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【1098】諦めない人工知能の未来抽象画力 [ビジネス]

 NHK朝ドラ『ちむどんどん』が完結した。いや~面白かったと思うよ。
 最後の最後まで期待を裏切らず、宇宙家族の奇行奇談で走り切っており、最後は全員無理のありすぎる加齢メイクでコントのような後日談、笑える幕引きであった。この一貫性は見事だ。
 もういっぺん通して観ようとは思わないが、再放送やっているのを見つけたらチラ見はするかも知れない。テーマソングのアニメは絶品の美しさだし、毎朝のアレがなくなるのはちょっと寂しい。

 だが沖縄の本土復帰50周年記念企画だという話が本当だとするならば、その目的に対しては大失敗だろう。正直どうしようもないレベルの落第点である。

 やっぱり学習途上の人工知能で作話したんじゃないんですかねえ、これ?
 もしくは人間がやるにしても、初期草案の作話段階で『インパクトのある大事件』というお題で、あらかじめ情景設定ヌキで思いつくまま自由記述したカードを書き残しておき、それを無作為に一枚選び採って、選んだ一枚には死んでも従う…みたいな手法を採用したとか。要は人間にとっての自然な共感を敢えて断絶し、『機械的』に内容を決めようとする意図があったのではないかと言いたい。
 そりゃあもう、関心事のきっかけだけ作っておいて放ったらかしにされた劇中アイテムは数知れず、また大勢の脇役キャラクターが名前も語られずに消息不明のまま幕が落ちてしまった。演劇系エンタメ作品の完結度としては、空前の歩留まりの悪さではないかと思う。

 最終回の直前にもなって末娘が大概しんどそうな顔で寝たきりになり、最終回で医者も思わせぶりな台詞を吐いて、そんな状況でいい大人たちが病院を出てタクシーで連れ立って出かけ、海に向かって叫ぶ…という奇想天外な展開は、昭和の青春ドラマを何本も見知った私でも到底思いつけない。
 そう言えばこのドラマ、死亡フラグが立つ立たないの大枠も見えないうちにいきなり一家のお父さんが死んじまって、視聴者一同あっけにとられたところから始まっているのだ。ここへきて今さらハラハラもせず、最終回に末娘があの世行きってのもアリかな?だとか、新たな連ドラ先読み娯楽の新境地を切り拓いた感さえあった。

 これだけ人間の一般的思考の法則性から外れた物語の展開を、シーン毎にあれだけ真直ぐ演じ切った役者さんたちの努力には感服する。コメディでもなく、ホラーでもなく、サスペンスでもなく、意味不明のシチュエーションを指示する台本だけ手渡され、あの成果物が上げられるというのは大したものだ。
 実際ここでの役のイメージに引きずられて印象が悪化した役者さんは一人もいなくて、恐らくこれは私一人の特殊な感想ではあるまい。ビミョーに困惑した『朝ドラ受け』や反省会ハッシュタグでの発散を楽しみながら、むしろ総じて役者さんたちの好感度は高まったのではないだろうか。

 NHK朝ドラをネタにわざわざ難しく捏ね繰り回すのもどうかと思うが、文書の指示が結構とっちらかっていても、それを分別ある現場が良心的に解釈して具体化するなら、そんなに険悪なデタラメ崩壊には終わらないってことなんだろうな。『NHK朝ドラだから』という特別な条件はあったにせよ、ドラマ本編の内容を越えていろいろと興味深い知見が得られた作品だったと思う。
 来週からは鳥人間コンテストの話らしいから、引き続き視聴を続けることにしよう。

 さて、コトほどかように作文して文章に書き落とされた言語情報なんぞ、いざ現実に起こそうとすると物凄い不確定性を含んでいるモノなのである。文章とは、ありていには辞書に記載された内容までしか人間共通の行動の拘束力を持ち得ないのだ。
 だが受信した人間は『解釈』なる情報処理をした上で、意識的に行動を選択する。
 つまり主観として『ああ、コレコレこんな供述をする文章があるなあ』と認知したら、それを本人独自の記憶ファイルと整合させて、次の行動のGO/NO GO判定を下す流れとなる。どんな記憶と突き合わせて、どっちの判断を下すかで全てが決まるのだ。
 お判りだろうか。『作文する』という目的事象で何の文章をいくつ書き溜めようが、そんなもので人間の行動を制御しようがないのである。

 二の句に次いで『ルールだ、決まりだ、明文化だ』ばかりやっていると、組織全体が何をするにもまずマニュアルを探す時間の無駄から始めたがるようになり、いっぽう組織活動の本来実績としてのメリットvsデメリット評価概念もそっちのけに、合法vs違法ばかりが気になって、これまた無駄な適否議論ばかりに時間を浪費する組織体質が定着してしまう。だから日本の職場は効率悪く生産性が低いのだ。
 ついつい『組織に従う構図』を金科玉条の前提にして、ならば『ヒトではなく組織による具体的動作の束縛で管理すれば全ては整然と統治』という思考停止ルーチン制定の方策に走りがち。ほかっておいても、豊かな日本列島がまずひとまとめの集団をカタチ作らせてくれていたこの民族は、大自然の道理でもない現代文明の障壁に立ちはだかられた時、建設的な組織の舵取り手段を思い付けない。
 あれもこれも生産と成果を実感しながら楽しめる取り組みでなくなってしまい、いつしか思考停止してどこかの誰かの記憶の断片を探しては隷従してなぞるだけの虚しい徒労で寿命が削られていく。高齢化ニッポンは、これ以上収穫の無い不毛な加齢を重ねる組織体質を作り込んではならない。

 特に今夏あたりから爆発的に拡散され話題になっている描画AIの進化がいま本当に凄く、そりゃあ本業でやってるイラストレーター職のヤツが廃業を嘆き始めるのも無理はない。要は『コレコレこんな絵を描いてくれ』とオーダーすると、それに応えて人工知能が作画して返してくれるサービスのことである。
 まだまだ学習過程の初期段階なので、かなりの確率で的外れの絵も返って来るのだろうけれど、何より人工知能くんがギブアップしないところは面白くも凄くて、人間は真剣に見習って生き残る手を考えないと、文明社会での居場所を失う結末が明らかに見えてきていると思う。
 例えば『生命の組織倫理を探索する思考のひとやすみ』などとオーダーをかければ、とにかく何か絵を描いてくれるワケだ。これが気の利いた抽象画まで行くかどうかは現時点でまだまだ怪しいんだけどさ。
 それにしても、初見の難課題を『主観』でとらえて、サーバー内やインターネット上の『記憶』を交えて、どうにかでも高速の計算処理で結果を創出し、GO出力で返してくる作動保証の信頼性は、既にそこらのガラクタ人材を大きく凌駕していると言えよう。

 …と言いつつ、私もえっちらおっちら作文してるんだよな、今ここで。
 但しその目的は、おいでくださっているお得意さま各自の内々にある『自前の自我』に、取り上げて話題にしている事象に関して『思考』していただくことである。面白くて生産性のある『思考』が巻き起こせれば、私なんか考え及びもつかない優れた出力が、あちこちから自然発生するはずなのだ。

 次の朝ドラは『舞い上がれ!』だっけ。直球で期待して、週明けからグッドラック!
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