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【1221】12年目の涙そうそう [ビジネス]

 今年も師走になった。12月1日は私の『脱ステ記念日』、満11年を迎えた。
 実は先月の後半あたりから、結構やられちゃっている。一応改善過程ではあるんだけど、直近3年連続で想定外に悪化の寝正月が続いているから、今度の年末年始も油断せず大事に行かねば。

 久し振りに全身が猛烈に痒い。瞼もはんぺんのように腫れて火星人フェイスがカムバック、唇も皮むけバリバリである。眉間の奥に嫌な鈍痛が続くなと思っていたら、眼窩つまり目玉の嵌まり込んでいる窪みの内壁面があちこち痒くなって目を擦りまくる生活になり、そのあと左右の目玉本体が腫れて眼窩の中でぎゅうぎゅうに内圧をかけるのが感じられるくらいになった。悲しくもないのに涙がだらだら流れっぱなしになり、眼鏡のレンズが涙しぶきで汚れて視界が悪くなるのには困った。

 もっとも、もう皮膚は通常強度を回復しており見た目も普通になっているため、引搔いて搔き破って血まみれになったり、その激痛に七転八倒したりといった凄絶な症状は無い。だが動くと痒いし、つい掻き始めてしまうと『掻けば掻くほど痒くなる』の地獄のループにハマり込んでしまうため、ただただじっと動かず耐え続けるしかない。以前なら両腕をしっかり組んで唸りながら頑張っていたところだ。
 今はじっとしようと思ってじっとしていられるし、じっとしていればそれで済むんだからラクと言えばラクで、どうせ程なく解放されるという確信もある。

 さっき涙の異常について述べたが、かつて私がまだ自分のステロイド中毒に気付いていなかった頃、真剣に悩んでいた涙腺の異常がふたつあった。

 ひとつめは高速道路で車を運転すると必ず悩まされた涙腺の枯渇だ。
 とにかく高速道路に乗ると30分を待たずして、目がカッヒカヒに乾いてしまう。瞼が眼球の表面で軋むのが判る…では到底済まない乾き方であり、もちろん即座にでも両目を抑えて転がりまわりたいほど痛い。だがそれができないので無理に目を開けて、一応それで前方確認はどうにかできていた。

 涙腺を絞りたいのだが、涙は目尻から流れ出して、あかんべえをすると見える目頭の小さな孔から鼻の通路に抜ける構造になっている。やってみると解るが、いくら表情筋を駆使しても眉間にシワが寄るばかりで涙腺はさっぱり絞れないのだ。まさに地獄の苦しみである。
 これでは事故を起こすのが時間の問題であり、切実な危機感と恐怖感でSA・PAに駆け込み、ペットボトルの水を買うなり、しまいには高速道路に乗る前に事前に準備するなりして、指先を水に浸してはショボショボ閉じたがる目に流し込んで運転していた。これが高速道路上を走行中に延々続いていたのだが、よく事故を起こさず怖い思いもせずさせずで済んだものだ。いま思い出しても危なくてしょうがなかったよ、まったく。

 困り事のふたつめがまとまった量の酒を飲んだ時で、症状の出方はキホン同じだ。自宅で500缶を空けるくらいなら問題ないのだが、それを越えるとある時点から目がいきなり乾き始める。
 目が乾いて痛くて辛いのだが、酒の席だと水分を絶えず供給し続けているためか、しばらく経つと今度はだらだらと涙が出っぱなしになり、これが切れると再び超絶ドライアイ地獄…とまあ、ロデオのような涙腺特性と戦わねばならなかった。
 周囲の先輩方が何かにつけ『トシとると涙腺が言うこときかなくなって…』みたいな表現をよく使うし、オレもそんなトシなのかなあなんて思っていたものだ。

