SSブログ

【929】必修科目!おもしろ貯蓄の物理学 [ビジネス]

 日本が何万回、何億回分ワクチンを確保しました、だなんて、いま新規感染者が減ってくる傾向が見えてて下げ止まりがどうたら言ってんだろ?
 まず確保したってのは真っ赤なウソっぱちだろうし、少々の違約金払ってでも勝手にやらかしちゃったぶんは契約解除で他国に譲るのが賢いよ。そもそもから特段の危機対応なんぞ必要も無くなってるのは御存知の通り、バチあたって『また』深刻な薬害問題起こすぞ、この国は。

 さてさて、せっかく冷凍機設備の技術ネタをやったので、この際もう少し。
 あんまり一般的じゃないんだけど、『蓄熱』というコトバを聞いたことのある方はおられるだろうか。まずは魔法瓶の概念で大体当たっている。

 我々50代が小学生だった時代、日常生活で熱いお茶や冷たいジュースを持ち歩くという概念は存在しなかった。
 遠足で持つ水筒は、水密と壊れにくさの機能を第一に造られており、割れにくいプラスチック外殻ケースに金属筒状の容器部分が内蔵されていて、開け口はねじ構造でもって環状ゴムのリングシールを圧縮し密閉する。当然、熱いお茶を入れればその直後から外面を触れて暖かいし、冷えたジュースを入れれば冷たいし、中身はいくらもしないうちに常温となる。

 この当時の常識を変えたのが『魔法瓶』だ。いかにものネーミングがそれを物語る。
 飲み物の容器部分がガラス製の二重構造になっていて、この二重の隙間の空気が抜いてある。真空層を挟むことにより、熱伝導を遮断するのである。
 当時、鏡と言えばガラス板に裏側から銀を蒸着して作られていたのだが、つまり容器壁面を鏡にすることにより、中身は中身に向け、外面は外面に向け熱反射特性を持たせるという原理であった。
 ところがこの時代のガラスの脆さはタダゴトではなく、魔法瓶の水筒はちょっと落としたりぶつけたりすると一瞬で中で粉々に割れてしまい、軽く水筒を振って『シャラン、チャラン』と破片の音を聞いては『あーダメ、やっぱ割れちゃったわ…』なんて確かめたりもしていたものだ。高価な貴重品だったのだが…

 さて『蓄熱』だが、物理的・技術的に少々大袈裟なイメージにも響くのだが、要は熱い飲み物の保温と同じである。具体的には、飲み物になっている液体分子が持つエネルギーを放散させないこと、ミクロ・ナノ振動まであらゆる動きを全てビリヤードのように、できるだけ完全な弾性衝突でエネルギー損失なく跳ね返し、容器から系外への伝播経路を絶つことが本質的な目標要件となる。よろしいかな?
 では、少々マニアックな『蓄冷』の方に話を移そう。

 『蓄冷』にしても、熱の移動方向が逆になるだけだから、まずは『蓄熱』と目標要件はカブるのだが、実用方策として、もうちょっと違う事情が絡んでくるのだ。

 ペットボトルなんかこの世に存在しなかった魔法瓶礼賛の時代、水筒はもちろんドリンク瓶の買ったままを製氷室に入れて破裂させる事故も珍しくなく、故に日常べからずトラブルとしても有名で、よって一般教養として大概の人が心得ていた気もする。
 まあ『凍らせておけば冷たさの持ちが良い』というのは誰でも考えるんだよな。これは、水H2Oが個体の氷から解けて液体に状態変化するにあたり、随分と熱を喰う必要があるからしてのコトなのだ。この個体が液体に変化するために喰う熱量を、融解熱と呼ぶ。
 凍らせた飲み物はミクロあるいはナノ振動の動きまで鈍く静粛でおとなしいため、外から相当吸熱してもそれを解きほどいて起動するための融解熱として状態変化に喰われるばかりで、自由運動できるような動きのある液体にまではナッカナカなりにくい…と、そういう理解で構わない。

