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【615】球体式戦略思考術<7> [ビジネス]

 まだ完全快調を目指して鋭意努力中の私だが、思わぬまとまり方をしそうなので、久々にこのサイトの大人気タイトルで連番再開してみることにする。

 風邪をひいた時の標準対処ルーチンを思い出していただきたい。
 まず不吉な頭痛と喉痛と倦怠感に襲われ、慌てて仕事からナニから丸々放り出しにかかる。外出中の場合は、緊急帰宅の途上で肉系の食事をどこで突込むか、即刻で記憶ストックの脳内検索を開始だ。幸い日本に暮らす限り、安価で迅速で美味い牛丼には困らない。
 単純計算でいつもの倍量を食ったら全速力で直帰して、汚れているようならざっとシャワーを浴びる。あとは入眠を早めるため缶ビールでもスコンと開けたら、歯を磨いて寝床に飛び込んで、さあ闘病スタート!のゴングが鳴る。

 アッタマ痛くて全身しんどくて、『あー熱出てるな~きっついな~』と意識の遠くで自覚しながら身をよじり続ける。ぞわぁ~っ、ぞわぁ~っ、と悪寒の波が背中全体を何度もワイプしていく。発熱のためか、手足の末端は氷のように冷たい。
 だがいつの間にか眠りに落ちており、ふと大汗に気付いて掛け布団を両手でぱたりとひっくり返すと、一気に熱が退いた清涼感に包まれ体調回復を意識する。どなたも経験があるのではないだろうか。

 今年に入って気付いたのだが、すっかり風邪をひかなくなったこの私も『あーヤク離脱で調子わりい、ちょっと休もう』で寝床に入ると、似たような展開が訪れるのである。
 風邪のように全身で高熱を出しているつもりはないのだが、手足、特に足先が氷点下のように冷える。そのまま眠りに落ちることもしばしばで、次にじわりと発汗で目覚めた時には足先に体温が戻っており、その気分は覚醒が進んで体じゅうの感覚が戻ってくるまでの少しの間、驚くほど清々しい。まるで全快したかのようだ。

 ここで特筆すべきは高い確率で短時間に、強い現実感のある長編の夢を見ていることである。数日にわたるストーリーの夢から覚めて時計を見ると、30分くらいしか経っていないことさえあった。
 夢の内容にも特徴があり、ひとつは壮大で美しい光学現象をまじまじと見つめるものである。夜空に虹色の稲妻が無数に走っていたり、昼空に見たこともない鮮やかで複雑な形の虹が拡がっていたり。
 いっぽう身の危険を感じる怖い夢も時々ある。懐かしい感じがする暗い畑の中の一軒家に独りでいて、気配を察して窓を開けたら不気味な中年男と鉢合わせになり、大声を出そうとして目覚めるとか。

 因みに、私の幼馴染みは風邪をひいて回復する際、必ず山の斜面から巨大な落石群に追われて激しい恐怖で目が覚めるという。彼の場合はこの定番ストーリーが確実に来るのだと、何年か前に飲みながらの雑談で話してくれたのを思い出したのだ。そこで気が付いた。

 もしかして、手足の末端が強烈に冷えた後、発汗を経て体温が戻り、爽快感で目覚めるというのは、風邪ひきの定番顛末ルーチンではなく、免疫力発動の標準ステップワークなのではないのかと。
 離脱初期はあちこち痛み痒みの傷も伴うし、あまりに同時多発でオーバーラップするので、この単位が見えなかったのだ。
 体内エネルギーを全面的に免疫システムに集中させるため末端部の血管が収縮し、これは同時に修復部位に全力で酸素と栄養素を供給する作動モードにもなる。随意筋も不随意筋も体内のそこここで自発的にキュッ、キュッ、と廃棄組織を絞り出すと同時に、そこ起点でジュワーッと『ただいま修復工事中!』の発信がばら撒かれる。
 NHKの番組で体内の情報物質が、光の粒子群が放出されて飛び散ったり流れを作ったりしているが、まさにあのイメージで体内を情報フローが錯綜するのである。

