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【826】『絶対』の組織統計学 [ビジネス]

 社会的規模の危機管理においては、『なっちまったもんは、どうしようもない』という抗えない脅威に心を乱されつつも、最も効果的な情報源に質・量ともに最大のパワーを与え、手早く解りやすく発信させることがポイントとなる。誰が階層の上位だとか指示命令役だとか一切関係ない。
 とにかく大事なのは、『我々の社会組織がこの脅威と戦う。組織が勝ってくれないと自分個人が危ない』という組織観をまず普及させることだ。
 独りでは戦えない。自分が感染当事者であってもなくても、組織全体へのダメージ拡大を食い止めながら、知恵と力を結集した組織力が早く解決策を見つけてくれるよう、辛くとも組織稼働の最優先を目的にした生活に徹するしかない。

 未感染者が感染者を差別的に扱うのは、良いか悪いかは別として自然なことなのである。そこに人権侵害を論じるような他者の否定意識は存在しておらず、ただただ感染の拡大を防ぐため感染者を特定して接触を避けようとする行為が、社会における『平等』の概念に抵触するだけのことだ。そもそも未感染者が感染者を卑下しているのではないし、未感染者も感染すれば差別される側の立場となる。
 『やられたら死ぬかも知れない』という恐怖感にその行動の原因があって、いま確かに感染の可能性は現実なのだから、雲上の安全地帯で交わされる呑気な人権論議のおもらい漫談なんぞ誰も耳を傾けたりはしないのだ。
 現状においては、既に複数の感染者が五月雨式に日本社会の一般空間に放たれているのが確実だから、まさに『明日は我が身』でいわゆる差別的と映るような態度は控え、感染者・未感染者の双方で知恵を絞って流行の拡大を食い止めつつ、お互いの生活を成立させるのが賢明である。
 行き詰った困りごとやハタと手を打つ妙案など、高速大容量通信を駆使して共有し助け合いながら、社会の組織力が少しずつでも改善策の現実解を構築し公開周知してくれるのを待とう。

 もう手遅れで『ついやっちゃった』人は、気が落ち着き次第、それでもやはり感染には十分注意しながら『ごめんなさい、感染が怖くてつい…』と荒らしてしまった社会規範を修復しておくのが自分のためにも良いと思う。一期一会の行きずり相手だった場合には、ネット空間へのつぶやきで謝って一応でも清算することができるし、逆に嫌な思いをさせられてしまった場合には、ネット閲覧でそんな後悔に触れてやりきれない不快感を和らげ、自分の精神状態を安定させることができるだろう。
 いざ社会の組織力がせっかく『効く』現実解を提供してくれた時、自分たち大衆の仲間意識が荒んでしまっていて思うように一致団結で動かせない…などという哀れな事態は、この日本国組織には相応しくない。

 病原体感染症の脅威について専門的な知識を持たない我々一般大衆は、こうして各々の立場で、やれる限りお利巧さんに徹するところまでがせいぜいだろう。
 いっぽう専門的な知識を持ち、特に最前線の事情をよく理解している方々には、社会組織内のどの部位がどう振舞ってチームワークを発揮すべきなのか、交通整理の素案のままでも広域発信していただけると有難い。組織生命体として勝率を上げたいのなら、これが最善の作戦である。
 例えば今の発症検知ペースで、設備と人員体制の整った大きめの病院なら、電話連絡を受けての出張外診チームを特命メンバーで作り、近隣一帯に急な来院を控えるよう宣伝した方が感染拡大のリスクを下げられるような気もするのだが。

 未知の病原体感染症が流行拡大するのはどうしようもない、敵は目に見えないし感染した直後は検査にも引掛からず発症もせずで感知のしようがない。数十人いや目いっぱい頑張って数百人単位の流行範囲なら、かなりの強硬策まで使って個々人の行動管理が可能だろうが、例のクルーズ船だけで既に3,700人もいる大集団だから、もう何をどうやっても絶対に抜け漏れは出る。
 正規分布で捉えて確率問題で語る『組織』とはそういうものだ。『絶対』ということは実に滅多にないのであって、公的言論で軽々しく断ずるのは云々…みたいな理屈を持ち出すのは、今の場合ヒマ人の禅問答遊びでしかない。

 クルーズ船の中では接触感染・飛沫感染以上の感染モードで拡がっていたと推察するのが自然だし、だとすると、船室すべての送・排気を独立させるぐらいの勢いで相互隔離せねば感染は食い止められないはずだ。だがいくら豪華客船だからといって、そんなところにそこまで手の込んだ造り込みをしてあるはずもなかろう。
 いわんや騒ぎが起こって間もない初期の頃は、予期せぬ不遇の旅程延長をマイナス印象にしないため、船内でむしろ優雅かつ豪勢に過ごしていたくらいだから、全員が一度はウィルスを体内に迎え入れていて不思議は無いと思われる。
 つまり検査で陰性を確認して下船したものの、後に陽性に転じ発症に到る乗客は、絶対にいる。最初から判っていたことだ。
 豪華客船の豪華客船たる施しが途切れた船室に缶詰状態を強いられた御本人たちにしてみれば、下船できてようやっと生きた心地に戻ったことだろうが、そのまま社会の一般空間に溶け込んだとすると、日本社会組織にとっては感染拡大のイチ経路となってしまう事実を忘れてはならない。
 何の理屈をどう捏ねようが過去に立ち戻れない以上、日本社会全体で力を合わせて、冷静にこれ以上の被害を拡大させない現実を作り込んでいくのが、我々日本国民にとっての唯一解だと思う。

 乗員・乗客3,700人といえば大人数であり、あの船内の様子からして不備を判ってのその場しのぎの対応作業で精一杯だったのは確かだが、だからって数十人規模を検査漏れで下船させるような凡ミスは到底あり得ない。
 認めたくないが、日本社会のあらゆる最前線が死力を尽くして感染拡大を食い止めにかかっている反面、どこか違う場所から、日本国組織の生き残りをかけた戦いに邪魔が入っている形に見えてしまう。なぜこんな疑いが湧くような不可思議が起こるのだろう?

 まだしばらく事態の動向を経過観察したいので、今回はここまで。
 みんな怖いし、嫌だし、面倒くさいし、辛い。でも逃げられない。
 組織力のため、我慢も努力もできるヤツができるところから。それが現実解だ。
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