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【830】感染エントロピー盆に返らず [ビジネス]

 これ、決着時期の見えない長期戦ですな。覚悟を決めた方が賢い。
 我々人類は『病原体感染症の流行が解決した』と確信をもって安心したいのであって、その決着のためにはまず『感染しない予防法が確立され普及する』『感染しても致死・重症化しない対症療法が必要数揃う』このふたつが不可欠である。
 たかが2週間ごとき目的不明の強化週間にしたところで、その2週間が過ぎた時点で何の節目事実も無いまま、また次の得体の知れない言い訳スローガンが放たれるだけだ。いま保証しておく。

 現在、日本の子供たちの通過儀礼として定番化している予防接種は、かつて人類を長きにわたって苦しめてきた歴史のある病原体に対して、さまざまな研究や治験や、あと膨大な数の実用実績に裏付けられて今がある。
 水疱瘡や麻疹(はしか)、おたふく風邪など、幼少年代に一度罹患しておけば大ゴトにならないケースが殆どにつき、それで良しと割り切ってしまい、どっかで一発喰らって済ますパターンもあるんだよな。これもそんな常識が出来上がるほどの実績があってこそのことだ。

 工業量産品の市場不具合なら、既知の設計構想があってそこから想定外にヨレた現象ぶんを直してやれば、意図通りの正規状態が実現する。狙って組んだ人工物は、失敗代も修正代も明確なのだ。
 だが人体の感染疾病は、元来の健康状態の特定からそもそも難しい上に、何がどう作用して起こったどの現象が疾病トラブルを引き起こしているのか判断するのが超・困難である。もちろんそこから健康状態を取り戻す方策にしても、人工物のように人知ロジックの単純適用が許されるものではない。

 2週間の瀬戸際とやらの前後で何の現実の変化点があるというのだ。あほか。
 日本国内で感染例が確認され始めた当初の、初期感染可能性エリアが、せいぜい数百人までの規模に限られていたなら、超法規的な完全隔離でまだどうにかなった。乱暴なハナシだがその中で犠牲者は犠牲になり、その後に発症・未発症の時間推移が減衰しきった見切りにまで到達したとして、何とか今月いっぱいで『流行抑え込み』に関しては目処が立ちそうかなあ…ぐらいの見通しができなくもなかったろう。
 だがそんなもの、今となっては無意味なタラレバ空想だ。もう終わっている。

 病原体の感染拡大はいわゆる『エントロピー=乱雑さ』が進行する代表的な現象例である。例えるなら『結晶を固めた立方体』という規律性を持つ角砂糖を紅茶に沈めると崩れて解けていくのみ、その角砂糖が溶け出して混ざって甘くなった紅茶は、煮込もうが凍らせようが、再び甘くない紅茶と角砂糖に分析・区分され各々別個の状態に再組上げされることは無い。
 だから、工業量産品の生産不具合のケースでは、工場でラインオフした時点=管理の効かない市場に流出する手前の、手元に製品が並んでいるうちに、死んでも手直しで対策を打ち尽くそうとするのである。いったん市場に出て行ってしまったら、もうそこから先に出遭う環境と各々現実をどんどん展開してしまい、それらの履歴と消息を把握することが永久に不可能となるからだ。
 あほ慢心の初動遅れがタレ流した取り返しのつかない人災被害代【818】を、その後に拡大した『罪の無い過失』の被害とごちゃまぜにして闇に埋もれさせるため、わざとクルーズ船乗客の下船時に検査漏れを流出させる浅知恵など、絶対にあってはならないのである【826】
 もっとも正気の沙汰が僅かでも残っていれば、初動遅れの被害代が特定できなくなりさえすればいいのだから、検査漏れ流出のフェイク・ニュースだけ流して済ますのが普通だとは思うけどね。
 いずれにせよ、その場にある限りのあらゆる手段を尽くして死闘した、最前線の関係者一同にはあまりにも非情な迷惑行為だと言わざるを得ない。

 何にしても、正規分布で動く組織の扱いの難しさ恐ろしさを解っている人間の所業とは到底思えない。このあたりの国家運営の程度の低さが他国に見透かされ、世界一の医療・救急最前線パワーに恵まれながらも、日本は国際的に『感染拡大の懸念が大きい危険な国』と評価され渡航制限もしくはその検討の対象になっている訳だ。
 そこまで解って、我々国民は日常生活の最前線で『役に立つ情報』『効く情報』を取捨選択しよう。

 『感染者の8割は他人にうつしていない』…ワケねえだろが。ナニを抜かす?
 何日経てば人にうつさなくなるとか、夢ものがたり無法地帯もいいところである。

 不遇の事態が閉塞状態に陥った時によくあるパターンで、得体の知れない不確定なでっちあげ希望論、あるいは当たり前のわかりきった今さら常識論を、妙な流行りコトバだけ織り交ぜて、さも新事実のように言いふらすヤツが出てくる。
 いや『クラスター』はもういいからさ、感染モードをやたらライブハウス環境に強調して因果づけるのはどうかと思うぞ。ライブハウス以外の日常生活ゾーンも、まだまだ普通に要注意だろうがよ。
 今もって『わからない』のだし、『わからないうちは、どうしようもない』のだ。

 『何も変わらないじゃないか、どうしてくれるんだ』
 『何とかしろよ、2週間だって言ってたじゃないか』
 いずれ2週間経過時点を迎えてこんな不満が出てくるようなら、その本人が浅はかな場当たりスローガンに何か期待しただけ落ち度があったというしかない。こんなもの真に受けず、とにかく何とか直近その場を生き抜く現実解を、身の回りに見つけて生きていく動機を緩めないことだ。

 確かにこんな抑圧状態が続くと精神力が擦り切れてくるし、どう頑張っても緊張が途切れがちな部分は出てくる。ナニのどんな綺麗ごと守ってどこまで助かるんだ、もうこれで何かあっても仕方ないや、みたいなことにもなる。追い込まれた当事者はそこまで行くのだし、誰だってそんな辛い困窮者を見て、カネなり食い物なりひょいひょい出してやることはできない。
 何しろ先が見えないのだ。助けるにも迷いと限度がある。
 ゆめゆめ穏やかな決着ではないが、人間とは、人間の組織とはそういう特性のモノだと観念し自他を冷静に観察しながら、そこで可能な限りの最善策を現実解として動かす工夫を、各自が自分に納得のいくギリまで追求するしかないと思う。
 結果を見て『ああ、諦めないって大事なんだなあ~』と思えたら幸運だ【380】

 まだまだ、人の命が、仲間たちの身がかかった見通しの立たない戦いは続く。
 1億2千万人日本国民は、最前線の実力支援に火力集中で持ち堪えるしかない。
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