 このとき体内で新陳代謝が全開フルブーストで進んでおり恐らくは心拍数も高めにシフト、更に心臓1拍あたりに体内で展開する生体活動の箇所数・回転数とその交信記録も桁外れにハネ上がった結果、私はあたかも成長期の子供のように、ごく短時間に超高速走馬灯の時化進行感を覚えたのではないか。
 余談だが1~2年で寿命をまっとうする小さなマウス君たちも、1世紀以上も生きるというカメさんや池の主ナマズ殿なんかも、自ら体感する寿命長は変わらないという。
 動作がすべからく高速で超すばしっこいマウス君の心拍は怒涛のスラッシュ・メタル、のんびりカメさんにナマズ殿は思い出すようにポック、ポック…であり、要は『心臓ビート拍数基準の時化尺度で、生物みんな寿命は平等。1拍あたりの出来事情報量が時化充実感覚』なのだ。何だか微笑ましいハナシだけど。

 この免疫力発動が明確に現われる時間帯は限られており、概ね夜9時から翌朝11時まで。
 面白いのはアタリ時期の巡り合せなら、起きて『今朝は気分いいな』と感じても、それを無視してしっかり朝メシ食った後わざと寝床に潜り込んでタヌキ寝入りしてみると、むしろ盛んなくらいにこの免疫力発動が起きることである。足先が何度も、いつまでも冷たい冷たい。
 この場合の時化スピードダウンも明らかなもので、夢うつつを演じながら散々考え事をしても、遅々としてさっぱり時計が進まない。例えば1時間先にアラームをかけて試すと、セットを失敗したのではないかと勘違いして、鳴動前に何度も見直してしまうので確かめられると思う。こりゃ長編の夢が数十分に収まるワケだよ。
 そのうち繰り返していた足先の冷えが来なくなり、体温が戻る頃には『免疫力タイム終了』が自然に感じられ、身体が縦になり始める。

 人間の免疫力がオンデマンド状態になるのは、所謂お肌のゴールデンタイムから重役出勤時刻あたりまでの時間帯であり、ここで免疫力発動を巻き起こせる限りは、あの手この手で盛大に廻しまくるのが正解ってことだ。ぶっちゃけヤク離脱は、ガンガン食って栄養をつけ早寝して、睡眠できようができまいが寝まくるのが加速操作となる。太る心配は要らないはずである。
 まずここまでは現時点で確実解、次にここから意図的に廃棄組織プッシュを励起・促進する手段と、免疫力発動タイムの朝・昼・夜3シフト化方策が見つけられれば革新的な離脱加速が可能となるのだが。離脱チャレンジャーたちの毎回の免疫力作動記録を蓄積して行けば、一般に不随意のなりゆき任せしかないとされる人間の免疫システムを、意図的に増強・加速できたりしないだろうか。

 私にはデータ数が足りない。専門医の読者さま、拡張検討を御一考いただけると幸いです。

 で、子供は早く、ぐっすり寝かせましょう。夜勤シフトや深夜残業はペース配分を慎重に。
 そこでまた子供時代を思い出すのだが、昼間に独り座敷の隅で急に眠りに落ちてしまい、目覚めて長時間経過後の早朝のような感覚に包まれて、慌てて表に駆け出してみると確かに辺りは薄暗いのだが、どうも様子がおかしい。座敷に戻ってテレビをつけ時計を確認して、ようやく僅か十数分後の夕方前だと気付いた不思議な体験があった。
 数えるほどだが似たような記憶は複数回あり、だが成長期が過ぎ去るとともに遭遇しなくなって、そのまま忘れてしまっていた。明確な記憶の最後は、確か二十歳前ぐらいじゃないかなあ。

 次回は、体内交信の概念を大脳・小脳の構造に照らし合わせて考えてみよう。
 医師の資格を持たない私に、神さまが『オマエ医学が好きなら、このへんできっちり人さまのお役に立っとけ』ってことで、こんなことにしたのだろうか。ともあれ、お楽しみに!
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