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【446】執着心発破掛けの明暗 [ビジネス]

 英国がEU離脱。残留を予想していた事を白状する。
 このところ老舗の製造業にいろいろあったが、先にやっといて良かったなー。

 結果は御存知の通り、EU離脱派が残留派を上回った。開票中から円相場が跳ね上がる。
 消去法の選択にしても、寄せられるに相応しい信用が実在するのだろうか。恐ろしく手ごわい円高要因が居座ったのは間違いない。

 ひとつ確実なのは、絶対にすんなり行かないということである。
 投票数としては明確な差だったとはいえ、英国民のざっくり半数は残留を望んでいた人々なのである。おまけに勝ち越したEU離脱派=現状離脱派が、実は高齢者側の社会層だという。
 離脱の動機は複数あるが、EU政策の分担として受け入れた移民の途中介入により、高い税金を払い手塩にかけて完成度を上げてきた高度な社会保障は辻褄が合わなくなり、高齢者層を中心に不安と不満が拡がっていたことが挙げられる。
 そこは理解できるものの、重量級の難課題と長期戦を交えるだけの精神力と体力が維持できるか、いや寿命が足りるのかまで立ち戻って現実問題とせねばなるまい。いま優勢のEU離脱勢力は、時間が経つほど数も力も弱っていく宿命にある。
 EU離脱派の高齢者はこの理屈を押して、長期戦に立ち向かうチャレンジを決心した格好になる。ある意味、自分より未来に拡がる社会の健全化を最優先した選択であり、さすが英国紳士の面目躍如といったところか。
 いや、それだけ切羽詰まっていたのも事実だ。そんなカッコいいもんじゃ絶対にないな。

 ともあれ今がダメなら、違う思考と違う行動を現実に起こさないとダメが定着し蓄積する。明るい未来という正解の姿が見えなくても、まず行き詰まった今を撫でまわす安穏な自分を断ち切らねばならない。
 今回この規模でぶち上げられた現状打破ジャッジの実例は、あちこちで踏ん切り決心の外的要因となり連鎖反応を呼ぶだろう。
 こんな時、泰然として真ん中に据えるべき意志と、事態を感知して迅速に臨機応変させるべき意志をきっちり線引きして、おのれの精神状態を安定させられるかどうか。これがポイントとなる。
 安心感のあるタイプというのは、目的意識の芯が上段にどっしり決まっていて、そのぶん実際の思考と行動の柔軟性には度外れた振幅を持っているものである。

 英国は『正常な社会システムの作動による国民の幸福』を目指す意志を固めた。
 そのために『EU分担枠という外乱と決別する』というハイリスクの現実解を選んだ。
 いかにリスクが高かろうが、厳しい苦難に晒されようが、今がダメなら行くべき先を確かめながら変革に腹を括るしかない。腹を括ったら諦めず、あの手この手で乗り切るしかない。そうやってダメな現状を抜け出すのである。
 もちろん志半ばで力尽きたら討ち死に、その覚悟は決めたということだ。

 放たれた欧州発の衝撃波は、程なく国際社会の自我、日本社会の自我を深く強く揺さぶる。
 変わること変えることの精神的ハードルが下がり、良くも悪くも躊躇が無くなる傾向となろう。
 当初は日本社会にとって硬直を解く助けとして働くだろうが、これが見境のない規律破壊の悦楽感に及び始めると危険だ。最近、法律やルールといったものを悪用する事件が続いたが、ここで手を抜くことなく最後の最後まで追及して、処罰と弁償が完遂される事実で締めておく必要があると思う。
 法律とは『個々の衝突を交通整理し納得して折れ合うためのルール』であり、『皆の総意をでっち上げて邪心を問わず悪事を押し通すための印籠』にしてはならないのだ。

 せっかくの日本国で思い切り幸福な時間を過ごさねば、もったいないではないですか。
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