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【953】二輪版バックシート・ドライバーの相性診断テスト [ビジネス]

 いかん、単車ネタを畳もうと思ったら、大事なことをひとつ書き忘れていた。
 連休も終わった後だが、出前のバイトはまだまだ減っては来ないだろうし、いっそもう一回やってしまうかな。

 自動二輪・スクーター問わず、跨らずに二輪車のエンジンをかけてはならない。
 操作できないまま車体だけ思わぬ暴走をさせてしまう恐れがあるためで、一般的には手軽とされるスクーターの方がむしろその危険度は高い。

 走って来て停車したら、スタンドを出してキーOFFする。ここまでやって降りる。
 そして必ず跨ってから、キーONしてエンジンをかける。
 これについては、今は殆ど見ることの無くなった人力キックによるエンジン始動の方が安全確実であった。昨今じゃ単車もキーレスがあるそうだが、このあたりどういう制御になっているんだろう?

 自動二輪もスクーターも、右手グリップを手前に捻り下ろす動きにより加速操作を行うのは御存知かと思う。
 見るからに運転が危なっかしいヤツに限って、不用意に跨らずにエンジンをかけるし、エンジンのかかった二輪車を横から押し引きしたがるから怖い。これに関しては『死ぬぞ』と言うより『殺しちまうぞ』のシチュエーションの方が多いんだけどさ。

 中空ゴムタイヤで走るラジコンカーを知っている方なら、見たことがあるかも知れない。車体を地面から持ち上げて浮かせた状態でタイヤを空転させ、そのまま回転を上げてやるとタイヤの直径が遠心力で膨らむのだ。まあ当然っちゃ当然だよな。
 では鮭缶を空けて、その空き缶をタイヤに被せる位置で手に持ったとしよう。
 回転が上がると鮭缶の中でタイヤ径が膨らんで空き缶の内壁に圧着し、空き缶がタイヤに引きずられて回されることになるのは理解できるだろう。これが『遠心クラッチ』の原理だ。
 もちろん実際の遠心クラッチにはゴムタイヤなんかではなく、半・円筒状の摩擦シューふたつ一組が仕込まれており、エンジン軸の回転が上がると遠心力によりバネ反力にうち勝って、これらが直径を拡げる方向にせり出して外殻ドラムに内側から突張る構造になっている。スクーターは洩れなくこれだ。

 ポイントは右グリップを捻っただけでエンジン回転が上がり、自動的に後輪が駆動され走り出すというところにある。また左レバーを握る操作でクラッチを引き離して動力の接続を切る自動二輪であっても、左ペダル(=ギアチェンジ)に何か引掛けるとか間違えて蹴飛ばすとかすれば、入る時には簡単にニュートラルからギアが入ってしまうから、そうなったら事情は同じだ。
 二輪車に制動をかけて停車するのは、乗車姿勢からでないと無理だと肝に銘じておいて欲しい。横からでもブレーキレバーが引ければ、ブレーキペダルが踏めれば止められると思ったら大間違いである。車体が飛び出した途端に開放になる。

 これに対して右グリップを握ったその瞬間、人が乗っていようがいまいが二輪車としてはいつでもエンジン全開になり得るのだ。飛び出した車体がすぐ倒れるなり何かにぶつかるなりしてくれればまだ良いが、そもそも乗って普通に走るようにできている以上、条件さえ揃えば無人で突走ってしまう。
 だとすると三輪スクーターなんかは特に注意せねばならないのがよく解ると思う。むしろ簡単お手軽のイメージが強いだけに、思わぬ事故を起こしてしまわないよう重々注意されたい。

 あーもう、ここまでやっちまったついでだ、出前ビジネスとはあんまり関係ないのだが、怖い目危ない目をする前に知っといた方が良いハナシをまたひとつ思い出しちまったので、ダメ押しの一発を行っとこう。

 一般的に自動二輪は定員2名、つまり公道上で二人乗りが可能である。もちろん後席の乗員には免許も何も必要ない訳だが、実は後席乗員が二輪車の旋回特性を解っているかどうかで、運転する方にとっては乗りやすさが全然違うのである。
 端的に、自動二輪を知らない人が後ろに乗ると、思いのほか車体が旋回時に深く倒れることに驚くのだ。自転車とは完全に異質の感覚であり、深い角度で後輪を踏ん張らせて遠心力を受け止めるチカラの釣り合いの物理的体感に戸惑い、スリップダウンが怖くて身体を倒せずつい頑張ってしまう。
 だが後ろでこれをやられると、運転している方は車体が倒れないので後輪のキャンバースラストが発生せず【875】思った通りの旋回半径を取れずに大きく膨らんでしまうのである。これはこれで、運転者にとってかなり怖い。

 単車のシートには前席と後席の境目に頑丈なベルトが横一文字に張ってあり、また主にテールランプやターンシグナルを縁取るように金属製のバーグリップが走っているのが普通だ。後席乗員は片手でベルト、片手でグリップとして、自分の前後をしっかり握るのが基本である。もっとも昨今、後ろで持つところの無い単車が増えてる気がするんだが、何とかならんのかねメーカーさん?
 まあどっかを持つとして、これで最初の恐怖感を乗り越えてそのつもりで車体を倒す操作を何度か試せば、恐らくは誰でもそうそう時間をかけずに後席から旋回操作に同調する乗り方が身に付くはずだ。ちっとも怖くなくなる。
 いったん解ってしまえば何てことはなく、天井知らずに調子に乗るばかりのバカの権化の昭和高校生には、後席から運転者よりも身体を深く倒したりして喜んでいるうち限度を超えてしまい、ステップを地面に突っかけて転倒したりするヤツも出てくると。昔の単車はフレームに直接パイプを溶接しただけのガッチガチ剛結の素朴なステップで、今みたくバネ仕掛けのヒンジで可倒式になってたりはしなかったですからね。みんなバカで丈夫で身体の造りも雑な年頃だったし、大ゴトにもならんかったのだが。

 ま、お互い『ウマが合う』感覚さえ覚えてしまえば、運転をサボれるぶん後席はラクチンだし、私はどっちも楽しくてホント自動二輪は大好きである。

 くだらない笑い話の類はまだまだ無尽蔵にあるのだが、一般向けの単車ネタはこのへんで一段落にしておこうか。閲覧数が意外な勢いで伸びたのが思わぬ発見であった。
 きちんと心得て乗るぶんには危険でも何でもないが、逆にその心得が無ければただの危ないだけでは済まないくらいの失敗につながる。それが二輪車だ。
 基本操作を教わって試験課題をクリアし誰かに許可をもらっただけでは、一般交通が縦横無尽に交錯する空間を自由に飛び回れる『社会性』がまだ全然カラッポなのであり、乗って楽しいも配送バイトで稼ぎまくるもそこが人並になっている必要があるので、ちゃんと意識して習熟しましょうというハナシでした。

 この出前ビジネスの盛況が、いつまでも続くと思っている人は多くはいまい。今だけ一時的にお店で来客を待つ通常の業態の飲食店がたくさん滞っていて、その代替策として分は悪いにせよ出前形式で当座を何とか凌ぐため、こんなことになっているだけだ。注意一秒で一生モノの怪我をされませんよう。
 こんな世相になっている根拠がどの程度のモノかは御覧の通りだ。失敗すると後悔しますぞ。ではくれぐれも安全運転で、グッドラック!
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