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【416】コペルニクス的転回、エピソード1 [ビジネス]

 橋下大阪市長が任期満了。物凄い8年間、誠にお疲れさまでした。

 いきなりだが、記者会見の場で今後どうするかを答えさせようとする無駄な問答が多過ぎる。生活すべてを拘束していた大仕事に節目つけた瞬間だぜ?御本人もわからない未定の大原野だろうに。
 思いが多少あっても、そりゃ人さま相手の秘密なんか持たないに越したことはないが、あちこち無作為にあけっぴろげて、マズいとは言わないまでも良いコトなさそうな事情は山ほどあるのが普通だろう。しゃべるワケねえじゃん。
 こんなもの、どうにか手に入れた発言と表情の裏を読みまくって、手前勝手な想像で作り上げた相手の心と疑似コミュニケーションしたところで、箸にも棒にもかからない空振りフルスイングに終わるのが関の山である。
 本当に気にする人は、ただ真実の展開を待つ。妄想自慢の大喜利なんぞに興味はない。

 もうひとつ、耳が腐るほど聞き苦しいのが『敵を作って叩く』といういやらしい概念の会話だ。もちろん昨日の会見でも橋下さん御自身はその意志を否定していたし、実際、目耳を疑う手酷い侮辱を喰らって遂に大切な家庭まで傷つけられても、終始『憎まず恨まず』に徹して耐え抜いたのは立派である。
 おのれが肝を落として判断し信念で選択した行動を、誰かが抵抗してきて実害まで発生した時、そいつが『敵になる』のだ。軽々しく都合で人さまを敵視する非礼や、よもやこちらから危害を加える無礼など絶対にあってはならない。目的達成の方策として『敵を作る』などという手段に考え及ぶのは、いつも損得勘定の力関係に卑屈に巻かれ、強そうに見えるヤツの寄生虫になって敵味方を決める人間に特有のメンタリティなのである。
 若い人、こんな悪いコトバくれぐれも真似しないように。コトバが歪むと精神も歪むぞ。

 もう少し解説しておくと、まず橋下さんには常に確固たるフェアネス社会構想の志があった。それを包み隠さず、というか最大限積極的に、広く深く発信し続けていた。社会組織の自我に理解を訴えるためだ。
 いっぽう議会制民主主義政治で動く日本社会において、持論に沿って現実を変えていくためには、決められた議席数の賛同を得なければならない。従って、自分の志に対する『庶民の正確な理解』をメンテナンスしながら、同時に『議会の場における必要な賛同数』のため清濁併せ飲んででも規模を稼ぐという、結構しんどい二律背反課題の両立解を探ることになる。
 いろんな人間がこの世間を渡っており、みんな志を理解してすんなり同調してくれれば誰も苦労はしない。十分に理解できないヤツ、理解はしても突張り通す勇気のないヤツ、もちろん何だか強そうだからとぶら下がって来るヤツや、理解したフリで良からぬ事を考えて潜り込んでくるヤツだっている。
 こうなると局面次第で『マインド純化期』vs『議席数かき集め期』の作戦テーマ切換えもやることになるし、当座の目的を達成した後むしろ足手纏いに化ける連中の処置も必要となる。

 重要なのはここからだ。
 どこの政党がどうしたとか、どの自治体の首長だとか、『人間が何らかの都合で設定した組織枠』なんかよりも上位の次元に、橋下さんの志はあった。
 彼は、常に『志を具現化する手段として』組織の首長ポストを渡り、『志を具現化するツールとして』数々の政党組織や議会組織を創出し、解体し、統廃合していったのである。
 大抵は『まず組織あって、そこに帰属する自分』という世界観から抜け出せないのだ。これは組織の民として日の丸DNAの平均値が宿命的に負う弱点かも知れない。
 組織の自我の御機嫌を取りながら、組織の中に自分の生存空間を恵んでもらって生きている。だから使い終えた組織の解体に断末魔の悲鳴を上げる雑魚がいて、それを傍観するヤツも理解できず戸惑い、しばしば批判的な見解をも口走る。

 少々大袈裟に例えると、天動説的に組織の呪縛に操られていたこの世界にあって、地動説的に組織を手懐け支配するスタンスで、橋下さんは日本社会の基本定理を変えた。この組織観にまつわる画期性が橋下勢力の大きな特質だったように思う。
 次はこの地動説的な組織制御法が、定着のフェーズを迎えられるかどうかってとこか。

 地動説が常識になるべく動き出す日がなかったら、この宇宙開発の時代が幕を開けることもなかった。いま巷では『スター・ウォーズ』の新作が話題になっているが、そのテーマ曲は『ボレロ』というラテン舞踏リズムの骨格形式を持っている。その意味するところは、
  タン、タタタ・タン、タタタ・タン、タタタ・タタタ・タタタ…
と水戸黄門のテーマで乗っかれるのだ。いや、しょうもないウンチク失礼致しました。

 そう、この一幕も壮大なストーリーの序章に過ぎない。
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