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【562】人生護身術ストロークの夏休み特別講習 [ビジネス]

 重ためのシリーズ企画に一区切りつけたところで…しまった!盆休み前いや夏になる前にやっておこうと取り置いていたトピックを今ごろ思い出した。
 平泳ぎ習得法の解説なのでまだまだ間に合うだろう。この天候不順が明けたら、気の毒されているプールや海水浴場の売上応援がてら、試せる人は試しに出かけてはいかがだろうか。

 泳ぐも何もまず『水を怖がる』という拒絶反応があるなら、ここから手を打っていこう。
 実は顔が水に漬かった瞬間パニックになる人も案外めずらしくない。怖くてコップの水を飲めない、お風呂に入れない、シャワーを浴びれないなんて人はいないのにね。
 恐らくは過去、呼吸しようとして水を気管に吸い込んでしまい、激しくむせた恐怖体験なんかが強烈に記憶に刻まれているのだ。呼吸障害は生命維持に関わる危険事態のため、重大な危機遭遇事例として記録が残ってしまう。
 これは臆病でも恥ずべき未熟でもなく自然な事であり、水泳選手でも気管に水を吸い込めば咳き込んで身体の自由が利かなくなり溺れてしまう。水を吸い込み呼吸困難に陥った時、もし足がついて立てなかったら…と、これが水嫌い・水泳嫌いの反射ロジックだ。

 もちろん御存知の通り1分といわず10秒くらいなら誰もが苦も無く簡単に息を止められる。つまり泳ぐかどうかはともかく、水を気管に吸い込まないようにしていれば、息の持つ数十秒間は水中で苦しくもなければ死にもしない。
 これを冷静な実体験と自己観察で再確認するのが、水への恐怖を乗り越える第一歩だ。

 まあ足のつく場所で、まず『そのつもりで』息を止め、好きな時間ふし浮きするくらいで始めて良いのではなかろうか。慣れてきたら徐々に他の動作も試してみて、『息をせずとも割といろんなことをする時間があるもんだなあ』という事実をゆっくり吟味する。大事なのは、水中で息が持つ間『思いっきり両足をまっすぐに伸ばしてみる』『両腕を左右一直線に拡げてみる』『両手両足で縮こまって力んでみる』『大の字になって力を抜き、ゆっくり気を付けに移行してみる』などなど、自分のやっている動作が浮力の世界でも制御通りになっている事実を、落ち着いて味わうことだ。
 波の無い水面に仰向けで力を抜いて浮けば、自動的に顔は水面上に出て呼吸は叶う。両手で何となく水を撫で抑えるように掻けば余裕である。
 まず自分がどうなっているか判らないでは、どうするも泳ぐもない。おっとそうだ、目も開けとこうか。

 さて平泳ぎの実技動作にかかる前に、ちょっとデスクワークで考えてみよう。
 特に平泳ぎが不得手な人、平泳ぎの動作を1ステップずつ漫画に描けるだろうか。両手両足を小さく畳んだ形と、手足を伸ばし切った形の2シーンは外せないとして、せいぜい両手や両足が左右テキトーに開いた形がその間をいくつか埋める程度ではないだろうか。そして頭の中でパラパラ漫画をやると、両手両足が何とな~く漫然と、薄ら同時に伸び縮みしていたりしないだろうか。
 言っておくが、両手も両足も、水を前方から後方に向かって掻くあるいは蹴る原理が保証されない限り、推進力は発生しない。当たり前である。

 個人的には、しみじみ取り組むべきは足技の方だと思っている。
 プールサイドを掴むもよし、とりあえずそこらに浮かぶもよしで、とにかく確実に『深くしゃがむ』のだ。もちろん本当に地上でしゃがむのとはシチュエーションが違うんだが、それも『ああ、タテヨコが違うなあ』『足応えになる地面が無いなあ』などと味わいながら、形だけしゃがむ。
 そしてその姿勢の完成をしっかり自覚できたら、そこから両足を左右の両外側に向けて直線的に、足がいっぱいに伸び切るまでV字型に蹴り出す。このキックが半端だと推進力も半端になる。
 なぜ最初に地上のジャンプよろしく両足を揃えて真下に蹴らないかというと、まず左右V字型に蹴り出して足が伸び切った後、その両足をゆっくり『じょきりと挟む』ことで水を後方に追い出し、更なる推進力を得るためだ。アクションがきっちり2段階に分かれているのだ。
 なおプールサイドから離れられた時点で速やかに、『V字に蹴る』にあたって上半身は水の抵抗を減らすべく、進行方向に頭突きを入れつつ両手も細く一直線に伸びて尖ってみよう。足を挟む時もそのまま維持でよろしい。
 平泳ぎって、意外と一直線に伸びるアクションを長く含む泳法なのだ。

