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【736】今昔情報兵器の作戦稼動コスト [ビジネス]

 訓練中の空自F35戦闘機が落ちた。悪天候でもなかったようで、F35としては世界初の墜落事故だという。
 軍用機の事故率は、旅客機のそれに比べて当然だが随分と高い。さらに運動性を追求した戦闘機は、宿命的に不安定な飛行特性の素性となるから、小規模のトラブルがいきなり墜落事故に繋がりやすいのだ。

 旅客機の主翼は左右両翼端に向かって上り勾配がつけられており、つまり正面から見て胴体が一番低くなるV字型となっている。これを『主翼の上反角』と呼ぶが、簡単なハナシ揚力の発生分布に対して重心を中央低めに置くことになるので、操縦桿手放しで普通に直進に落ち着こうとする飛行機になる。
 一方ジェット戦闘機の主翼はキホン逆向きの下反角がつけられている。運動性を高めるため、安定とは逆方針の設計思想になっているのだと理解しよう。機種によって幾分事情は異なるのだが、かなり以前に『F16は航空力学的に不安定な特性の機体をコンピューターの自律制御で支えており、従ってコンピューターが止まると墜落する』と聞いたことがある。
 そんな故障に陥って緊急脱出するにしても、なりゆき挙動の高速飛行中にキャノピーを吹き飛ばして搭乗員は空中に撃ち出されるのだ。全てがうまくいってパラシュートまで開いたとして、どこに降りるかに選択の余地は無い。戦闘機の出動というのは戦闘目的でなくともハイリスク・高コストなお仕事なのである。
 そこまでして追求した運動性能はタダゴトではなく、現代の有人戦闘機の挙動限界は、搭乗員の医学的・生物学的な強度限界で決まっている。全身を鍛え上げ熟練を重ねた特別な搭乗員が、生きていられるギリで操縦する飛行機なのだ。

 こんな事実をまず頭に置いておいて、だからこそ、その信頼性はできる限り高めておかねばならない。お国を守るための極限の飛行で落ちる時には落ちる、だが1機あたり100億円以上もするF35だから、その採用と運用には徹底した慎重さが必要となる。
 この一件で少々驚くのは、現時点でまとめて105機ものF35導入が計画されていると報じられていることだ。確かにF35は汎用性が高い多目的機であり、垂直離着陸が可能な派生型もあるので、吊るし販売の戦闘機の購入でもって我国の防空戦力体制を組むのなら、悪くない選択だと思う。
 だが紛争勃発など喫緊の戦闘機増強ニーズも見当たらないのに、この導入初期段階で105機もの一括購入計画はないだろう。
 何か事故が起こる度その内容に関わらず、自分が搭乗当事者を強いられる訳でもないのに『危険、危険』『軍事力ハンタイ、戦争ハンタイ』と騒ぐばかりの基地問題もどうかしているが、『持つべきチカラ』を持つにしても、『使えるチカラ』を釣り合う金額で導入しなければ意味が無い。

 軍事力に関しては、一般社会にあけっぴろげに開示できないことも多く、それは仕方なくもあるのだけれど、多少このテの知識がある設備計画経験者としては、どうにも理解しがたい事態になっていると言わざるを得ない。
 冒頭のF35事故については、搭乗員の安否を始め、まだ詳細が明らかになっていないので滅多な事は言えない。しかし現在進行中のF35導入計画はいったん保留し、本件の経緯や対策要否を徹底調査した上で、今後のことを再検討すべきだと考える。

 端的に、日本国財務が死ぬ程の、というか既に何十回も死んでいる程の破綻状態にあるのは御存知の通り。自国の内需ループを半ば強硬に明確化し、直近の短期的にでも、いの一番に自国内経済の制御精度向上を図ろうとする北米に対して、こんな超高額の大量購入を見切りで約束するような理由はどこにもない。
 いや、国家安全保障の重大要件として北米と親密でありたいのは間違いないが、100億円×100機=1兆円規模の輸入を敢行するなら、『相応の情報処理を経た上での判断である』と日本社会に納得されるよう周知するのが国政というものだろう。
 何しろ今年度予算は『大台100兆円超え』だとかいうデタラメなことになっており、一応【578】時点でのハナシではあるが、これに対して日本国の税収はひと声で50兆円しかないのである。
 …ま、この税収にしても万年ウソつき統計で経済機能カラッポ国家のこの社会じゃあ、どうにかケタは合ってるだろうからコトの深刻さに疑いはないでしょ、ぐらいしか言えないんだが。

 世界経済の減速はとうの昔に予測ではなく現実のものとなってきている。今ぱっと思い付くだけでも、英EU離脱の悶着は欧州の生産力を喰い潰す非・生産性の経済マターだし、その反対に例えばアフリカ大陸やグリーンランドの原野あたりで、超・低コストの生産稼動拠点がザックザックと超高額商品を吐き出す経済成長新アイテムの噂なんぞ、とんと聞かない。全ては従来比で、『生産』が減じる一方の出来事ばかりだ。
 『日本の政治は10年遅れている』に始まり、何もかも日本がダメで外国がちゃんとしていると頭ごなしに断じるつもりはない。だがそれにしても、各国なりの世界景気減速に伴う施策と見比べて、日本国の自爆テロ非国民犯罪者政権がレイムダック状態で悪あがきに散財する姿は、明らかに数段もそれ以上も落ちる・堕ちる。
 どこのマスコミも、他国の政情不安定をさもタイヘンそうにあげつらって批評し、それが及ぼす景気の悪影響がどうたらこうたら、しかし肝心の日本国政の惨状については一切触れようとしない。箝口令か?忖度か?

 私の母は大東亜戦争の終わり頃、隊列も乱さず悠々と引き揚げていくB29の大編隊を見送った翌日、新聞の見出しに『敵機ハ西方ニ遁走セリ』と書かれているのを見ていた。それでも日本が負けるとは最後まで信じていなかったのだそうだ。何故だかはよく解らないという【458】
 だからパール判事は『広告には気を付けなさい』とおっしゃっているんだろうな【307】

 ひとつ判っていることは、今こんなヤバい日本社会の現状に、僅かでも関わっていそうな党名や個人名を見つけたら、そのへん片っ端から撃ち落とすチャンスこそ今年の選挙だということだ。
 『違う日本社会への未来突破口』は、みんなの一斉射撃で初めて開くのである。
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