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【704】別世界構築の実感共鳴プレゼント [ビジネス]

 北米ナッシュビルに『オプリーランド・リゾート&コンベンションセンター』というホテルがある。
 その名の通りリゾート宿泊で普通に泊まれるホテルであり、いっぺん泊まってみたいと思いながら当面のところ叶っていない。その昔一度だけ現地スタッフたちと冷やかし観光で訪れたのみである。ただのホテル…ではない。

 とにかくデカいなんてものではなく、日本の都市部の住宅地なら『何丁目』くらいの広さは軽く収まりそうな規模だ。概容としては建屋の長手方向を一片として、中庭となる多角形を囲みながら描き足していく形だと思う。中を歩いて眺めた視野からだけでは見当もつかない。
 まだ二十世紀の頃のことなので記憶が怪しいのだが、まず一辺となるこの建屋が大概にでかく、その建屋の真ん中を吹き抜け高天井の廊下がぶち抜いており、その両側に点在するドアから入ると、そこから奥が一般的なフロア分割の宿泊施設の部屋割り構造になっている、そんな感じだったと思う。

 この吹き抜け廊下がまたどえらく広く、小学生が校庭でやる遊びと体育授業の全ては悠々可能じゃないかと思った記憶がある。このスケールながら重厚感のある格調高いクラシカルな内装のホテルで、平日の人の少ない時間だったこともあり『目前の光景が信じられない』非日常感は強烈であった。
 で、勝手知ったる現地スタッフの一人に先導され、我々一行は吹き抜け廊下から宿泊施設エリアに入るドアをくぐった。
 宿泊客のプライバシー維持のためか、廊下の筋ごと小まめに両端を厚いドアで区切られており、それを次々と開けながら進んで行く。視界も音も途切れるので、はぐれたら一巻の終わりである。ビミョーに怖い。
 もしかすると既に外の世界が消え失せており、この薄暗いホテル内部の世界が無限に広がっていてもう元に戻る術は無く、我々はこの世界だけで生きていくのだとしたら…などと考えてしまう。今なら、何かのゲームでありそうな設定だけど。

 こうして明るい空間に顔を出しホッとするのだが、実はイケナイのはこの中庭の方である。
 幾つかある中庭は全て頑丈な骨組みを組んだ天窓で覆われており、なんと丸ごと室内空間になっているのだ。樹木や草花が普通に生い茂っていて、川が流れて橋もかかっており、密林アドベンチャー(?)の遊覧船まで走っている。この閉空間を囲う壁面にはホテル宿泊室の屋外バルコニーテラスがずらりと並んでいて、これらそっくり全部が空調の効いた雨風を知らない世界なのである。???…っ、ウッソ?うっわあああ~。
 再びイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』を脳内再生しながら恐怖のホテル次元空間を通過すると、また別の中庭がひらける。そこには大きな円盤に乗った回転床の展望カフェがあり、そこの地ビールが美味いそうなんだが不覚にも飲み損ねた。
 もう何がどこにあったかも忘れたが、滝はあるわ巨大噴水ショーまでやっているわのイカレた時空間である。屋外と屋内を裏返したようなあの衝撃、機会があったら是非とも体験しておかれたい。終始『どわぁ~!』『ぬわぁ~!』『ぐわぁ~!』ばかり繰り返す私に、現地スタッフが”Yeah, almost a city!”と笑って振り返った瞬間だけ、今もよく憶えている。火星の人類居住区ってあんな感じになるのかねえ。

 さて。日本に話を移そう。
 大阪の夢洲人工島ラボ=Yumeshima Artificial Isle Lab.=YAILの話だ。

 大阪府咲洲庁舎のすぐ近くには、結構な大きさの展示会場スペースを備えた『大阪南港ATCホール』というのがある。ビフォー橋下改革期の日本最悪の大阪流ハコモノ市政、その負の遺産のひとつである。
 たま~に展示会や会合で訪れることがあるのだけれど、その異常きわまるレイアウトは解りづらいの一言で済まされるものでは到底なく、迷うたびイライラの境地が建屋設計者に対して本気の殺意を抱かせる。いつの日か対面で会うことがあったなら、4の字固めをかけ鼻の穴からムヒのチューブ一本搾り込んで殺してやりたい。
 恐らくは投資回収が要求する高額すぎるテナント料と、不便でなかなか行きにくい立地条件の悪さから、大きな吹き抜けを持つ斬新な近代建築なのに入居率は芳しくないと見え、ぱっとしない公共事業関連の外郭団体らしき事務スペースが目立つ。かなり以前から、周辺一帯がコスプレ愛好者の聖地になっており、特に地下駐車場は廃墟ステージのセットとして重宝されているのだそうだ。
 いかに『府よりも贅沢なモノを造ることが目的』の無駄な放蕩ハコモノ設備を造ってしまったかの証拠のようなハナシだが、要はパッと見で明らかに都市開発を大失敗しており非常にもったいない。

 これを、夢洲ラボ=YAIL社会実験の最先端アイディア創出センターに転用できたら面白いと思うのだが。
 アタマ良い若者が寝袋ひとつ持ってここへ来れば、そこらへんで寝て構わないコトにするのだ。プライバシーが守りたきゃテント持って来い!…って、確かATC内のどっかにキャンプ用品店が頑張ってたんじゃなかったっけ。だったら、そこで調達できるじゃん。コンビニも複数あったと思う。
 バカな大人のせいで経済的にしんどくなった若者でも、賢くてやる気があれば雨風しのげて助け合って暮らせて、仲間がいっぱい溢れた自由な空間で『世界一良い社会を試すには?』と昼夜を分かたず好きなだけ悩めるようにしたい。

 さすがにこの屋内でメシ食おうとして火を起こすと火報が鳴ってスプリンクラーが作動しエライ事になってしまうので、調理したいヤツは海側に出て支度し、停泊している『さんふらわあ号』のお尻でも眺めながら存分に腕を振るえば良かろう。何しろ真ん前は植え込みとベンチを備えており、そのすぐ先は港の桟橋だ。御相伴に預かりたいヤツは、みんなの度肝を抜くアイディアを辻説法ならぬ辻プレゼで披露して仲間に入れて貰うも良し。中も外も、どれだけ飲んで騒いで激論しても他から苦情は来ない。海も空も広いぞー!
 すぐ北隣は夢洲人工島だし、その先には北港ヨットハーバーもある。精神分裂症としか思えない自動車税制の異常改変案で混乱の極みとなり、少なくとも当面のところ『いつ買えば良いんですか?』『もう買わないのが良いんだよ』状態になっている自家用車なんぞ置いといて、四級船舶のステアリング握った方がひらめくかもよ?

 おっと、もう結構な分量になっちまったか。続きは次回以降に。
 若い人たちには、まず本構想の具体的空間をイメージまでしていただければ十分かな。ぶっちゃけ大阪を東京とリンクさせながら、夢洲人工島でラスベガスの良いトコ採りなどしたいワケなのだが、その案出しが知財オプリーランドとも言うべき『ひと昔前の大学研究室』になっているというコンセプトである【649】

 ボケ老人がやらかしたガラクタ遺跡を前にクサるヒマがあったら知的エンタメ化を考えよう。
 若い人たちが次の時代の社会を面白おかしく悩んで試して、発展させないでどうする?
 日本に生まれて日本人である事実を、地球上で一番のラッキーにするのは自分自身だぞ。
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