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【1137】職場ジャーナリスト優等生の一面記事 [ビジネス]

 いい機会なので、何かと嫌われがちな管理業務の話題を。前回ちょっとだけ触れた書面作成による業務改善の素案について、軽く試しやすそうなところを先走って紹介してしまおう。
 みんな『業務管理』なるものが『必須アイテムとして』仕事の一環だと認めてはいるのだが、それにしても無条件に面白くなくて、とにかく漠然とした徒労感の脊椎反射が抑えられない。あああ、やだやだ。

 日々を直接業務のすったもんだで過ごす現場からは敵視されることもしばしばだ。
 『せっかく自分らがあの手この手で〆切日程に追われながら辻褄合わせてんのに、ちょこまか日程表を持ち込んできては、工数実績いくつだの年度計画から遅れどんだけだの、上への提出物イノチの学級委員みたいなことばっかしやってんじゃねえよ』
 嫌われ見下され煙たがられうるさがられ、工数実績表や業務進捗管理報告の書面フォームはすべからく提出が後回しにされて遅れがちだし、その内容も『面倒くせえなあ、ナニか出しゃいいんだろ出しゃ』と言わんばかりの投げやり殴り書きっぷりが目立つ。

 記入欄の最上段に『本件、ちゃんとやってますんで』の短い一行が孤立しているかと思えば、欄外はみ出しや勝手拡大に極小フォントの寿司詰めなどやりたい放題で、いかにも未整理のままダラダラ経緯を列挙しただけの『掃き溜めメモ』も珍しくない。
 どうにか記入欄の半分以上2割オーバー以内ぐらいの適正量だったとして、やっぱり内容は『どんだけかけてアレやりました。次にコレやりました…』の殆ど小学生の日記だったりもする。
 まさに『管理書面をやっつけ作文で出すだけ出して済ますこと』が目的になっていて、『職場の本来目的に対して、こんな具体的作業でこんな業績を残した』という現場レポートになっていないのだ。改めて考えたら、自分が特命プロジェクトの一員にでもなっていて、その取組み期間の総まとめ報告会か何かで、成果物の解説だとか効果額だとか、画面中央にひとことで語る機会なんぞ他のどこにも無いのに。
 そう、管理者視点で語られる超・嫌われワード=『日々の業務が見えない』は、あながち現場知らずのトッチャン殿様意識の産物というだけのものでもないのである。

 そんな現状の問題に深入りするより先に、現場側でこういう書面フォームと記入要請を受け取った場合の対処例を紹介しておこう。その方が良いコトがありそうだ。

 何よりまず人さまに見せる書面は『ぱっと見いでカッコ良くて綺麗なこと』である。
 レイアウトが不自然で大まかバランスが悪かったり、フォントがあちこち不揃いだったり、セルに収まり切らず非表示だったりするのは論外。アタマ悪すぎだろ。
 『つまんない連絡だなあ』『出しときゃ文句ねえんだろ』『これで片付けとけや』みたいな不機嫌を抱くのは勝手だが、その腹いせを受信者にまで叩きつけるのは知性にも品性にも欠ける行為である。書面全体をざっと俯瞰した瞬間から、少なくとも不快感なくスムーズに正確に視認させる心遣いを怠らない丁寧さは、いつも自分ブランドの提出物に超一流で保証しておきたいものだ。

 もし当該業務単位のタイトル欄が最初から決められているものでもないのなら、タイトルには『ひとこと目的解説』の要素を必ず組み入れる。
 『2月16日文面更新』ではなくて『230216管理書面の秘訣を紹介』の方が、正確な日付入りの出来事レポートのキャッチコピーとして適切なのは解ると思う。
 これには英語人種メールタイトルの動詞主導マインドに通じるものがあり【94】、裏返せば本人なりの確固たる目的意識も無く『仕事だから』という理由で何となくやり過ごしている消極的な取組み姿勢は、多くの場合タイトルだけで判別できてしまうのだ。