 しゃがむ・V字に蹴る・挟む、しゃがむ・V字に蹴る・挟む。
 この3段ステップをきっちりキメることが平泳ぎ習得のポイントである。多少大袈裟に、『V字に蹴る』のところでパワー放出のアクセントを感じるのが良いと思う。

 では次に手技の解説かというと、実はそうではない。先にリズムの話をしておく。
 平泳ぎは4拍子、しかも2拍4拍に強勢を置くロック・ビートのリズムであることを理解しておこう。息継ぎはカウント『フォー』の直後=次のカウント『ワン』の直前に来る。
 『ワン、ツー!、スリー、フォーはっ!、ワン、ツー!、スリー、フォーはっ!…』というサイクルになり、『はっ!』で息を吸う。これを一気に吐き出すのは『ツー!』となる。

 ここで先程の両足の動作を、ワン=しゃがむ、ツー!=V字に蹴る、スリー=挟む、で噛み合わせてみよう。ワン、ツー!、スリーのやりっ放しまででOK、フォーはとりあえず惰性で流しちゃっていいかな。
 頭の中のイメージトレーニングだけでも結構だし、ここらでもう試せる水場がある人は実技トライアルをどうぞ。先に『足中心のリズミック体型変化』を習得してしまう。

 ここまでできたら自然ともうカウント『フォー』で両手を掻くしかなくなり、すると手を掻いた動作に続いて息継ぎで顔も上がると思う。手はちゃんと意識して背伸び一杯で進む先の遠方の水に指を掛け、大きく輪を描くように後方へ掻き送れば間違いは無い。
 これで少し練習を重ねて、息継ぎのとき眼下を凄い勢いで水面がぶっ飛んで流れ去るのが見えるようになれば、まあ50メートルで1分切れるぐらいにはなるんじゃなかろうか。頑張ってもスピードの上がらない人は、『ちゃんとしゃがめているか』『ちゃんと足の裏で蹴り出せているか』『V字キックで両膝が伸び切れているか』『足を完全に直棒にして水を挟めているか』など、落ち着いてひとつひとつ確認していくこと。
 慣れてくればカウント『スリー』と『フォー』を1アクションにまとめた3拍子バージョンも成立したんじゃなかったっけかな。スイマセン、長いコト泳いでないんで忘れちゃいました。

 両手の引掛け角を平たく均せば顔を上げっ放しのエンドレス遠泳モードに早変わり、周辺状況や自分の体力と相談しながらペースを選ぶことができ、これが平泳ぎの便利なところだ。まずはこれひとつ得意になっておけば、水泳で随分と新しい展開が拡がることと思う。
 何より海や川で悲しい事故に遭う確率が下がり、他人様のお役に立てる確率が上がる。深さ1万メートルの日本海溝でだって、慌てず恐れずちゃんと泳げば溺れ死ぬ心配は無い。

 ついでの余談だが、水泳をそもそも開始するにあたっての飛込み、これは『伸ばした体を円弧の飛跡に沿わせるつもりで斜め上方に飛び立つ』『ガニ股で頭から地面に刺さるギャグ漫画を再現しながら水面の一点に自分が突き刺さってみる』あたりがコツだと思う。どうせ相手は水だ、何をどう試そうが死にはしない。
 でも今、プールも海水浴場も飛び込ませてくれないんだよなー。いつまでも心得ないままだと逆に危ないんだけどさ。

 ともあれこんなアプローチで水泳を研究してみると、いろいろ面白い発見があると思う。
 学生さんに子供たち、やってみたまえ!水泳はウツな面倒科目なんかではない。
 あ、もう大人になっちゃってる人は夢中にならないよう気を付けないと、翌々日ホントのホントに、全身筋肉痛で這うのもままならないくらい動けなくなりますぞ。御用心!
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