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【732】一票で選ぶ、AI未来の生き残り実験計画書 [ビジネス]

 どこかにぶつけた憶えも無いのに、先週から左のこめかみの上に痛いたんこぶができやがって結構ツラい。複数回を一貫したシリーズ物としての構成がうまく組み立てられないでいるのだが、とりあえずここ最近に布石を打ちっぱなしで刈り取り損ねている話題の処理を。
 『社会組織の新しい運用コンセプト』【727】について、例によって結論から入ってみる。

 誰か人間ごときの狭く限定された情報空間で運用方針が決まるようなチャチい社会組織に未来は無い。既に社会潮流=社会組織の自我は、人間意識+AI意識の総和で決まる時代に移行しているからだ。

 その昔、技術開発の現場で日々行われる様々な実験業務について、ジャンル区分をどうするか考えたことがある。どんな基準で切り分ければ各々の業態がまずまずタイプ別の標準形に収まり、月次計画の立案から計画書・報告書のフォームまでそれぞれ特化した最適解を設定できるのだろうかと。
 実は使用設備の都合や供試品準備の工期・数量、何よりもそれらを実作用させる人員の質と量など他の因子の寄与率の方がでか過ぎて、いっときアタマで考えただけのジャンル別に整理したところで大して良いコトは無かったのだが、ここでその時のウンチクを紹介するとしましょうかね。

 第一に、カタログ値を確証するための品質保証実験だ。
 ラインオフして来た製品、まさに値札をつけて店頭に並べるその現物が、自分ら製造元の保証するカタログ値で使えることの事実確認である。製造ラインの品検工程で全数見れる項目もあれば、抜き打ちサンプルだけに留まる項目もあるが、その思想は一定してカタログ値の全数保証である。
 第二に、開発中の設計思想が立てた仮説の正否を見極める検証実験だ。
 製造業の製品開発途上で行われる実験の大多数がこれである。試作品を実作動させてデータ計測しOK/NGを判定、予測外れでNGが検出された折には適宜修正案の検討まで実施するのが普通。
 第三に、素性の知れない対象がモノになりそうかどうか思いつくまま試す模索実験だ。
 世界初・新技術を捻り出そうと研究所や企業の先行開発部署が躍起になるのがこのゾーンであり、何かひとつ世に知らしめられるその裏には、無数の試行錯誤が藻屑と消えているものである。経験豊かな業界のプロだからって、新らしモノを見て数度の試作で実用化できる技術ネタなどあり得ない。
 つまり第一・第二に比べて恐ろしく歩留りが悪く、ある程度手応えのある成果が上がって初めて、投資回収の可能性を見据えた本格的開発プロジェクト化の初期検討が始められる。

 品質保証および検証型の実験は、そりゃ開発完了間近に大どんでん返しNGでドタバタする事態もあるけれども、やはり現実解成立を確信した実現前提の計画シナリオの遂行として『展開の可能性が閉じた仕事』なのである。対する模索実験は、とてもそうはいかない。
 一般的に財務がきつくなればなるほど手堅い投資回収が求められるため、あっと驚く起死回生の新技術は出にくくなってしまうのが解ると思う。自組織の運と底力を信じて努力を繰り返す姿は美しいが、もちろん限られた投資の規模と時期があるうちに十分な結果が得られなければ、組織の経営は道理として待ったなしで傾く。
 『期限内に絶対成功を見つける』などという非現実的な目標は最初から持たないとして、『従来常識と違えるべき時期に、最低限必要なコストを投じて、直近で変化しやすい方向に物事を向ける』、泣いても笑ってもやれるのはここまでだ。

 技術に限らず、『展開の可能性の拡がりが閉じていない仕事』こそが既存枠を破って進化代を稼ぐ。みんな入れ代わり立ち代わり死なない程度に血と汗を流し、時に得意満面イケイケで先陣を切り、時に後塵を浴び尻馬に甘んじながら、どうにかこうにか世を渡っているってことだよな。
 遥か以前にモノにならず尻切れ中断で放置していた検討ネタが、いきなり見知らぬ他人の失敗作からヒントを得て大成功することもあれば、圧倒的優位を約束され熟成を重ねて来たはずの会心の必殺アイテムが、畑違いのぽっと出ライバルから転がり出た発想の転換により一瞬にして瓦解することもある。現実は、本当に何でもアリだ。

 だからこそ、こんな現実の山谷に一喜一憂はしていいが、それを普通にやるだけで終わらせていては勝ち残れないと言っているのだ。自分たちが時間とコストをかけた精一杯のチャレンジで手にした知見を、抜け目なく役立つ情報兵器にして持てているかどうかが勝負だと思う。
 ナニを考え…いや、思慮あって始めるのも重要だが、風任せの偶然まで含めて『どんなコトに出遭って、その時その場でナニを掴んだか』の情報単位が組めるようにノウハウ蓄積し、10年後であっても100年後であっても、必要都度それを目前の現実に、迅速に適用トライアルできるようにしておきたい。

 実験業務をジャンル区分で整理しても目ぼしい成果は無かったと述べたが、私なりに一応この程度の結論には辿り着いている。最もお手軽な万人向けのお役立ち具体策として紹介したのが、かの『デスノート作文術』だったりもするワケだ【472】
 出遭った事実を出遭ったままに、その事実を受け止めた自分の意識を受け止めた精神状態のままに。事実ゆえ本人個人視点で不明点を含んでいても諸事辻褄の整合は揺るぎなく、この情報兵器の有効性は無敵である。これをこの日本国内で、社会組織の単位でやらせてやりたいと考えている。

 我々はAIなる情報処理生命体の社会参画を迎え始めており、その影響の出方を捉えて次の対応方策のトライアルを迅速に繰り返す必要に迫られている。こうして次々と現実的な成立解を求めていかなければ、人間が成す社会組織という生命体は生き残れない。
 大阪都構想・特別区再編案では、薄らバカでかくて全体像が不明瞭な270万人大阪市を、『ウチってこんな特色の社会組織だよね』と各々ハッキリ自覚できるコンパクトサイズとなるよう切り分ける。例によって4分割で平均70万人規模となるが、試して足りないようならもっと細分化してみれば良い。
 もちろん特別区の数が増えれば、区役所はじめ区政機能がそのぶん増えるので、そこに追加コストは発生してしまう。最初の一手をちょびっと大雑把気味の4分割で始めるのは良い初期案だと思う。

 大阪は今、『従来常識と違えるべき時期に、最低限必要なコストを投じて、直近で変化しやすい方向に物事を向ける』局面にある。橋下さん時代から続く大阪維新政権の現状到達点として、諦めと頽廃の淀んだ空気が一掃され、2025大阪・関西万博の開催も決まって随分と明るく活気づいた。
 当面はこの好機を捉え、この先さらに何度でもチャレンジを繰り返し、『展開の可能性の拡がりが閉じていない仕事』に立ち向かう準備体制として、大阪都・特別区再編を実現することが切望される。

 どうせまた、一体どんな論文をどこに何件出してるのかも怪しいような乞食学者が『都構想はもう終わり、これっきり』と確約めいた表現ばかり勝手の一方的に吹聴し、議論の進行とともに否定論の理屈が行き詰まって来ると、いかにもカネに困っていそうな三流五流のルンペン芸人が『悪意なき無知』を装いつつハナシの腰を折って強制終了、こんなガラクタ討論番組が散発するんだろうな。

 ともあれ大阪都構想・特別区再編案は日本行政の未来突破口なのだ。
 全国の若い人たち、是非ともその動向を注意深く追いかけていただきたい。
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