなように乗り込んで走り出すのが普通だと思う。
 整備された日本国内の道路上を、誰にでも運転できる量産品質の乗用車を、免許保有者が交通規則を守って運行するからには、それで好きなだけ便利に走って構わない。

 だが自衛隊のヘリコプターは、そんなにお手軽ではない。
 誰が乗るのか、何の目的で飛ぶのか、いつ出発して、どんな経路を飛んで、いつ戻ってくるのか、きちんと管理されている。直感で解ると思う。

 宮古島ヘリコプター事故において、飛んだヘリコプターが乗員ともども、どんな現実に晒されたのか直接には知る由もない。だが運行計画は確実に残っている。
 まず運行計画に操縦の一挙手一投足、つまり出力いくつの舵何度という細かさの確定まではされていないはずだし、第一どんなに穏やかな天候でもそれは不可能、ナンセンスだと思うその感覚は正しい。規定された線路上をあの時刻精度で運行される電車のダイアグラムだって、そんな具体的操作を指定する内容にはなっていない。
 では操縦士が乗っているからこそ、ってことで『条件も良いし、ちょっとあっち行ってみてよ、こっちらへんも見てみたいな、おっと待った!こういうのやれる?』みたいな場当たりの飛び方ができるのか?

 お察しの通り、回答は『NO』だ。
 今般のような事故が起こってはいけないからである。

 海面上に助けを求める人の姿を発見したのならともかく、緊急性もない出来事ならば、キホン何があっても運行計画から外れた飛行はしないしできない。予定外のことをやって、たまたまそこでバードストライクにでも遭ってしまったら、運良く墜落を免れて帰還できたとしても後がタイヘンなことになるはずなのだ。

 『何故そんな計画外の運行を実施したのか?』操縦桿を握る機長の責任である。
 『計画外運行をしなければ、そんな危険と損害に遭遇しなかった』からだ。
 ここが恐らく日常一般空間と重保管理現場の決定的な感覚の相違点であり、ありていに言えば『誰が何をやっても危なくないそこらへん』だからこそ『ちょっとナニナニ』の融通が利くのだけれど、それは現代文明の安全保証が広く深く普及した場だからこそ通用する。逆にそうでない環境下では、むしろ場当たりにならないのが普通なのだ。

 何が言いたいかというと、確かに現時点で事実経緯を分析するための材料として、事故機の機体現物と搭乗員10名の証言は取りようがないが、当該機体の当日運行経緯については高い精度の記録が残っているはずなのである。事故現場での遺留物捜索とは別途で、判明している事実が必ずある。
 『不明につき捜索中』で終わるハナシではない。開示されるべき情報がある。

 ポイントは『極端な低空飛行が運行計画に入っていたかどうか』だと思っている。自衛隊の幹部ポストを10人もまとめて乗せるからには、墜落事故の危険を全く想定していなかったと推察して良かろう。
 前にも述べたが、穏やかな晴天の海上で双発ヘリコプターが突然墜落するとすれば、高度を下げ過ぎて反射乱流に巻かれて姿勢を崩し、回転翼が海面に接触する墜落モードの可能性がやはり一番に思い当たる。違うと判断するならその根拠を確かめたくなる。
 何か海面直上のギリまで降りる必要があったのかなかったのか、あったのなら運行計画にきちんと記録が残っているはずなのだ。
 もし極端な降下が計画されていたなら、もちろん事故リスクは意識されるはずだから、何故そんな特殊な行程が必要なのか、他に安全な手段は無いのか、万一の場合どう対処するのか、管理職がひと通り確認の上『GO判断』として決裁しているはずである。

 今般の運行計画の目的事象を設定する内容が、『閣議決定』にあるのかないのか。
 結論は出ており、この重大な集団死亡事故にそれが公表されない理由は無い。
 正当な目的あっての過失なら、それはそれで司法措置で酌量して決着すべきだろう。

 どうにか幸運に恵まれて胸を撫でおろすケースであっても、労災ロシアンルーレットの『ハズレ一回』の事例を検出したならば、作業を止めてそんな勝負の場にどこで迷い込んだのか特定し、そこに繋がる双六コースの選択肢を確実に断絶せねばならない。
 今般国民の目に触れたのが何発目なのかは今時点で定かではないが、戦闘状態にもない日本の空で公務中に『アタリ一発』が出てしまったからには、国民の安全を保障するための迅速な情報開示と、誰もが信頼を寄せられるロジカルで解りやすい再発防止策の提示が、新たな喫緊の公務として発生しているのである。

 私にとっては、宮古島といえば白砂の浅瀬で海に浸かりながらのんびりと牛車が対岸に渡る光景がすぐ思い浮かぶのだが、こんな事故があって初めてああいう映像をすっかり見なくなったと気付くのは、私がテレビというものをとんと見なくなっただけの理由でもないように思えて薄気味が悪い。
 他国と武力抗争を起こすような国家運営のヨレ方までどのくらい遠い距離に我々が今いるのかはともかく、では今日の軍事力の運用がどのくらい自国民を安全に守るために機能しているか、1億2千万人日本国民がちゃんと見て気付ける社会風潮になっていることを、改めてよく見て検証しておこう。

 かつて世界に誇る高品質と言われた日本の製造業界が維持管理していた精神文化を知る者として、当時の日本人の組織観ならば、こんな事故を起こすこともなければ、こんな事故を起こしておいて緊急特別措置体制も布かないどころか、わざとらに関係ない別件にばかり無駄な手を出すこともなければ、それを見て無責任に別件の方ばかりに話題を散らして公共情報の希釈を図るようなこともなかったと、切実に感じる。
 厳しく怖い機械たち・設備たち・現場たちと安全衛生の規律を守って暮らしていた当時に対して、日本社会は果たして賢くなり、正直になり、間違えなくなり、進化することができているのだろうか。

 事故機の回収作業に最善を尽くすとしても限度はある。
 まかり間違っても『閣議決定』に事故発生の原因が既に確認されているにも関わらず、いわゆる『真相不明のままを装って逃げ切る』『回収作業に見切りをつけて事態の早期幕引きを図る』などと抜かすような不真面目な動機で、回収作業の現場に無理を強いるようなことなど無いよう、1億2千万人日本社会を上げて監視する姿勢が必要だ。
 10人も命を落とした悲しい失敗は、業務最上流まで遡って解明できる全てを誠実に解明し、ウソもゴマカシも割り込まない厳格な再発防止策として航空機運用の現場すみずみにまで普及・定着させなければ、必ず祟って『また』重大事故が発生する。
 厳しい現実と組み合う世界の掟だよ。人工知能なら徹底順守するんだろうな。

 みんなどれだけ気を遣って仕事してると思っている?日本社会の現場をナメるな。
 回収作業にあたる方々には心より無事故を祈願いたします。くれぐれも御幸運を!
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