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【689】鬼気迫る危機生命体の成長率 [ビジネス]

 先週末土曜日の夜、たまたま地方都市近辺をJR在来線で移動していた道中のこと。
 身を縮めるほどにまで寒くはなかったが、いきなり耳なしバニーガール状態の若い女の子ふたり組が乗り込んできたので驚いた。二人とも鼻の頭は黒く塗っていて、頬にはドラえもん式の三本ヒゲを描いている。うわー何だこりゃ、酔払ってんのか?

 …と一瞬たじろいだものの、すぐに気が付いた。
 そうか、月末のハロウィンは週ナカの平日だから、その直前の土曜日に日を読み換えての乱痴気騒ぎだった訳ね。
 しかし若い女の子とはいえ一応ハイティーン以上であるのは間違いなく、悪いがイイ歳こいて、よくこんなバカにしか見えない格好で表を歩くもんだよ。学校や職場の仮装大会でもあったならあったでそれは結構だけれども、事情に関わらない世間様の目に触れるところではやめとかない?
 …と、夜9時前の空いたローカル線で見て見ぬふりをするオッサンがそこにいた。

 ハロウィンって中学校の英語の教科書で、そんなお祭りが存在するという事実を英語と一緒に教わり、小さな子供たちが近所のお家をまわる、そこいらの寺社のお祭りみたいなイメージのものだったはずなんだがなあ。
 ともあれ特に今の時代の若年層が自発的に行動を起こし合って、これほど大きな規模にまで成長した社会現象は他例を思い付けない。共通の目的を見出した大衆は、生活すべてを各自あの手この手で合わせ込み、その日その時を目掛けて遠路はるばる集結する。恐るべきモチベーションだ。

 組織が組織力を発揮するには、 あからさまな原因より先に『そこにいるだけで嬉しい楽しい』と理屈抜きに直感できる空気が必要だと述べた【640】
 スマホ片手に『めっちゃ楽しい!』と笑顔の彼等は、スケジュールを空けるため深残や休出もしたろうし、手間と時間とカネをかけて扮装し高額の交通費も払ったろう。そして取り返しのつかない事故や犯罪に遭遇する危険までいっぱいだと知りながら、あの雑踏に飛び込んでいく。
 動き始めた強大な人間の潮流を前に、消防車は行く手を阻まれ、警察のDJナントカも全くの無力である。まさに多勢に無勢とはこのことを言うのだろう。

 人間という生物が見知らぬ同士、漠然と群れ集まったとして、ただそれだけだと『たまたま混みあった日の渋谷スクランブル交差点』の様相となる。皆やたら他人にぶつかるので困るのだが、仮に『危ないのでこちらの指示に従って進んでください』と音頭を取ってもらえれば、集団みんながスムーズに歩くためだと理解するし、だから従うし、衝突は減り各自が短時間で交差点を渡り切るだろう。
 深く考えず『みんなのためってこんなもんかな』と信用し従順になって済む無意識の集合体は、大局的には全体で調和し『静穏に自律作動する組織力』を形成するのだ。

 だが、これがあるきっかけで『ハロウィン夜の渋谷スクランブル交差点』と化す。

 むしろスムーズな人の流れを攪乱し衝突を起こすこと、警察や指導員をコケにして無視し、一夜かき捨ての優越感に浸ること。
 仮装し大手を振って顔かたちを偽ってるんだから、わざと規律を乱す解放感を試したくもなるだろう。どうせ凄まじい人混みの中でやるんだし、我が身を特定され捉えられる恐れも忘れやすい。
 ノーコンで錯綜し始めたこの『嬉しい、楽しい』=優越感・解放感の集合体は、単純にそこで物理的なパワーバランスが支配する場にしかなり得ない。何がなんだか解らなくなり、一切の生産性は消滅し、後に残るのはメクラ撃ちで乱射されたエネルギーの燃えカスの山だ。

 若い人たちに『今日のこの生活は幸福に続くんだ』と確信できる道が見えないのだと思う。
 それをやって将来の幸福の断片がひとつずつでも引き寄せられるような、絶対に守りたい取り組み課題が自分の生活の中にあるのなら、あの騒ぎに加勢するよりは自宅でそれをやりつつテレビ観戦でも決め込む方が普通だろう。時間と、ゲンキンな負担が馬鹿にならない。

 気付いて以来、結構コワいなと思っているのは、『嬉しい、楽しい』という心理状態が必ずしもわざわざの理由を必要としないことだ。特にオトコの本能の分類整理棚に、騒乱・闘争と祭りごとの欲求が、『暴力的な生命力の発散欲求』というタグ付きでひとまとめに収まっている事実に気付いてからは【403】、慎重に意識するようになった。
 『嬉しい、楽しい』の感情を何らかの価値対象に因果付けて心理操作し、組織の運用管理に役立てようとするコンセプトはよく見かけるし、筋の通った方法論として一般的にも理解されやすい。実際、ナニナニが得られるからこそ皆が『嬉しい、楽しい』と感じて、それが狙いの組織作動の動機となる…と、この順番で考えて通用する場合は多い。
 だが、だからといって『嬉しい、楽しい』は人間の価値概念との因果あって初めて成立するものでは、決してないのだ。

 ハイ、今日はちゃんと?最後に結論。やっぱりこの話題である。
 現・犯罪者政権の動向は『役人老後ウハウハ高給閑職計画』が大前提になっている。
 カード決済優遇、プレミアム商品券=現金バラマキ、ケータイ料金値下げなど、見境なく乱発される唐突かつ筋違いな緩和策の全ては、『ちょっとトクさせてやるから嬉しく楽しい気分になって、ま、いっか!と手間を省いてイチ抜けしちゃえよ』とそそのかす、因果由来の浅知恵であると理解しておこう。

 部分的にでも社会規範を崩すリスクは極めて大きく好きではないが、殺人に褒美を出して済ます自爆テロ非国民政権の犯罪者組織を解散させる勢いに繋がるなら、現状ボケ老人社会を我慢できない若者たちに、このオッサンは敢えて乱痴気騒ぎに繰り出すなとは咎めない。だがくれぐれも気を付けて、絶対に失敗するなよ。
 年に一度、この時期に冬眠から覚めて大暴れする『組織生命体ハロウィン』は、日本中から若年層の不満と無力感のストレスをもりもりと喰らい、いま高度成長期の真っ最中なのだ。
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