SSブログ

【564】自我シェアリング時代の先行生活プラン [ビジネス]

 若年層の研究もいいが、それを偉そうに自分らの感覚基準でやっていては現実を見誤る。現状の自分の立ち位置検証と変化先の推察もやっておこう。とっかかりの題材は、以前ちらと洩らしかけた自作パソコン『にすけん弐型(仮称)』開発の先行検討である。
 実は少なくとも現時点で、欲しい機能をお気に入りのデバイスで組み上げて、『手元の自分専用機で思うままのPCライフを楽しむ』みたいな感覚は時代遅れの局面にあるのだ。
 どういうことなのか?

 いつも通り結論から行こう。クラウド・コンピューティング時代への対応が難課題なのだ。
 私がこの度ぶつかった具体的現実は、映像業界のハナシ。どこも設備投資の戦略が立て辛くて困っているという。

 今どき結構なレベルの画像処理がスマホやタブレットで簡単にやれてしまうのは御存じの通りだが、その高機能が小型・軽量・簡略を追求し続ける手元デバイスに収まり切れているはずがない。早い話が『自分の手元にはキーボードとディスプレイだけしかなく、画像制作の凄い仕事をしてくれる高性能のコンピューター本体機能は、かなりの大部分が通信回線の向こうのソフトメーカーにある』と思っていただければ良い。
 凄い仕事で作った凄い成果物は、どこでどう使うにせよ、制作作業を行ったソフトメーカーのサーバーに間借りして保管するのが効率よく、故にソフトとサーバーを抱き合わせた使用権の契約が何かと便利になる。OSのバージョンアップに伴うソフトの更新もこの契約に一本化してしまえば、『旧OSで使っていたソフトが使えなくなって、同じブランドの新OS対応版を買ってきてインストールし直し』といった面倒も無くなる訳だ。

 高速大容量通信環境の維持保証と、継続性・発展性の高いソフト会社の選定、更にこの業態に適した自前PCの仕様構築が設備投資の重要案件となる。例えばPC仕様については、凄い仕事=大容量のタスク処理を自在にこなすためには、いま時点で最低4コアのCPUと16GBのメモリーがまずは最低ラインかな…といった状況らしい。
 画像の緻密度も4Kに続いて8Kなんか出てきているから加速度的にデータは重くなる一方であり、これの普及速度がまたハイビジョンのように行くかというと際どいところで、どこの受注先からどのデータ重量の仕事を要求されるかが非常に読みづらいのだという。
 『いや、ウチはそんな凝った映像処理までやりません』という現業固守の主張もあるにはあるのだろうが、業界スタンダードが高機能・高性能化および高速大容量通信化で動いてしまうと、結局は軽い処理もその部分集合として動かざるを得ない。オンリーワンのトレンド逆行を貫くはいいが、時代からの遅れ代を致命的レベルにまで蓄積するリスクが怖すぎる。

 ところで今後IoTは間違いなく進展の方向だろうから、広大な情報網を駆使してさまざまなビッグデータを収集し、そこに必要な処理をかけて自前で利用する時代になりそうなのは御想像いただけると思う。膨大なデータを迅速かつ自由自在に処理しなければならなくなるのは確実であり、つまりは上記に述べた映像業界の技術課題が、そのまんま個人レベルに落ちてくるのだ。
 『自分の会社の顧客リストや会計データのクラウド管理なんてあり得ない』などという我々世代の感覚はもう前時代の遺物であり、クラウド上でのセキュリティ徹底でコトを完結させる動機に自然に切り換わらなければ、逆に『当たり前品質の欠如となる』ぐらいに自分の人格を作り変える腹は括っておいた方が良さそうな気がする。

 しっかし、これが滅法ムズカシイのだ。
 何年か前のある日、『誰それさん(=古い同僚の名前)がお友達申請しています』と、某SNS名義で始まるタイトルの電子メールが着信した。っえええ!アイツが何で今頃、私にコンタクトを求めているんだ?どうしたんだろう?何かあったのだろうか?
 正直メチャクチャ心配して気になりまくったのだが、まずは周囲にも情報収集して、何が起きているかの確認からである。

 そう、この現象、同じ目に遭った方も多いだろう。
 どこかで知人の誰かがクラウドに上げちまった連絡先リストにより、私のアドレスがSNSの自動プロモーション機能の餌食になったのである。その事実を知った瞬間は『この外道、他人の個人情報に人間関係の感情をでっちあげてまで営業するか?』と激怒したものだ。
 今でこそ私も『この時代しょうがないか』と思って済ませてしまうようになったが、恐らくスマホで育った子供たちにこの感情の起源は無い。むしろ我々世代がとても他人に明かせないと直感するような個人事情でも、彼らにとってはクラウドへの『何となくアップ』が自然なのではないだろうか。

 今も時折、子供たちが自らの個人情報の管理を失敗して犯罪に遭遇するケースが報じられるが、あれは我々世代の勝手な基準で『今の子供たちは個人情報の管理意識が甘い』と断じてはいけないのではないかと思っている。
 彼ら自身おかしな事件には巻き込まれたくないはずだ。面倒だし怖いでしょうがよ。

 まずクラウド文化が空気や水のように物事の道理・節理として存在し、前回述べた通り『何をするにもシチ面倒臭く健全で潔白な理由の保証と開示を要求される』窮屈なこの御時世のこと、本人なりには逃げ代を十分用意しギリの安全確保ができているつもりで、『普段許されない、自分の好きなコトをやり切った』ら失敗したという顛末なんじゃないかなあ。
 固定された大人の視点と考え方でネット空間上にアクセス制限など設定したところで根本的な解決にはならず、いわゆる『いたちごっこ』になるのは当然だろう。前回の議論を少し蒸し返すなら、まず成長期の精神的環境に自由を与えてやれるよう、大人が若年層の生育環境を整える心掛けが先決である。
 で、大人は固まらずそろそろ新世代のメンタリティに自分を同化させないと、間もなく時代についていけず立ち行かなくなる局面にいるという認識が必要だ。

 当面『にすけん弐型(仮称)』の仕様決定をいつにするかは決められていない。だが年単位の遠い先ではないだろう。
 明確な仕様値など列挙できず、もどかしくも申し訳ない回ではあるが、この先行開発検討は手を抜かずしっかり考え抜いておくべきステップであり、まず近未来の社会生活とそこに適応する自分の方向性を決め、PCはその実現ツールという位置付けで組んでやるのが勝率高いと見込んでいる。

 時代遅れを自覚したらまず自分の遅れ方を理解して、キャッチアップとオーバーテイクはその次だ。
 ちょいと慌ただしいモードに追われてまして、今回はこれにて。
nice!(11)  コメント(0) 

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。