 逆に、液体の水から熱を奪っていったとして摂氏ゼロ度にまで下がった途端、いくら熱を奪ったところで、温度はゼロ度で止まったまま、ゼロ度の水がゼロ度の氷に状態変化するためだけに熱が喰われるばかりで、ゼロ度一定から下がらない時間が続く。全てのゼロ度水が残らず氷になり切ったところから初めて、再び氷として氷点下領域にてどんどん温度が下がっていくのである。
 この液体から個体への状態変化のために奪うべき熱を『凝固熱』と呼び、その値は融解熱に等しい。

 つまり、上記の例から解る通り『冷やしたモノの摂氏ゼロ度を常温化で維持する』という目的において、水から氷を作る過程の持ち出し凝固熱ぶんが、どこか系外の他から流れ込んできてしまう『もらい熱』の吸収バッファーとして機能できることになり、『氷は摂氏ゼロ度の蓄冷剤として使える』という言い方ができるのだ。
 『負熱の貯蓄』による摂氏ゼロ度の維持は、氷により動力不要で可能である。さらに熱を吸わせて出てくるH2Oは正真正銘の水でしかないから、もちろん飲めるし、そこらにボタボタ落としたところで、後にも一切を残さず全て乾いて飛ぶ。

 う~ん、とっても当たり前のことをいちいち難しく解説した感が凄いぞ。
 ではマイナス20度・マイナス50度・マイナス70度では、どんな蓄冷剤を使えば良いのだろうか?

 …そんな物質は無い。適材が無いのでできない。不可能なのだ。
 いや、目を吊り上げて、この大気中の一般環境下で凝固点がマイナス20度の物質を探せば、何かしら見つかるのかも知れない。だが水ほど常識的に安全で、安価で、扱いやすく、実用温度域に融点=凝固点を持つ物質は他にない。
 せいぜい水に食塩を溶かして塩水にして、凝固点降下でマイナス10度レベルにするのが限界だ。これとて漏れた場合の塩害が怖くて、台所でアイスクリーム以外を目当てに使う気はあんまり起こらない。よく半透明のプラスチック密閉容器に薄いブルーで着色された液体保冷剤が入っているのを見かけるが、あれもキホン水H2Oである。漏れたのが判るように着色されているだけなのだ。
 如何に水が我々にとって都合の良い特性を持ち合わせてくれているかの奇跡的な偶然に感動するとともに、それ以外の冷却、特に継続的な冷却は、とにかく動力仕掛けの手間・高コストから逃れられない。優秀な無駄ハンターのSDGsさんたち、よろしく。

 どこそこのワクチンがマイナス何度で何回打たなきゃいけなくて…って、そんなややこしい場合分けを管理するのはハナっから無理だし、だいたい絶対どれもヨリ取りミ取りで人体への影響は変わりません…なんてワケもないのに、誰に何が適・不適なのかもロクに調べずナウ手あたり次第ありもん打つって、正気の沙汰か?
 医療処置の作業プロセスとして完全に破綻・崩壊し切ってるじゃねえかよ。

 …あら意外と分量いっちまったなあ。コトほどかように冷凍というのは大変なのだ。
 まあ今般のワクチンとやらが一斉一律の税金事業でやるようなものでは到底ないことだけ御理解いただければ十分である。
 もっともワクチンは『接種して感染症を予防する』ことが目的なのは間違いなく、新型コロナ感染症に対してそれが開発されるのは自然な流れであり、その効力の可能性を頭ごなしの理屈抜きに否定するつもりは無い。然るべき段階を経て進展するだろう。

 医療技術という人類の英知が、正確な情報伝達のもと国民の健康管理に普通のこととして活用できなくなっているような、こんな現状に陥らせている人間の邪心が問題であり、それを真面目に摘発して残らず消去すべきだと言っている。
 何か突込んで身体を壊したら、自分の中でそれを解決するしかない。では御幸運を!
nice!(8)  コメント(0) 

nice! 8

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。