 次に概要欄だが、何か『業務をひとつやりました』という説明をするにあたり、内容を一読で理解できる分量というものがある。
 例えば現時点ここのサイトのPC画面表示は一行あたり40字だと見受けている。もし他んちのPCやスマホなんかで違っていたとしたら悪しからず。この体裁なら、せいぜい3~5行ぐらいだろう。
 記入する側の『書きたい内容』の分量はとりあえず関係なく、読む側として『一度に視野に入って直感できる内容』の分量を優先しないと、そこに記載された情報が伝達できないのだ。相手が読んで、相手の興味意識に響いてナンボである。
 そこで一番重要な一言目の文章は、タイトルにも籠めた目的意識に対して『成功or失敗』の総括的判定であり、判らない・判定できないのなら『わからない』とはっきり明記することである。積もるハナシがあるのなら、適量文面の中に『ざくっとこういうハナシがあるんだけどさ』と別途扱いにして端折れば良い。

 あとは日程遅れだのコスト超過だの解決方策未定だの、脛キズ情報で詳細の各欄を埋めていくワケだが、こんなもの書面作成者が悩んだところで数字や事情が変わるはずがないので、いいからさっさと手元の情報をそのまま記載するしかない。書面にした途端に誰の目にも見えるのだし、見てしまった者は一蓮托生の共犯者である。こうして業務負担を拡散・共有し組織戦にするために、管理業務というのは存在するのだ。
 ちょうどいい機会なのでここで明言しておくが『計画通り順調に進んでいない、オマエが悪い、オマエが何とかしろ』と文句や不満で反応し、書面作成者やその周辺に負担をかけたところで、事態が硬直したまま荷重を増やしただけに過ぎない。ここでは間接業務ならではの、非・現場域からの現実解を提示するのが管理職層の役目となる。

 さてさて以上を理解した上で、ではマンネリ管理業務書面の運用改善トライアルの入力起点とはどこにあるのだろうか?
 私は、現場側の書面作成者としての『どうやって面白く読ませるか』という読者サービス精神が、まずは手早いと思っている。とにかく組織内に流通して関係者同士で持ち合うのは書面なんだし、そこに書いてある味気も中身も無い一行が、さらりと目に飛び込んで思わず読み込ませる記事に化けるとすれば、それはテキスティングする書面作成者の指先如何にかかっているからだ。
 『ナニ?こないだの手抜きの週末企画、あれで300人も入っちゃったのかよ!』
 『新型の髭剃り供試品なのに、来客の若い女性比率が高かっただと?』
 『おいおい、満を持して起死回生の一発とやらの発表会が閑古鳥か?死ねや』

 なお気を付けたいのは、こんなものにまで『タイトルの付け方はこう』『内容の書き方はこう』みたいな味気ない内容記述マニュアルを用意してしまうと、今度はそれが自由を束縛し近寄りがたい心象を呼び起こしてしまい、ほぼ確実に失敗するということだ。『仕事だからそうする』という同調行動ばかりで日常が流れる職場においては、『どうするか書いてある』という環境にしたいんだろうが、それはセンスが悪い。

 現場知らずのトッチャン事務屋が、得体の知れない間接業務のためにアレ出せコレ書けとうるさいばかりの管理書面。『仕事だからそうする』というガッチガチの習慣に踏み固められた旧態常識の行動様式は、この上なく具体的だが思考停止の同調だけで、職場人生の平常の過ごし方として成立してしまう。そんな不毛なやらされ気分を方向転換させるのは、最終的には管理・被管理の双方に跨る全員仕事だ。

 あらま、結構な分量が埋まってしまった。偉そうなことを抜かすこの私自身が、いかに無計画の掃き溜め式に漫談テキスティングしているのかの見本じゃないかよ。
 まあいいや、実は管理書面に限らずだが、情報を発信して受信して、その内容が共有され何か良いコトが起こるから、通信する意味がある。
 人さまに正しく発信し、人さまから正しく受信しよう。幸せな通信にグッドラック!
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