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【565】取扱注意、若返り特効薬の処方箋 [ビジネス]

 大学時代の先輩【298】が、90歳になる母上を関西住まいから東京に引越させたという。都心で50台半ばの妹さんと暮らすのだそうだ。
 そういえば、最近ひと頃ほど『親を施設に預けて』というフレーズを聞かなくなった気がする。正解である。
 以前から迷っていた、ちょっとハードな話で始めてしまおう。

 私なりの経験に基づく持論とくれぐれも断っておくが、優しく丁寧で手厚いだけの接点では、高齢者の認知機能は劣化が進んでしまうと考えている。酷い話だが判りやすい一例を挙げると、本人が気にした瞬間ズバリに『ぼけたのか!』の一言を浴びせる荒ワザが、時として必要と思うのだ。
 人間の認知機能には間違いなくバックアップ構築機能が備わっており、ゆえに経時劣化や脳梗塞などのトラブルによりエラー作動した回路を即刻その場で、本人が意識して修復にかかれば基本的には成功し続ける。
 ここで『誰でもこの年齢になれば仕方ない』『ちょっとした見違え聞き違え取り違え』みたいな本人の現実逃避に安直に同調してしまうと、なりゆき任せに悪化するだけだと思う。

 『今ここをこんな失敗したろう、おい大丈夫かよ?』は言うも言われるも精神的にキツい指摘だが、心底本気で自分を気遣う心に疑いを持たれなければ、その場が少々荒れた会話になろうが、高齢者の認知機能は回復して解決するのだ。大騒ぎしながらも、普通に日常生活を送れることこそが一番だと私は思う。
 これができる立場にあるのは深い信頼が通じる家族だけであり、こんなこと介護施設でやろうものなら虐待の構図そのものになるし、高額入居費を申し受けて生活の世話を引き受ける特養クラスの施設だったりすると尚更むずかしくなる。
 家族仲から誤解や疑いの余地を消しておくというのは大事なことなんだなあ、と今このトシになって痛感する。大して気にもせず、ウチがこれまでの全てで自然とうまくやって来れているのは本当に有難い。

 さて社会全体が高齢化の傾向にあるのは事実であり、これは動きようがないとして、では次に道理が求めてくるのは『高齢者の成長期化チャレンジ』ではないかと思う。
 『長らくお疲れさま、お年寄りは大切に』ではなく『オマエもっとやれるだろうよ』で、時として本人の負荷も疲労感も辞さず、鍛えて新機能を構築にかかるのだ。
 言葉足らずで乱暴なのは解っている。
 だが結局そのコンセプトを意識した方が望ましい社会になるような気がする。

 いま私のアタマの中では、若い時の『ちょっと体調で困ったら医療機関に身を預ければOK』という甘ったれた油断により、我が身の健康管理機能を手酷くへこたれさせた失敗の経験がガツンガツンに響きまくっている。便利で手厚い社会が提供する安心は嬉しいものだけれど、日常の多忙を切り回す方の優先意識にも追い上げられ、つい判断基準を見誤って世話になり過ぎてしまった訳だ。
 タイムマシンがあるなら直近5年の私の姿を整理して、過去の私に見せつけた上で、寝ぼけたアタマに回し蹴りの一発でも喰らわせてやりたいものだと真剣に思う。

 だが、裏返せば私はここまでで済んだクチだとも言える。

 何十年か後、復調も反撃もままならない年齢に達してしまってからでは失敗してラチが開かないのだから、年長組も危機意識を奮い立たせる工夫を絶やさず、いま現時点の自分を『医療健康的にも・社会活動的にも』自分でおかしいと感ずるくらいに『好戦的な現状否定のハングリー』にしておくのが後悔しないのではないだろうか。
 だから前回、『自分の立ち位置検証と変化先の推察』および『時代遅れを自覚する』という表現を使ってみた。いま気づけ、いま気づけたなら、いま直せ。
 う~ん、でもやっぱり自分では、やって初めて解るんだもんなあ。他人である補助者から、容赦のないツッコミが不可欠という結論にもなりそうな気がしてしまう。

 実はこの話、自分を取り巻く数々の社会事象の継続性=サステナビリティの維持確保につながっており、ここ最近かなり私の人間関係の人物相関マップであちこちに重点課題フラグが点滅している。先に隠居があって間もなく人生の幕が下りる昔の社会構造だったら、このあたりはあんまり考えなくて済んだんだろうな。
 でも私だって、まずはと言いつつ『あと20年』とかケツの閉じたプロジェクト形式を宣言してやっているのだし、要は『考えてトシ喰わないといけない時代』になっているのだ。

 さて今週末から9月、私にとって今度は若い人たちに接する機会が多くなる季節である。
 いろいろ教えてもらって、いろいろ面白がってもらって、新しいお付き合いのきっかけが生まれると嬉しいのだけれど。
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