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【702】孤独な御一行さまの健康管理 [ビジネス]

 さらに前回の内容から続けてみよう。
 人間の人格意識って、よくよく考えてみたら身体とは随分と『他人』だったりしないか?

 ついこないだ、電車の中で近くに乗り合わせた乗客の会話が耳に飛び込んできた。
  『人間ドックで引掛っちゃって』 『ウッソ?どこ?』 『心臓、心筋梗塞』 『っえええ~!』
 こっそり盗み見ると、決して肥満体でもない中肉中背の女性で、恐らくは40代である。
  『時々胸がチクッと痛いときはあったけど、まさか心筋梗塞だなんて。言われて驚いた』
 どわわあ~それ、あるんですあるんです、今すぐ生活改善しなさいって。思わず喉元までこみ上げる言葉を制しながら聞き流した【110】
 立って歩くのに苦労しそうな肥満体でもなければ、骨と皮ばかりの吹けば飛ぶようなガイコツ標本でもない。いたってフツーの、隣の奥さん風である。だから気付きにくいし、気付いても本気になれないし、『わかってたのに』やられるんだよ。お大事に。

 人間の場合、体細胞ひとつひとつの階層に始まり、臓器や筋肉などの機能要素部品、消化器系・循環器系などの機能系統、胴体や四肢などの概形大型アッセンブリーなど、何を単位として何段の階層構成で描けるのかは知らないが、というか、もしかすると我々が考えて図に描けるほど単純なものでもなく、さらには常にひとつの同じ図でなく臨機応変に変化するものなのかも知れないが、とにかく複数の意識が多層構造になっている可能性が高いのではないかと考えている。

 今のアナタ、文明社会の生活が要求する行動制約から解放されたとしたらどうなるだろう?
 ちょっと都合よく、未開の原野ではなく今のママ通りに、快適な居住環境に包まれ普通に料理されたメシを食って、一風呂浴びて毎晩布団で寝る。ここまで前提として、アナタという人間に宿る意識たちはどんな生活を選ぶだろうか。自分の中の誰が何を言いたがっているか、聞こうとしたことはあるだろうか。

 職場の健康管理でよくある失敗は、『健康を害してまで仕事を優先するのは異常な考え方だから、それを直して健康を優先しなさい』という論法で本人の現状を批判し、あとは改善の実行を全て本人任せにするパターンである。まずまず間違いなく徒労に終わり、『健康診断した上で生活改善アドバイスまで実施しました』の安全衛生管理チェックリストにレ点を記入するための通過儀礼ぐらいにしかならない。
 良いコト悪いコトはちゃんと判っていて、良いコトを『あ、やっぱり良いんじゃん、快適!』、悪いコトを『いかん、何か変なヤバいことになってるぞ?』と、人格意識が実感で認識しないから問題なのである。

 風邪をひいて頭痛・関節痛とか、食中毒で腹痛・嘔吐とか、もちろん怪我をしても痛かったりする訳だけれど、まずこういうベタな外部入力の被害に対しては、末節側のどこかの階層が不快な感覚検知を発信し、人格階層がこれを素直に受け止め、危機感を覚えて即刻回避行動に跳ね返す。イチ生物としての生命維持本能の作動だ。
 反面、ベタでない=例えば自然界の素朴な災厄でない文明社会環境の影響みたいなものに対しては、全然鈍いというか穴が空いたように無防備で、もう末節側は何か検知して対応にも散々動いているのだけれど、それが人格意識の不快感や危機感に直結しないのではないかと思う。
 自分の身体のことは自分が一番よく感じているのは間違いないが、自分が一番よく解っているとは限らないのだ。

 正確に言い直すと、自分の身体のことは自分の末節意識が一番よく感じて解って対処しているのは間違いないが、自分の人格意識がそれを受信して的確に理解し、人間イチ個体の最適解となる行動出力につなげられるとは限らないのである。
 人格意識の立ち位置から末節階層意識ときちんと会話し、生体活動最前線のあちこちで起こっている事態について正確に受信する練習を積み習熟して、それを合理的に行動規範として利活用できる個体が、生存競争を勝ち抜き未来にDNAを紡ぐ資格を得るのだろう。

 例によって上記を社会組織にフラクタル投射して考えるに、その人格意識=意思決定機関は手放しで末節意識=組織員の民意を正確に感知するのではない。仮に優秀な精鋭人材で意思決定機関を組めたとしても、そもそも自分ら組織の末節を健全で快適な状態として作動させ続けるには、避けられない模索と学習のプロセスがあるのだろうと考えている。
 優秀な人材は、『どんな運営が正解か考えて一発で導き出せるから優秀』なのではなく、『覚悟して模索に取り掛かり、目の当たりにした現実を恐れず、臨機応変に合理解を導き出せるから優秀』なのだ。
 今後シンギュラリティを迎えますます不確定性が高まる社会組織の維持発展には、この生命科学的な観点に基づき、賢い模索実験を組んで実直に結果を刈り取るトライ&エラーおよびノウハウ蓄積の機能設定が外せない【697】

 高まる社会の現場最前線からの声に耳を塞ぎ、自分らの勝手都合だけは現実化の見通しもないままデタラメを強行して、遂には強権発動の見せしめデモンストレーションのような埋め立て工事までやってしまう。もう一致団結するつもりもなければ、共存共栄するつもりもない、まさに自爆テロ非国民政権だ。
 その老衰ボケ老人の内弁慶っぷりは今や国際社会に広く知れ渡っており、日本は世界各国に国際交渉の相手として口をきいてもらえないまでに堕ちてしまった。
 いま1億2千万人組織・日本国は、国際社会のバトルフィールドにおいて世界のどの国よりも早く最悪の故障モードで老衰が進み、生存本能が衰え、弱っている様子を周囲から窺われている。

 若者たち、この逆境を2025年には大逆転せねばならない。ならば大逆転しようぜ。
 『いのち輝く未来社会のデザイン』だっけ、なかなか的を射たテーマじゃないの。
 未来社会をデザインするには、人間個々人の生体作動モデルの考察から始めないと♪
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