 もちろんというか、断薬後11年を経過した今の私にその現象はすっかり出なくなっている。いつだったか、やはり離脱症状で目がパンパンに腫れたとき『あれ?そういえば極悪ドライアイも涙腺だだ漏れも最近なくなってるぞ?』と気付いてあの狂乱作動もヤク中のせいであり、あー今この離脱過程を経て解決していってるんだ!と理解した。

 『ステロイドは免疫力に制御をかける薬剤なので内分泌機能に副作用が出る』
 知識としては持っていたはずの解説フレーズだが、涙腺というまさかの発現モードだったので気付かず・気付けずに、愚かな私はのうのうと使用歴を重ねていたということである。今どきナニかあったらすぐ『加齢』『ストレス』の掃き溜め論法で片付けず、常用薬を含めて生活習慣をしっかり気にして、自惚れ屋で注意力散漫な私なんぞの二の轍を踏まないよう健康管理に御留意ください。

 いま結構やられちゃってると言いつつ楽しみなのは、これまで体調の山谷を通していつも痒みが残っていた背中の中心の左寄り=背面側から見た心臓の位置に、顕著な痒み症状が感じられることだ。
 なかなか好調だなあと思っていても、長らくこの部位だけは触ると身体の深部に植え込まれて染みついたように痒みが停滞していて、掻くと『掻けば掻くほど痒くなる』の脱ステ症状モードが起動してしまっていた。ステロイド離脱の解決に、身体部位別の決まった順番があるのかどうかは定かではないが、常在していた潜在的な異常部位に新たな展開が見られたのには正直期待が膨らんでいる。

 現時点で希望的観測まで込みで、私は『ステロイド離脱期間はひとこえ干支ひとまわり12年説』【1198】を提唱しているワケだが、久し振りにちょっと検索すると最近は『数年~十数年ステロイドを絶って頑張ったが結局治らなかった』と結論付けたがるサイトがやたら増えているように見受ける。
 以前なら頑張ろうとして断薬したものの、その想定を遥かに超える症状の苛酷さに耐えきれず力尽きる形で更新されなくなるサイトが多かった。

 私の経験に基づく限り、まず最初の3年間にダイレクトな身体的苦痛をやり過ごせるかどうかの異次元拷問ハードルがあり、次に5年目あたりに脳神経系の攪乱と断線を主とした精神爆損ハードルがあって、どうにかでも先が見えて完全離脱の救いの光の到来を確信したのはだいたい8年目あたりだった。そこからは『なかなか収まらない』『まだ居座る』『いつまでも繰り返す』症状との持久戦となる。
 いま自分自身を振り返る限り『まあ治るけどな』と言えそうなんだけれど、そもそも私の中毒重篤度がフルスケールの半分も行ってないとしか思えず、結局は上記ふたつの本人なりのハードル高を越えられる生命力の限界が、本人に備わっているかどうかの勝負になるはずなのだ。

 確かに知識の無い人が迂闊に独断で試すべきではないし、何年か試したところで完遂できずに終わる可能性も否定できないのだが、わざわざに長期戦を経た失敗の結末レポートなんぞ拡散しても意味は無いだろう。どこの誰が、何の目的でこんな情報を公開しているのだろうか。
 まあそれなりの経過を通り抜けて、長期戦の行方が我が事の現実問題になっていてその情報を目にする人なら、読解力は十分だろうから大した問題は無いとも思えるのだけれど。

 まあいいや、最近じゃ随分とステロイド外用薬の濫用の危険性が理解されるようになり、説明不要でそこから話を始められる人が増えた。どんな判断で何の対処をするにしても、早ければ早いほど軽く、若ければ若いほど体力もあって融通が利く。
 今の時代、のっぴきならない課題をもって人生年表に向き合うのも、ただの不運ではないだろう。私は相当の目を見た引き換えに『知能』なるものの情報構造に一定の知見を得ることもできた。

 …とはいえやっぱ健康でゴキゲンがいいっす。抜け目ない健康管理にグッドラック!
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