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【1108】経済トラスト崩壊前夜のOSフリーズ頻度 [ビジネス]

 NHK朝ドラの悠人お兄ちゃんが、今世紀初頭に投資に入れ込んでいるうちに。
 彼が注視するディスプレイの画質や画面構成が随分と洗練され過ぎている感もあるが、まあそのへんは気にしない気にならないってことでスルーしよう。

 ただWindowsは2000で結構変わった実感があり、XPでようやく解消されたぐらいの時代感だから、お兄ちゃんも『突然のフリーズで仕事がパー』を何回かは喰らっているはずである。冗談抜きでPC作業といえば、賽の河原で石を積み上げるイメージがどこかアタマの片隅にこびりついていたものだ。それでも忘れた頃には、ちょうどそれを忘れるほど入れ込んでいる最中に、狙ったかのようにフリーズする【996】
 地中に人の姿かたちをした根っこを持ち、引き抜くと聞いた人が死んでしまうほど恐ろしい悲鳴を上げるという伝説の妖花マンドラゴラ。その絶叫が事務所に響き渡ると、みんな立ってわらわら現場に集まってきて『ああ解る、オレも先週やられたよ』『なんで一番来て欲しくないところで来るかねえ』などなど、口々に何の解決にも助けにもならない言葉で慰めて自席に散っていくのが常であった。

 ま、丹精込めたディスプレイ画面上の成果物を取り置く手段が無いコトは既に全員心得ていたから、まず当事者は現状放置で外の空気を吸いに出たあと、コーヒーの一杯でもすすりながら心の準備を整え、いざPC本体のプッシュスイッチを自らの手で長押しして落とすのだ。もう一度プッシュで再起動である。
 あとは溶鉱炉に落ちて劇中に化けてすり代わった人々の姿を次々とリフレインしながら、高周波の悲鳴を上げつつもだえ苦しむT-1000型ターミネーターになって、そこまでに投じた苦難の工数を走馬灯のように回顧しながら一回死ぬワケです。
 あとは溶鉱炉から這い上がってユーザーパスワードを入力するのみだ。コレわざとらの大袈裟でも決してなくて、この時代のPC作業を経験した世代は大概喰らっており、何だかんだでタフにメンタルを輪廻転生できてると思うよ。

 当時の金融市場はもう機械仕掛けトレーディングの普及が進んでおり、その作動速度が市場売買競争での勝敗を決めるとも言われていた。投資先の事業の雲行きや将来性を勘案して物事が動くのではなく、安値で買って高値で売る機械の『超人的速度』が、気紛れな数値変動に文字通り機械的に反応して、その潮流が市場動向の行方を握ってしまったと問題視する声も少なからず上がっていたものだ。
 投資家が、つまり人間が『社会でメがある』と判断した投資先にカネが集まり事業が動くのではなくなったと言うのだ。多分に偶然性を含んだ瞬間的な変動が逐一拾い上げられ、単なる売買損益数値のメカニカル然とした最大化志向が経済市場に割り込むと、産業発展による社会繁栄を志したい側の経済原理が狂うのではないかと。

 そんな議論が交わされている間に、もう日進月歩ならぬ電光石火の超速進化で新たな動作原理が加味されてはいたはずだが、それにしても自動売買のGO判定はヒトの思考や感情や願望や欲などとは別の系のものだったはずだ。言ってしまえば、自動売買にはカネを儲けたい欲もなければ、将来有望な事業を応援し大きく育てる夢も無い。

 ただそんな自動売買の作動特性を仕込むのはヒトであり、安値で買って高値で売るだけに限っても、間違いなく『カネを儲けたいヒト』の特質を再現したものである。ヒトとの決定的な違いは作業処理の圧倒的速度だけであり、ヒトが思いもつかない順列組み合わせで新たな道理を組み立てて、ヒトの望まない理解不能のカネ時空をあれよあれよという間に構築して、唖然とするヒトの目前でヒト流の経済を崩壊させる…というハナシでもないんだよな。
 …ということは、イチ早く高速機を手に入れて有利に立ち回れなかっただけの負け組が、勝ち組の足を引張って機械戦力を奪おうとして、取引自動化の経済危機警報キャンペーンに走ったのだろうか?
 コイツらも高速機が手に入ったら気が収まって静かになったのか、それともやはり自動売買を滅ぼして、投資先をヒトの判断力で評価するところまでやらないと気が済まなかったのか。もう知る由もないけれど。

 私個人としては、近年の資本主義経済システムの混迷のイチ要因として効いているのではないかと思っているのだが、深入りするとかなりの分量になりそうなので今は一旦ここまでにしておく。
 だいたい現時点ですら『円安を否定視しながら日本円を際限なくばら撒き続ける』という、どんなに初歩的で単純なプログラムも絶対に陥らないようなポンコツ自己矛盾を起こしているニッポン1億2千万人経済圏なのだから、まずその気の狂い方と精神疾患の病巣を特定するのが先決だろう。
 古来伝統的なカネ経済・資本主義すら理解することも利用することもできなかった無能の黄色いサル山経済圏に『新しい資本主義』もナニもあったものではない。

 しかし当時にして悠人お兄ちゃんはパソコンやソフトや情報網ライセンスにおいくらぐらい注ぎ込んでいるのだろうか。Windows環境にてフツーに動く一般向け市販アイテムだけで大枚稼げていたとも思えないが、当時のパソコンの作動信頼性で個人戦をやるとなると結構しんどかったと思われる。
 爆発的に急発達するインターネットの情報空間で、競合よりも優位な情報源を探り当て即刻反応するためには、やはり個人では自身一人の体力・気力の限界と闘いながら組織戦を仕掛けてくる連中を相手にせねばならず、期間限定ででもないととても持たない消耗戦になるのではなかろうか。

 2千ひとケタ年の中盤といえば、未公開株式の取引が一気に活性化した時代の記憶があり、投資銀行の求職者数を上回ったという話を聞いた。起業にしても再生にしても、数年単位で結果を出して次にステップアップしていくキャリアスタイルの業界なので、悠人お兄ちゃんが採用の決まった大手一流企業を『3年で辞める』と言い切るあの感覚は、当時のデキる現実主義の知性派にあっておかしくないと思う。
 未公開株式の取引は投資銀行に比べて業態が過酷で、そりゃ報酬は期待できるが終電では帰れないし、家族に相談してからでないと生活崩壊するので業界入りの検討をしてはいけません…とのことであった。外資系大手の国内参入もありそうと言われる勢いであったが、程なく世界経済は2008年のリーマン・ショックを迎えることになる。

 あらら今回もいい分量になっちまった。経済トピックももう少しいろいろ突込みたいんだが、ちょっと現状の日本円経済のレベルが低すぎて、本題以前のところでスペースばっかり無駄遣いしてしまいそうで二の足を踏んでしまう。
 当時の通信事情や経済環境が懐かしいね。では悠人くん、商売繁盛グッドラック!
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