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【420】古式武術の未来作法 [ビジネス]

 まさか大腸癌をやっちまったか?と下部内視鏡を突込んで、ちょうど3年になる。
 …いかんな、体調が改善するにつれ定期的に離脱経緯を記録するのを忘れてしまっている。『このひとヤマ越えたら』と思いつつ綺麗に行かず、『半分』『半分の半分』『半分の半分の半分』式にだらだらゼロ待ちしてしまったのも敗因だろうな。
 まあステロイド断絶の離脱開始から3年1ヵ月でひと通りの苦痛からは解放され、3年前を思い返す消化器失調の初期症状にまで出戻った。いま全てを種明かしの上で自己観察し直す訳だが、さしもの私も、これは絶対に一回やっちゃわないと解らなかったなー。もうチョイしたら整理しよう。

 長いこと技術系の話から遠ざかっていたので、『ツァーリ・ボンバ』のついでに、それを投下したTu-95爆撃機を紹介しておこう。西側でいうと米軍B-52に相当する位置付けとなり、長大な航続距離により敵地上空を通過しながら爆弾を投下する『戦略爆撃機』に分類される。
 北方領土方面で領空侵犯というとコイツである場合が多く、いまいましい機種ではあるが、技術的には非常に興味深い。

 何しろプロペラ機なのだ。
 プロペラ翅先端の対気速度が音速を超えられないため一般的には時速800キロ台が限界と言われているのだが、Tu-95は実に時速950キロで飛ぶ世界最速のプロペラ機である。
 なお音速は気温その他の条件により変動するが、ここでは時速1,200キロ程度。高空を飛んで対空射撃から身を守りつつ、空気抵抗を減らして速度と燃費を稼ぎたい戦略爆撃機だが、当時東側のジェットエンジンが性能不足だったからとはいえ、よくぞ翅で空気を掻くプロペラ推進を採用し成立させたものだ。
 1950年代の飛行機だが今なお現役。米・スペースシャトル退役後に有人宇宙便として頑張る露・ソユーズ宇宙船を指して、『完成され尽した前時代技術』のような表現を聞くことがあるが、Tu-95はこれを当該技術領域の常識を超える性能レベルにまで到達させ、今日まで運用が続いている事例である。
 この方向性は東側技術の特色でもあり、『時代遅れ』と見下す論評も散見されるが、いやいやその骨太で素朴で逞しい機械生命力は魅力的なものだ。いい飛行機だと思う。

 …で、何故に敵地上空から大量の爆弾を撒き散らすための戦略爆撃機まで持ち出したのかというと、『ツァーリ・ボンバ』が8メートルと常識外れに長大な上、重さときたら30トン近くもあったからだ。Tu-95の爆弾倉の扉を取払って、おなか半分はみ出した姿で搭載したという。
 凄すぎる爆弾は投下機を巻き込む恐れがあり、当然パラシュートで落下速度を遅くして退避の時間稼ぎをするのだが、時速950キロで間に合ったのかどうかは知らない。因みにこの時代、超音速飛行しながら後方に向けて爆弾を放出する方式や、宙返りの垂直上昇直前で爆弾を切り離し反転退避、弾道が放物線の極大位置に達したところで減速パラシュート展開…など幾つか議論されたようだが、いずれも『画期的な爆弾の小型軽量化が先立たないと到底ムリ』ということでポシャったようである。

 だから『そこそこ小型化して大陸間弾道ミサイル』という別案も出て来るのだが、ほら、人工衛星の打ち上げなんかも時々失敗するではないですか。小型化したとして失敗したら『自分ちで水爆』である。
 じゃあ潜水艦で当たり障りの無さそうな所に連れて行って撃つかというと、地上基地より何かと不便で揺れる艦上から時に波も被りつつの発射になるし、これとて成功率として十分な優位が期待できるものでは決してない。
 そもそもどこから発射しようが、翼による操縦がしっかり効く領域の大気圏飛行でもないから、ちゃんと目的通りに飛んでくれなかった場合のリスクはえらいことになるのだ。
 甚大な爆発はその影響範囲の予測も難しく、第五福竜丸で有名な『キャッスル作戦』では、危険水域の過小見積が事故の原因だったと言われている。第五福竜丸が間違えて危険水域に迷い込んだのではなく、大丈夫なはずの遠方で遭難したということになる。

 そんなこんなで水爆は結局は持ってても使えないから、持ってる奴が幅を利かすってのもあんまりできそうにないと判ってきたのだ。そのうち冷戦時代が幕を下ろしたこともあり爆裂威力の核開発競争は終焉、特に日本社会では戦争による被爆の事実が残る原爆の方が主に語られるようになった…

 …なんて、子供の頃は『核爆弾といえば水爆』だったなあ、とつい思い出したので回顧してみました。
 そういえば、もちろん上記すべてがそこからの出典ではないけれど、昔は子供向けの図鑑やプラモデルの組立説明書あたりにも、かなり突込んだ歴史解説・技術解説が満載されていたものだ。それも併せて思い出したので、いつか話題にしてみるかな。
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